2023年度の国民年金受給額

3年連続で受給水準落ち込み+ようやくマクロ経済スライドが発動

Yahoo!ニュースなどでご覧になられた方もいるかもしれませんが、今年4月分以降の年金額は増額されます(厚生労働省 令和5年度の年金額改訂について

増額ではありますが、実質的な給付水準は落ちています。その内訳は次項にて。

なぜ年金の給付水準は目減りしているか?

年金額は次の流れに沿って決まってます。この情報も上記リンク先を参照して記載しています。※ここは1年前の記事と同じことを書いてるのでわかってる方は飛ばしてくださいまし。

年金の決まり方
  • 次の数字を用意する
    • 賃金伸び率A%
    • 物価伸び率B%
    • マクロ経済スライドによるスライド調整率C%
      • C=前年の繰越分D%+公的年金保険全体の被保険者数の増減率E%+平均余命の伸び率F%(Fは▲0.3で固定)
  • 年金の改定率を計算する
    • 前年に対する年金の増減率G(%)=A or B+C

上記の決め方に当てはめていくと次の通りとなります。数字は厚生労働省 令和5年度の年金額改訂についてを参照しています。

  1. 賃金の伸び率A=2.5
  2. 物価の伸び率B=2.8
  3. マクロ経済スライドによるスライド調整率C=公的年金保険全体の被保険者数の増減率0.1+平均余命の伸び率F%(Fは▲0.3で固定)=▲0.3
  4. マクロ経済スライドの未調整分D=▲0.3
  5. A<Bなので既に年金をもらっている人もAに合わせて改定する
  6. A≧Cなので初めて年金をもらう人の増減率はA+C=2.2%
  7. A≧Cなのですでに年金をもらっている人の増減率はA+C+D=1.9%

で、結局何を以て給付水準が落ちたかといえば給料(+2.5%)や物価(+2.8%)よりも年金(2.2%だったり1.9%)の伸びが小さいことです。これで「なんで給付水準が落ちるんだ」という方へ。

最初っからそういう制度です。給料や物価が落ちればそれ相応に減額されますし、給料や物価が伸びてもそれ相応には増額されない、そうすることで年金が破綻しないようにしているんです。

なのでニュース記事で「実質目減りへ」みたいな書き方がされていますが、最初っからそういうもんです。実質目減りかただの減少かのどちらか。「バナナは甘い」とか「今の1万円札の肖像は福沢諭吉」レベルに当たり前のことが見出しにでているのに、何とも騒ぐ人の多いこと。

そろそろ5年に1回の年金財政検証のタイミングにもなるので、また制度改正(というか正確には改悪)がされるか注目です。

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