この記事のもくじ
まえがき
今回紹介する本
『九条という病 憲法改正のみが日本を救う』です。
本書の概要
第二次世界大戦の後に作られた現在の日本国憲法。以来、全く改定されることもなく現在に至っています。
さて、日本国憲法の三大原則といえばなんでしょうか?小学校の社会の教科書にすら書かれていることです。
- 国民主権
- 基本的人権の尊重
- 平和主義
ですね。このうち平和主義の由来になっているのがタイトルにもある「九条」です。ここで9条の条文を引用します。
- 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
- 前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
一般的にこの項目を以て日本は戦争を放棄(決してやらない)と理解されています。憲法9条に賛成よりの考えを持っている著者は今般の安全保障問題に照らした時にこの9条には問題があると認識しています。
本書では具体的にどこがどう問題なのか、他国の憲法との比較や核武装問題を通じて考察しています。
著者が考える憲法9条の問題点
本書で指摘している憲法9条もしくあ憲法9条に紐づく平和主義に関する問題点としては以下があります。
- 自ら戦争を起こさない≠他国が日本に攻めてこない
- 陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。=攻められても反撃できない
- 核反撃能力を持っておくことで結果的に攻められない、が世界標準の考え方
自ら戦争を起こさない≠他国が日本に攻めてこない
銃や戦闘機などを交えた戦闘行為ではないものの、北朝鮮による日本人の拉致は一種の侵略であるとしていますし、自分の意見を加えると韓国による竹島の実効支配も然りであると思います。
これらは「自分達からは戦争しませんよ」のつもりのスタンスが「争いはしませんよ」と受け取られて足元を見られている結果なんじゃないでしょうか?
「攻めてきたら反撃するけどいいですね?」と言う状態にしてこなかったのは反省点です。
陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。=攻められても反撃できない
まず条文と現状が不一致ですよね。呼称が「軍」ではないだけで戦闘機も艦艇も陸上部隊も持ってるのでバリバリ戦力です。
にもかかわらず交戦権は認めないの方だけ遵守するって言うのはチグハグ感があります。
核反撃能力を持っておくことで結果的に攻められない、が世界標準の考え方
日本は唯一核爆弾を落とされた国だけあって、それを持つことへの忌避感が非常に強い国ですが、悲しいかなそれを守ったところで他国が攻めてこないとは限らない、が現実です。
かのウクライナも過去に「ブダペスト覚書」でもって核兵器を廃棄してしまったことでロシアに侵攻される理由を与えてしまったのではないかと言われています。日本はもともと持ってないとい違いはあるものの状況は一緒です。
現状、核を持っている国に攻めたら反撃として使われるかも、と言うのがあって核保有国に侵攻しようという話は全く上がってきません。
あくまで目的は平和=戦争していない状態を維持することですから、その目的が達成されるなら手段は問わないのではないかと自分も思います。
あとがき
憲法改正はここ10年近くずっと叫ばれている問題で国民の関心も比較的高い問題です。幸いにして憲法改正にあたっては国会での決議だけでなく、国民投票(もしくはそれに相当する方法)により賛成過半数を得なければなりません。
普通の選挙では是々非々で政党や候補者を選べない(Aの分野は1さんがいいけどBの分野は2さんがいい。でも一人しか選べない)のに対して国民投票なら憲法改正という絞られた対象に対しての投票ですから自分が投じた票に対する納得感も出るはずです。
憲法に沿っていろんな法律なり施策なりが実行されているのですから、ちゃんと意思があるなら国民投票が開催される際には必ず投票に行ってほしいですね。行かずに文句は論外です。