この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』です。
理系の自分は「時間とは何か」とか「宇宙とはなぜできたのか」みたいな超根本問題に興味があるのですが、本書もその一つです。
重力。
「そんなもん知らないよ」という人は地球上で生きててまさかいませんよね・・・?
ジャンプしたら地面に足がくっつくのも、地面にペットボトルや荷物を置いといたらそのまま(力を加えない限り)動かないのも実は重力のおかげだってこと、忘れていませんか?これらは全て宇宙空間に行っちゃったら成立しないことです。
高校以上の物理を勉強したからなら磁力があるのは磁場のせいとか、重力が働くのは2つの質量を持った物体があるからなど教わったことがあるかもしれませんが、「じゃあなんで質量っていうのがあると力が働くの?」という疑問までは解ってませんよね?
本書はそういった根っこ中の根っこの疑問に関わる理論(相対性理論、超紐理論)を絡めて重力ってどんなものなのか、今わかっている範囲で解説しています。
※わかっている範囲と言ってるくらいなので重力を伝える元になる素粒子なる存在の仮定はあるものの、まだ見つかっていません。
- 重力の七不思議
- 時間と空間の伸び縮み
- 重力がなぜ生じるのか
- ブラックホールによる相対性理論の崩壊
- 量子力学の世界
- 超ひも理論
- ブラックホールのアレコレ
- 超ひも理論への期待
重力の七不思議
物理学の理論話をしたとて理解されないので序盤に記載の七不思議を紹介します。
- 重力は力の中では弱い部類
- 物体の距離に関係なく働く
- どんな物体にも同じように働く
小さい球と大きな重い球。両方を同時に落としたらなんとなくのイメージで「大きい方が先に落ちそう」と思いますが、実際はそんなことはなく同時に落ちます。※空気抵抗の影響は無視で。
これには次のような誤解があります。
- 重いものには大きな力が働くが、それは大きな力をかけないと動かないから
物体Aに働く力=物体Aの質量*「重力加速度」
重力加速度はいわゆるGと読んでいるやつのことで、地球の質量と半径で決まるので物体Aは無関係
ここまでなら「へえそうか!」と面白い話として終われますよね。この根底を理解しようとした途端に〇〇理論が登場するので以降は割愛で。
〇〇とは何かシリーズのレギュラー=△△理論
この本のいいと思ったところ
- 序盤だけなら庶民向け内容
- 重力との関係性として各種理論の内容と位置づけが語られている
楽しく読みたいなら最初の2〜3章だけを読むのが〇です。あとはちんぷんかんぶんで物理嫌いが増えそうなのでお勧めしません。
本書の内容に関連して思ったこと
著者にとっては楽しいからとはおっしゃっていますが、なぜこうも〇〇とは何か系の本を手に取るとお決まりのように
- 相対性理論
- ニュートン力学
- ブラックホール
- 超ひも理論
が登場するのか・・・。自分は理系なのと、一応これらの理論の掻い摘みはしたことあるので多少の理解を持って読んでいますが、一般ピーポーが読んでも相対性理論のごく一部を理解してもらえるかどうかで完全に需要と供給がアンマッチになってしまう気がします。
こういった系列の本は
- そこそこちゃんと知りたい人の入門書・・・本書のようなものをたたき台
- ただ楽しく勉強したい・・・図解雑学系のとにかく図やイラストが多い本
の使い分けが良きです。というのを初めにの部分とかで言った方が丁寧かなと思います。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中8点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- ガッツリ重力とは何かを知りたい
- ガッツリ学んでみたいけど入門的な1冊が欲しい
「問いの立て方」という本を読んだことがありますが、その本のように「期待には答えられないけどごめんね」というスタンスがあるともっと丁寧かなと思います。
自分が楽しいから楽しいように書きました!だけだと知識の押し付けになってしまうし、一応ブログとして発信する立場にある以上自分の自己満で書いているなら「これは読まなくていいです」というお断りをちゃんとせねばならんなと思いました。