この記事のもくじ
まえがき
今回紹介する本
『エシカルフード』です。
本書の概要
エシカル=ethical。学校英語でも出てこないような単語です。意味は「倫理的な」「道徳的な」です。直訳するとエシカルフードとは”倫理的な食べ物”となります。
でも倫理的な食べ物って言われてもさっぱりイメージが湧きませんよね。本書のまえがきでは「倫理的に配慮された食品」と定義してまして、じゃあ倫理的に配慮とは何に配慮しているか?という問いに答えているのが本書です。
近年はただ儲ければいい、安ければいい、機能性があればいいなどというビジネスや社会活動は否定されつつあって
- 環境にやさしい
- 持続可能な
- 誰もが幸せになるような
こんな要素を満たしていること=価値があると見做されるようになっています。エシカルフードもそんなお話です。
- エシカルフードとは
- ヨーロッパと日本におけるオーガニック
- エシカルとSDGs
- エシカルフードの事例
- 持続可能な食文化
- ジャンル別にみたエシカルー人権・フードロス・動物・・・
エシカルフードの鍵は消費者のあり方
エシカルフードを日本に根付かせるためには生産者、販売者が変わらなければならないこと、整備しなければいけない環境がありますが所々で著者が消費者に着眼して物申しているのが印象的でした。
一部加筆もしておりますが、こと日本における消費者の問題点として次のようなものをあげています。
- 安かろう悪かろうは許容されない。安くてもいいもの
- サービスにおけるおもてなしは当然
- 安ければ安いほどいい。減量価格高騰は「企業努力」でなんとかしろ
安ければいいと思っている消費者がいる?せいで外国産の肉が安売りされていたり、世界的にはインフレしているにも関わらず卵1パック100円やもやし1袋30円未満の水準をさも当然のようにされている状況があります。
確かに生産者や販売者が仕組みを変えたところで買ってくれる人がいないと成立しないのは当然のことです。
著者が言っているように「お客さまは神様である」という考えを消費者自身だけでなくサービスを提供する側も改めない限りは主題の”エシカル”を満足できないでしょう。
あとがき
社会課題に関する本を読むと、そもそも仕組みに問題があるとする主張を見かける方が多いのですが、本書に関しては消費者側にも責任の一端があると言っていることに対して非常に好感を受けました。
自分の給料はあげて欲しい、税金を減らせと言っておいて自分が買い物をする時にはお店などに対して安さを求めるダブルスタンダードな考え方をしている人が日本人には多いと感じるのでそこに一刀入れてくれたことを嬉しく思います。
いきなりオーガニック食品だけにするとかフェアトレード商品だけを選んで買うというのはインフラ整備されていない部分もあるので無理なのは承知していますが、
- 地産地消を心がける
- 国産もある食品なら国産を選ぶ
これくらいなら多少のコストアップをしてでも実践する価値があると思います。ただでさえ原材料価格の高騰を受けた値上げラッシュが続いている中で為替影響まで受けては輸入品が相対的に高くな流でしょう。そうなると「外国産のものを買ったって大して安くないし、それなら国産を買うか」こうなる人も増えるんじゃないかなと密かに期待しています。
足元の社会情勢をきっかけに持続可能な生活ができるような消費行動に変われば嬉しいですね。