この記事のもくじ
今までは毎月読んだ本をまとめて紹介していましたが今月からは1冊ずつ紹介します。直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『新型コロナワクチンはいかに迅速に開発されたかーわずか11カ月で承認されたmRNAワクチンの軌跡』です。
書籍の構成
- mRNAワクチンをすぐに開発できた理由
- 各社のmRNAワクチン開発状況
- 国内外におけるmRNAワクチンの課題と可能性
第1章で記載の通り、本書は「国際医薬情報」の連載をそのままのっけているだけなので一般的な本というよりはmRNAワクチン開発の進捗状況を振り返るためのレビュー集といったところでしょうか。
書籍の気になった内容を一部紹介
本書に記載されている専門的な内容はわからないので、個人的にへぇ〜と思ったことを抜粋します。
- 昔からmRNAワクチンの実用化研究は狂犬病やがんを対象に進められていた。
- 日本では第一三共が4月から東大と共同研究でmRNAワクチンの開発に着手
- ファイザー、モデルナのワクチン有効性は95%近くだがFDAの緊急承認条件は50%以上だった
- ファイザーの緊急承認の申請には投票者22名のうち反対4名、棄権1名いた
読んでてなるほどと思ったのは、mRNAワクチンは遺伝子情報=設計図さえ分かればどのウイルスや病気に対してだろうが即座にワクチンの製造が可能である点。
今回のワクチン開発に際しても過去研究の知見がそのまま設計思想や使用条件につながっていて、一つの科学技術としては大変素晴らしい技術だなと思いました。
4点目は不安を煽るような情報ですが、反対した人の理由はワクチン接種年齢が若いことによるもので、ワクチンそのものが危険といった意見はありませんでした。
感想などなど
この本のいいと思ったところ
- 日常生活では決して触れられない情報に触れられること
普段1冊1000円程度で本を購入している身分からすると「1980円もして雑誌の連載そのままかよ〜」って思いましたが、専門誌というのは購読するだけでもお金がかかることなので、それを本という形にして広く読まれるようにしたのはよかったといえます。
本書の内容に関連して思ったこと
自分は第一三共が共同研究でワクチン開発していることを知りませんでした。自分が情弱だったのか、報道各社が報じてくれていなかったのか分かりませんが。
現時点でも臨床試験の最中なので実用化まではまだまだ時間がかかりそうですが、自前で供給できるワクチンがあるのとないのとでは大違いなので頑張って欲しいですね。そして政府には開発にかかる費用を積極的に支援してほしいですね。
本書では海外におけるバイオテック各社への資金投入状況が紹介されていましたが、日本と規模感が違いすぎてびっくりしました。まともに精査できているのかもわからない飲食店への補償やら休業支援をしてるなら、こういった分野や医療従事者への手厚い金銭的支援をした方がいいと思っているので。
※個人的にはCOVIDー19に対する付き合い方や国のお金の使い方は下記のようだといいかなと思っています。
- 従来の休業支援、協力金など:一切なし
- 行動制限:一切なし(上記との紐付け、個人に行動制限しといてお店の休業支援しないのは矛盾するので)。「行動したければどうぞ、でも自己責任で」
- 医療機関への支援:コロナ対応による機会損失の補填は当然
さらに給料を50%増しtか100%増し&社会的な優遇措置にするような
資金投入をして働いてもらえる動機を整備する。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 新聞やTVニュースを見ているだけでは手に入れられないmRNAワクチンに関する情報を手に入れたい方
- フラットにmRNAワクチンを理解したい方
現代は自分で意識しないと必要な情報が入手できずにどうでもいいことばかり報道されている情報で頭がいっぱいになってしまいます。この点、本は自分で読むことを選択できるし誰かに消されるわけでもないので情報媒体として良いものに変わり無いと改めて思いました。
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以上でおわりです。最後までお読みくださりありがとうございました。