この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『知らないと損する年金の真実 – 2022年「新年金制度」対応』です。
タイトルのとおり2022年に年金制度が改定されます。
具体的な内容はというと本書でも書かれていますが以下のとおりです。
- 社会保険の対象範囲の拡大
- 働きながら年金をもらう場合の扱いの見直し
- 受給開始時期の選択範囲の拡大
- 確定拠出年金の加入要件の見直し
直接的ではないですが、このブログでも社会保険の対象範囲について一度紹介していました。それ以外にも見直し事項があったということです。
タイトル見ただけだと新年金制度のことしか触れないように思いますが、前半は年金に関する誤解や事実の紹介に割かれています。
以下、本書の構成です。
- 年金の本質的意味
- 年金の誤解(初級)
- 年金の誤解(中級・上級)
- 年金の歴史
- 2022年からの年金新制度
- 公的年金の活用方法
- 年金との向き合い方
誤解してはいけない年金のあれこれ
本書の核は後半部分ですが、個人的には前半部分を理解しているかどうかが年金問題に関する肝だと思っています。前半を理解していれば後半部分はスムーズに理解できる、もしくは自分で考えられます。
年金制度で勘違いしがちだけど実は違うということを以下に列挙します。
- 国民年金は「保険」であって貯蓄ではない
- 高齢者人口に関する現役世代人口は減っているが、非就業者に対する就業者数は減っていない
- 積み立て方式では賦課方式よりもすぐに破綻する
- 受給年齢の引き上げをしようとしても超長期の年月がかかる
1点目は年金を支払うときのことを考えたらすぐにわかります。なぜか?それは
国民年金”保険料”だからです。
そして、これに限らず自動車保険やがん保険など入っている場合のことを考えてください。得しようと思って加入しましたか?違いますよね?得するためにわざと怪我したりがんになる人はいません。
もしもの時に困らないように入るのが保険なので、この時点で国民年金が払い損になるか払い得になるかを議論するのはナンセンスということになります。
国民年金は長生きしてしまった場合のための保険であって、生活に関わるものだから国が強制的に徴収するけど税金も使って運営している、そのように理解しておきましょう。
4点目は本書で始めてしりました。もともと60歳がベースの受給年齢だったのがいまの65歳になったのは聞いたことがあったのですが、さらに遡ると55歳だったそうです。
しかも60歳⇨65歳の引き上げは決定から2021年時点で32年経過しているのにまだ最中。いつかは70歳が基本になるのかもしれませんが、そうなるとしてもこの実績からするといまの40代〜は無影響で自分のようなアラサー世代からが移行期間にぶつかると想定します。
正しく知って正しく備える老後の生活
この本のいいと思ったところ
- 国民年金の位置付けから解説していること
- いくつかモデルケースを示したうえで一個人で老後に備えるヒントが提示されている
本書では年金に関する3つの悪人として
- マスコミ(不安を煽るのが仕事と化している)
- 金融機関(金融商品を売りつける口実になる)
- 野党(批判大好き!)
を出していますが、これらの話ばっかり聞いていたら本書の情報は決して耳に入ってこないでしょう。いまの年金制度がいい悪いはおいといて事実はどうか、これを知れるのが最大のメリットと思いました。
前提条件次第で必要な備えは全然違う
本書末尾にあるように年金問題を考えるうえではいくつも影響因子があります。
- サラリーマンor自営業フリーランス
- 現在の資産残高
- 生活費の見通し
- 家族構成
- いつまで働くか
- いつから年金を受け取るか
極論いうと「自分は死ぬまで働きます!病気になったら治療はしません!」とか「国民年金の範囲内で楽しく暮らす方法を知ってます!」というなら1円たりとも貯金は入りません。
逆に「1年間で300万円は使いたい」「毎年旅行にいくのは普通」「子供への援助が必要」などと言い始めたら果たしていくらかかることやら・・・。
とにかく!最終的には自分で考えて自分で備えるということです。
自分で積み立てたいならiDeCoがありますしつみたてNISAも使えます。暗号資産に入れておくのも一手です。環境はあるのであとは自分が実行するかどうかだけですね。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 年金のことをきちんと調べたことがない方
- 自分がどれだけ老後に備えればいいか掴みが欲しい方
お金はあればあるだけいいというもんではないですが、足りない状態も幸福感落ちちゃうので宜しくはありません。
まったく将来のお金のことを考えてなかったという方はこれをきっかけに考えてみてはどうでしょうか?これが自然と貯金や節約、仕事のモチベーションにつながると思います。