【2021年読書レビュー】PCR検査を巡る攻防 新型コロナウイルス・レポート

この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。

お断り(2021年11月時点
この記事はもともと毎月読んだ10冊をまとめて紹介する形で掲載していましたが大変読みづらいことに気づいたので、1冊ずつのレビュー形式で再掲していますm(_ _)m

今回紹介する本

『PCR検査を巡る攻防 新型コロナウイルス・レポート』です。

PCR検査は少しでも多く実施するべきだという意見、誤った判定(偽陽性および偽陰性)を考慮して誰彼構わず実施するのはおかしい意見、両方あります。

一般人がPCR検査の体制が決まった背景を知ってもしょうがないですが、本書はその参考になる裏話がわかる内容になっています。

本書の構成は以下の通りです。

本書の構成
  • コロナ禍を通じて学んだことー経済活動と感染拡大防止の両立
  • PCR検査にかかわる2つのエピソードー安心の売り買い
  • マスコミと医療界の影響

PCR検査の目的を改めて考えてみる

かれこれ1年。PCR検査という言葉はすっかり聞き馴染みのある言葉に変わりました。ところでPCR検査って何のために受けるものなのか。改めて考えてみると

  • 陽性と思しき方の陽性陰性を明確にする
  • 陽性でないことが体調から明らかだが、陰性であるという証明を得るため
  • 陽性だろうが陰性だろうがちゃんとスクリーニングをかけているアピールをするため(会社などの組織前提)

PCR推進派は3点目に近い考えで、否定派もしくはウィズコロナ派は1点目を強調していると推察します。

とすると論点があってないので議論しても堂々巡りになることは容易に想像できます。国としては少しでも検査件数が増やせるように、と言いながら簡単にはPCR検査を受けさせてもらえない実態もありました。

これは推進派と否定派の意見を両方聞いちゃったために起こったんじゃないかと思っています。

ちなみに筆者は推進派であることが本書から読み取れます。その論拠は「PCR検査をすることで安心につながる。安心を買うためのPCR検査」であること。

そっか。陽性を判定するためじゃないのか、と素直に思いました。

状況見合いで正解は変わる、と思う

この本のいいと思ったところ

  1. 具体的事例の紹介があること

いかにも取材をして得た情報という印象です。新聞を読んでいない人が読んだらいいかと思いました。

0か100か議論が一番危ない

有識者ですら推進派と否定派がいる時点で絶対解はないことが明らかです。両者とも何らかの前提にたっていい悪いを判断して主張しているにすぎません。

ということは前提条件が変わるといい悪いの判断も変わって然るべきですね。

1日の感染者数が1人とか2人しかいない状態が前提なら何でもかんでも検査するのは過剰であるし、1日に1万人、2万人と感染者がいる中であれば潜伏している数も相応に多いはずであるのに検査を絞りますと言うのはおかしな話です。

議論をするとき、何らか意思決定をするときには前提条件の明確化と前提条件が変わった時の対応両方を決めておくべきーーこれが本書からの自分の学びです。

この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人

おすすめ度は10点満点中7点です。本にしてはボリュームが少なすぎたのが不満ポイントでした。

この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。

  • PCR検査にまつわるエピソードを読んでみたい
  • PCR検査のようなスクリーニングはどうあるべきか検討したい

兎にも角にもPCR検査をしなくていい、もしくは風邪や熱が出た感覚でCOVID19を扱える日が早く来てほしいものです。

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