この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」』です。
東日本大震災から10年が経ちました。自分は東北と縁があるので何年経っても忘れないのが3.11ですが、そうでない人にとっては10年も経てば忘れることでしょう。かくいう自分も2005年に阪神淡路大震災から10年を迎えた時に特別思うことはなかったのですから。
震災は誰もが当事者になる可能性がある出来事です。近い将来南海トラフ地震が発生したら東日本の比ではない災害となるかもしれません。
その備え、前もっての学びとなるのが本書と思います。3.11当時の石巻市では半年で10万人ものボランティアを動員しました。なぜそのようなことができたのか、それに携わった人々は何を思い、どんな行動に移したのかをみて取れます。
- 震災当日の石巻市の様子
- 石巻モデルによるボランティアの受け入れ
- 大学というボランティア拠点
- 企業とボランティア
- 行政とボランティアの連携
- 災害ボランティアに求められるのは企画力
- 石巻モデルから学べること
石巻のボランティア体制がうまく行った理由
本書の的になっているのは一般社団法人ピースボートというNGO組織です。ボランティアには2つあるらしく
- 通称“社協“・・・各市町村に拠点を構えている
- NGO・・・必要な時に必要な場所へいく
この2つは相反してしまうらしいのです。が当時は自治体とも含めた連携でうまく活動できたようです。また、ピースボートの代表曰くうまく行った理由は以下の3点によるそうです。
- ボランティアを受け入れる仕組みづくり
- ボランティアにとって異心地のいい環境づくり
- ボランティアの継続的な確保
災害ボランティアといえば自己完結&自己責任が基本とされます。自分の寝るもの、着るもの、食べるものは自分でなとかする。間違っても被災地で迷惑をかけることがあってはならない。
後者はそりゃそうだろってはなしですが、自己完結はものによっては厳しいです。寝床探しやトイレをどうするか、プライバシーの確保は?
こういった課題に場所確保やトイレの整備などの環境作りに加えて協調性をもった行動を組織としてできるようにルールをもって生活するなど、とても震災後のマネジメントとは思えないほど素晴らしい動きをされたのだろうと思います。
する側、される側の両方を想定して生きていく
この本のいいと思ったところ
- あるべきボランティア像を垣間見れる
ボランティアにお世話になるかもしれないし、自分がその立場で人様のために尽力する機会がやってくるかもしれません。その時にうまく立ち回るための一助になると思います。
まずできるのは災害への備え
本書の「はじめに」の最後の一文は「何事もバランスが大事」なのですが、なるほどそういうことかと納得しました。
とはいえ、いきなりボランティアをしようというのも少し敷居が高そうです。加えて今はコロナ禍なのでおいそれとはいけません。じゃあ何もできないかといえばそういうこともありません。
- ハザードマップを確認する
- 非常食を常備しておく
- 飲料水を確保する
これだけでも立派な行動です。物資援助はあてにしない、これも自己責任を全うしていると思いませんか?
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中10点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- ボランティアに興味がある
- 将来の備えとして学びたい
東北の文字を見れば見るほど戻りたくなりますねぇ。
もし戻れるとなった時のためにしっかり健康に気をつけて、東北に恩返ししたい気持ちを新たにしました。