この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『「心の悩み」の精神医学』です。
厚生労働省の資料によると日本国内には300万人弱のかたが「心の病」で通院治療を受けているそうです。100人に3人の割合なので、割合だけでいうと新型コロナにかかる確率よりも高いという点では決して人ごとにはできません。
なったことがなくても身近な人が現在なってる(もしくは過去になってた)経験があれば向き合い方に困ったこともあるでしょう。
本書は精神科医の立場から、実際に受け持った患者さんの事例を踏まえてそれぞれの心の病にどう向き合うのがいいか、注意点が何かがわかる1冊です。
- パニック障害
- うつ病
- 心気症
- PTSD
- 過食症と拒食症
- 気分変調症
- ボーダーラインの人
- 定年後の「ボケ」
- 現代と精神病
精神病からわかる日本の実情
本書は1998年に第一刷が発行されたのですが、2020〜2021年に発行された内容だと最後まで思って読んでました(奥付を見て気づいた)。
著者が当時感じていたことは2021年の現在にも通じると思いましたので紹介します。
- 人々の生き方に迷いがある
- 共通の原理原則がない
- 情報に振り回されている
- 日本風から西洋風の考えへの移行による苦労
- 耐える力がない
- 泣き寝入りがなくなった
メンタルに絡むことだと1点目と3点目の影響が現代となっては特に多いのでは、そう思います。1998年と2021年の単純比較はできないものの情報に踊らされた行動をする人、他人の目を気にして動く人の多さが目につきます。
その点いうと2点目はむしろいいことと捉えられます。社会全体として価値観に絡む流れがあると同調圧力が発生するので自分らしい生き方を確固たるものにしたければむしろ邪魔です。
いつ、どんな時でも曲げない自分の軸
この本のいいと思ったところ
- 各疾患についての症状や注意点も付記されている
- 精神科医の選び方まで紹介されている
精神科医といえば某ユーチューバーで複数名有名な方がいらっしゃいますが、言ってることは本書と本質的には同じでした。
心の病になっている人もそうでない人も自分を俯瞰するために他者の事例を知ることは自分がならないもしくは面倒を見る立場になったときに役立ちます。
本書の内容に関連して思ったこと
心の病になる大枠のきっかけは本書の事例紹介されているパターンとそう大きな違いはなく働く環境がガラッと変わったとか劣等感があるとか惨めな思いをしたというものです。
なったことがない自分としては一般的には上記感情で捉えがちな事象についても受け流す力があると楽なのになぁと思います。
第一章で紹介されていた「一生懸命会社のために働いたのに出向を命じられた」ケースについては「出世できるという期待をしすぎてただけ」「会社は所詮それぐらいにしか思ってない」という思考に行き着きます。何か悪い評価を受けたとしても「どうせ最後まで面倒見てくれるわけじゃないし最悪やめればよろしい!」そう思います。
これを根性なしとか頑張りが足らんという方もいるでしょうが、もちろんやれることはやった上でそのように思いこむ、見切りをつけるのが肝です。それで無理して心病んでも誰も責任取ってくれませんしね。
自分はこうしたい、誰がどういうスタンスでも自分の中ではこうであれば良いという明確な基準があると耐える力=レジリエンスの向上にもなると思います。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりです。いつ誰がなってもおかしくないのが心の病だからこそ正しく知って正しく対応できるようにしたいものです。
- 身近に心の病を患っている人がいる
- 心の病と付き合っていくコツが知りたい