この記事のもくじ
今回紹介する本
『はじめよう、お金の地産地消』です。
地産地消、地域、エコシステム。現代社会の時流に乗っかったいかにもSDGsなワードが並んでおります。いつ、どの本で読んだかは忘れたのですが、地域(地方)でお金を回すみたいな話を見聞きした覚えがあって、さらにそこから深掘りしたものが読みたいなぁと思っていたところにこちらでした。
フラットな状態でお金の地産地消って何をイメージしますかね?食べものの場合は地元で栽培して、地元で食べてですがお金にも当てはめると地元でお金を生み出して地元でそのお金を使うということになります。使う方はわかるけど、生み出すってどうやるんだ??
そんな疑問に対してお金の地産地消とはなんぞや、なぜお金の地産地消が大事なのかを説いているのが本書です。著者はNPOで活動している方で、まさにお金の地産地消によって活動が成り立っていると言っても過言ではないバックグラウンドをお持ちです。
- 新しいお金の流れをつくる
- 過去を見るか、未来を見るか
- お金と人のエコシステム
- 仕事の「価値」って何だろう
- 小さな一歩から始まる
- 共助社会を目指して
おかねの「地産」はどうやって成立させる?
ここ疑問ですよね。自分はそうでした。本書の冒頭部分で地産と地消それぞれの流れを解説してくれていますが、ここでは地産の部分のみ紹介します。
お金は必要だけど、前提条件がある
お金の地産地消とはいうものの、一応釘を刺す形で前置きがちゃんとされています。
- 地域の課題解決には時間が必要。だからこそ継続的な活動のためにお金が必要になる
- 株主がいないだけで稼いでも別に構わない(事業に再投資するだけ)
- 人や情報も貴重な経営資源。それでもなんともならないときの奥の手がお金
お金さえあれば大概のことは解決しますが、かといってお金に走りすぎては本書で言われているような地域課題、人の課題は置いてけぼりになるでしょう。
「志金」のお集め方は大きく4つ
本書では次の4つが資金調達の手段であるとしています。
- 回避・寄付
- 事業収入
- 補助・助成金
- 受託収入
自分たちで稼ぐのはともかく誰から会費や寄付を受けるかが肝なのですが、ここではその地域の個人・法人を指しています。これが地元でお金を産むところにつながります。
投資信託と一緒で「一人の1万円では何もできないけど、1万人が1万円ずつ出せば1億円。なんでもできる!」というのが個々人からお金を集めて活動することの意義でもあると思います。
問題は出資できる人がいるかどうか
著者が住んでいるのは愛知県は名古屋市です。日本三大都市圏の一つですね。
こんなこと言うのは恐縮ですが、名古屋であれば地域差はあれど平均収入くらいは稼いでいる人がある程度の人数いるでしょうから、「志金」を集めるのはそこまで難儀ではないと思います。でもそこから外れた地方の、しかも〜〜村みたいなところを土俵にしようとしたら、そんなお金は集まるのかという懸念があります。
著者も「はじめに」で市町村の消滅危機のことを言及されているので認識した上でだとは思いますが、そういうことが言われている場所で地産地消ができますかというとできないと思います。特に地産は。
お金の地産地消を志向されている一つの理由に共助の時代になっていることを挙げられていますが、それであれば共に創る「共創」でお金を稼ぎに行くスタンスが市町村単位で求められるのかなと思います。著者がされているようなNPOの活動はそれをサポートする、という位置付けで。