この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『なぜ若者は理由もなく会社を辞められるのか?』です。
筆者は厚労省からの大学教員というこれまたユニークな経歴の持ち主でして、本書も若者の代表例である学生に普段から接している立場でタイトルの議題に向かっています。
奥付のプロフィールには大学卒業の経歴しかなくて「大学教員になるのにどこで博士号とったんだろ」と思って調べてみたら社会人ドクター取ってる可能性あり。働きながらならすごいですね。
書籍の構成
- 若者が減少している現代について
- 若者に対する高年齢層の認識
- 若者の性格
- 日本の衰退につながりかねない仕事観
- 日本の発展につながる仕事観
- 若者が「成長」を求める理由
- 小中高と大学の違い
- 現代の若者を活用できている企業の特徴
- 今の若者に足りていないもの
書籍の気になった内容を一部紹介
気になったところはいくつもあるのですが、ここでは8章で触れていたことについて2点紹介します(タイトルと関係ない内容なんだけど自分がへぇ〜と思ったので採用)。1つ目はボスとリーダーの違いです。
- 部下を追い立てるのがボス、方法を示すのがリーダー
- 恐怖を与えるのがボス、やる気を引き出すのがリーダー
- ボスの主語は私、リーダーの主語は我々
- やり方を知っているのがリーダー、知らないのがボス
- やれと言うのがボス、やろうと言うのがリーダー
似ているようで全然違う2つの言葉。どうせならリーダーになれるようにしないとです。
- boss:a person who is in charge of other people at work and tells them what to do
- leader:a person who leads a group of people, especially the head of a country, an organization, etc.
2つ目は仕事に対する心構えの変化です。現在働いている方なら知ってるのがこれですよね。
ではなくて・・・、
報・連・相(ほうれんそう)
仕事の基本です。ですが、いまどきはこれではダメらしく新しく提唱されているのがこれ。
ではなく・・・
怒らない・否定しない・助ける・指示する(おひたし)
らしいです。これは現代では必要というだけであって、絶対的にこれが望ましい状態かどうかの議論はおいときましょう。
感想などなど
この本のいいと思ったところ
- わりとフラットに現代の若者を分析している
- ゆとりだからダメ、今の中高年は考えが古いなどと斬らずに現状で何が一番日本にとっていいかの提言がされている
- 筆者の私見は実体験に基づいている=思い込みの意見ではない
筆者はゆとり世代と呼ばれるような現代の若者を否定はしていませんし肯定もしていません。
褒めるところは褒め、昔よりも劣っているところは劣っているとズバッと指摘しています。
- 褒められるところ
- 将来に対する危機感(中高年はバブルに乗っかっただけと否定的)
- バイトなどで働きながら勤勉(昔はそれこそ入学がゴール)
- 合理的=無駄と思ったことはしない
- 足りていないところ
- ハングリー精神(これはゆとり世代の自分も納得)
- 受身姿勢、自発性がない
ゆとり世代の自分にはどれもグサッときますね。なんとなくバブルのような金遣いはただのリスクに思うからしないし、「なんでも教えてもらえる」「自分で考えなくてもいい」と思ってしまっている方が多い気がします。
本書の内容に関連して思ったこと
「昔の若者は・・・」というのは全世代共通のいい文句です。今の中高年も言われてきたでしょうし、ゆとり世代の人も自分たちがいい歳になったら「今の若者は小学生からスマホを持ちやがって」とか「電話の取り方すら知らない」とか言うでしょう。
でも、それはお互いさまです。
一々文句を言ったところで何も変わらない(他人を変えられる期待はしないほうがいいってやつ)ので、いかにその特性を知って狙い通りの行動をしてもらうかに注力しないといけません。
これは自分にとっても課題で、ジェネレーションギャップがあるから何もわかりませんではなくて、まずは相手を知ってじゃあどうするかの行動も取れるようにならんとダメだなぁと思いました。
ちなみに「今の若者」に対する私見はこうです。
- いい意味で現実的な生き方をしている
- 自分たちが経済的には痛い目にあっているので次世代に負の遺産は残さない意思を感じる
- 主体性がないのは同意
- 群れで動きがち、一人であることに対して否定的
どんどんオフラインのつながりがなくてもいい世の中になっているのに一人であることに対しての恐れを感じます。不思議なもんですが。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 中立な立場で「今」の若者の素性を知りたい方
- 会社や組織でのマネジメントがうまくできるようになりたい方(スポーツ少年団のコーチをしているとか学校で担任、顧問をしているなど)
物事はできるだけ中立に見ることが偏った、謝った理解をしないための前提条件になります。本と言っても私見に溢れたものが多いですが(悪いとはいってない)本書はその要素が少ない点でおすすめできます。
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以上でおわりです。最後までお読みくださりありがとうございました。