この記事のもくじ
はじめに
当ブログでは、何回かに分けて税制改正に関する各省庁の要望が何かは紹介しました。が、要望っていうくらいですからそれで確定とはなりません。
税制改正は次の流れで決まります。
- 与党税制委員会が各省庁の要望を審議する
- 「与党税制改正大綱」を踏まえて税制改正大綱が閣議提出される。
- 税制改正大綱を踏まえて法案が国会に提出される
- 国会で可決されれば実際に施行される
前回紹介した要望は1番の更に手前です。序の口の中の序の口です。
2021年12月に提出されたものは2番のところです。しかし、当該の資料は全部で102Pもあるのでわざわざ読もうとする人もそうそういないでしょう。
ということで今回は冒頭の基本的な税制改正の考え方の中から身近に関わりそうなものを紹介します。いちいち資料を読むのが嫌いな方はぜひどうぞ。
税制改正の軸となるもの
とはいえ、ベースとして何が掲げられているかぐらいは知っといた方がいいでしょうから参考までに提示しておきます。
- 成長と分配の好循環の実現
- 積極的な賃上げ等を促すための措置
- オープンイノベーション促進税制の拡充
- 未来への投資等に向けた経済界への期待
- 地方活性化、災害への対応
- 住宅ローン控除等の見直し
- 固定資産税
- 中小・小規模事業者の支援
- 経済と環境の好循環の実現
- その他考慮すべき課題
- 経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し
- 個人所得課税/li>
- 相続税・贈与税
- 外形標準課税
- 国際課税制度の見直し
- 円滑・適正な納税のための環境整備
- 的確請求書帳保存方式への円滑な移行
- 税理士制度の見直し
- 貴重義務の不履行及び特に悪質な納税者への対応
- 財産債務長所制度の見直し
- 税務手続きのデジタル化・キャッシュレス化による利便性の向上
- その他
- 新たな沖縄振興等に向けた措置
- ガス供給業に係る法人事業税の課税方式の見直し
- 屋外分煙施設等の整備の促進
- IRに関する税制
いやぁ、リストにされただけでやる気無くしそうですね。もちろん全部は紹介しないのでご安心下さい。この中から報道でも取り上げられているような注目すべき事柄を紹介します。
積極的な賃上げ等を促すための措置
継続雇用者の給与を増額した場合に企業に課せられる税金を控除(税額控除)しますよという制度です。
- 大企業の場合・・・給与を増やした金額の30%
- 中小企業の場合・・・給与を増やした金額の40%
人件費にお金を割かないでただ税金として持っていかれるか、それとも、人件費を増やしたら利益部分は一旦減るけどそこに係る税金減らしてあげるのとどっちがいいですか?という政府からの問いです。
ちなみに末尾には「収益拡大してるのに給与も上げない投資もしないなら税金の特別措置やめます」と書いてるので、これはもはや半強制的な賃上げ指示と言えそうです。
住宅ローン控除等の見直し
ローンで家を建てた人には影響がありそうな話です。この制度はローン残高に応じて税額控除するもので家を買いやすくしようという狙いがあった。のですが、今の日本は超低金利。
毎年元本と合わせて返す金額よりも住宅ローン控除で浮く税金の方が大きくなってしまう逆転現象が生じていました。
と言うわけでこうなります。
- 従来・・・ローン残高の1%を10年間
- これから・・・ローン残高の0.7%を13年間
トータルで見ればトントンでしょ!とでも言いたげな変更ですが、若干の改悪なのは確かです。例えばローン残高2000万円からスタートで毎年の返済が100万円の場合、こうなるので若干どころでもないですね。
- これまで・・・2000*1%+1900*1%+・・・=155万円
- これから・・・2000*0.7%+1900*0.7%+・・・98万円
私的年金等に関する公的な税制のあり方
いわゆる金融所得課税に関する話です。30%にするだのしないだの、なかなかに話題になってましたね。これついてはこう書かれています。
と言うことでいますぐどうこうな話には一旦ならずに終わりました。ただこう書かれている以上は税率が上がる方向なのは間違いないと思っていいでしょう。
総論も各論も両方大事
ニュースをざっとみてるだけだと増税がわになったのか減税がわになったのかにフォーカスが置かれます。
が、一個人として触れる以上は各論部分にしっかり目をむけて自分が関係するところが増税するのか減税するのか、税率は変わらなくても条件は一緒かなどを把握したいところです。
自分の場合は家もないし相続受けたり授けたりするような資産もないしでほとんど無関係なのですが、でも知らない間に制度が変わってたら嫌なもんです。だから関係ないことを確かめる意味でも眺めておく価値はあると思って読んでます。
「自分には無関係だから」これは読む前ではなくて読んでから言うようにしましょう。自分が損をしないためのことです。