【2022年読書レビュー】ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障

まえがき

今回紹介する本

『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』です。

本書の概要

順番で言うとこっちが先になりますが、後日各政党の政策紹介をしている記事を出します。あえて抜粋はしてませんでしたが、いくつかの政党はベーシックインカムを政策の一つとして掲げています。

ここでベーシックインカムの定義を明示しておきます。情報元は朝日新聞です。

ひとりひとりに、国から無条件で配当されるお金のこと。次の3要素を備える。
  • 定期的な現金給付
  • 個人単位
  • 無条件

給付額がいくらかについてはさまざま議論があって「最低限の生活を賄える全額であるべき」とか「週3週4働けばちょうどいいくらいの金額にする」などです。金額の多寡はともかく好意的に受け止める方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?

ではなぜ今頃ベーシックインカムの議論がされるのか。本書ではベーシックサービス、ハウジングファーストと並んで「貧困の緩和」の手段の一つに位置づけて実現に向けた課題、ベーシックインカムで解決しようとしている種々の課題を「〜〜の安全保障」として個別に考察を加えています。

※さっきと話被りますが、各政党の政策集見てもベーシックサービスとかハウジングファーストというワードが並んでました。一般的なんですかね?

本書の構成
  • 人間の安全保障
  • 家族の安全保障
  • 社会の安全保障
  • 定常化社会
  • 人類の安全保障

生活の安全保障のための3つの手段

冒頭申し上げたように本書ではベーシックサービス、ハウジングファースト、そしてタイトルにもあるベーシックインカムの3つが重要だと述べています。

折角なので他2つも定義は押さえておきましょう。

ベーシックサービス(BS)

直訳すると基本的なサービス。いや、ピンときませんね。ということで一般財団法人ゆうちょ財団から情報引っ張ってきました。

すべて人びとの生活を保障する仕組みのことで具体的には
  • 病院
  • 福祉
  • 介護
  • 教育
などのサービスを指す

仮にベーシックインカムでお金もらえるとしたらそれは超ハッピーですが、それがあろうがなかろうが上記のサービスって欲しいですよね。近くに受診できるかかりつけ医があるかとか、お金がなくても安価に利用できる学童があるとかそういう要素になります。

この辺も本書では解説されていました。

ハウジングファースト(HF)

これも直訳したとて意味不明。そこでネット。特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポンによればこうなっています。

住まいを失った人々の支援において、安心して暮らせる住まいを確保することを最優先とする考え方のことです。 1990年代にアメリカで始まったハウジングファースト方式のホームレス支援は、欧米のホームレス支援の現場では一般的になりつつあり、重度の精神障害を抱えるホームレスの方の支援でも有効であることが実証されています。

これまた本書でも解説されていますが、ポイントはちゃんとした住まいであることです。「安心して暮らせる」ってありますよね。

健康で文化的な最低限度の生活を考えるときの住居って正直イメージが曖昧で

  • クーラーあればOKかな
  • 風呂トイレと炊事場があればOKかな

といったくらいですが、ここに加えてプライベートな空間が確保できることとか治安が悪くないといった質的なところも含まれるのかもしれません。それを踏まえたハウジングファーストの定義ならば納得です。

物的には満たされつつある時代だからこその質の確保

半世紀前に比べたら欲しい情報は紙を捲らなくてもよくなり、テレビはカラーどころかデジタル放送が普及し、夜行列車や泊まりでないといけなかったところには飛行機や新幹線でひとっ飛びできる時代になりました。そして物についてもお金さえあればいくらでも欲求を満たせるだけの量が存在しています。

そういう時代だからこそハードじゃなくてソフトの充実は重要だと思ってて、ベーシックインカムはともかくハウジングファーストやベーシックサービスについてはぜひ政治の方でうまいこと舵取りをして欲しいなって思いました。なお本書では各話題について解説の程度が丁寧すぎて自分は結構読み飛ばしました。

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