【2023年読書レビュー特別版】3・11から考える「この国」のかたちー東北学を再建するー

今年は趣向を変えて読書レビューにします

2021年、2022年の3・11では東北にまつわる情報を紹介しつつ、自分がやりたいこと等々の表明をする枠としていました。が、データ出すだけって読み手にとっては意義がないように思いましたので今年は東北にまつわる書籍のレビューをすることにしました。

『3・11から考える「この国のかたち」 東北学を再建する』です。


本書は新聞の連載をベースとしつつ被災地のフィールドワークを通じて著者が思ったこと感じたことがつらつらと書かれています。著者が被災地を訪れたのは2011年6月〜2012年3月と比較的発生から早期です。今行っても見えないこと、感じられないことが本書から感じられるかもしれません。

本書の目次
  • 新章東北学
  • 東北学第二章への道

震災から見る将来のまちづくり

2011年3月11日から今日で12年、これで干支が一回りして当時生まれた子供たちは小学6年生です。また時間が経ったなと思います。

今日基準で話すともう12年経っていることもあり福島第一原発の影響を受けている地域を除いては津波で更地になったエリアの再整備はおおよそ完了しているか方向性が決まっている印象です。

まずは本書で津波で全てがなくなった場所の新しいまちづくりをどう考えていたかというと要点はこんなところです。

  • もとを正せば人口増加を受けて本来住みづらいようなところも土地を開発して人が住むようになった
  • それが津波という形で元の形に戻ったとも言える
  • だからあえて我々が思う元ではなくて、本当の元の状態=自然に返すのも検討の価値がある
  • その上で再生可能エネルギー産業などをその土地に展開することで経済的な恩恵を地域住民が受けられるようにする。

現実問題としてこんなふうにはなってませんが、自分も自然に返す点は著者の考えに賛成です。少子高齢化を考えると震災が起ころうが起こらまいが、人が住む場所を集中(もちろんそこはハザードマップで見たときに安全な場所)させた上で公共交通をベースとした社会インフラ整備した方がいいとずっと思ってますし。

例えば去年自分が宮城旅行した時には石巻にも行きましたが津波の到達範囲に何がありましたかと言えば、震災の資料館みたいなところと公園くらい。

ただし著者がいう再生可能エネルギーの基地化は理想論に思えます。再生可能エネルギーといって思いつくものを挙げてみると

  • 水力:ダムとか流れの急な川じゃないと適当ではない。津波が到達した=左記とは真逆で不適
  • 地熱:温泉や国立公園のエリアじゃないとNG
  • 風力:安定した風が必要。津波到達する場所だから適当とはならない
  • 洋上風力:そもそも地上にないし、できても周辺設備くらい
  • 太陽光:やってもいいけど、緯度が高いので南側よりは日照時間の観点では不利。どうしても東北じゃないと、な理由はない

ということで東北が適地かというとNOです。理想は理想として、現実は緑地公園みたいにして簡単な屋外イベントを開けるようにする(もちろん津波が来た時用の避難施設はセットで)くらいしかないかなぁ。

”発展”よりも”維持”継承”を考えるべき時代かも

震災が起こってからの数年間は復興といっても震災前の状態を良しとするのではなくて、これをきっかけに震災前よりもいい状態に持っていこうという機運が感じられました。それはまちづくりの方針や例えば六魂祭もそうかと思います。

ただ、1年前に紹介したようにマクロ的には人口流出が進んでいるのが東北地方。これは東北だけではなくて地方全般の問題ですが、こうなってしまうとより良い状態よりはいかにして現状のインフラなり継承されている文化ノウハウをキープしていくかに重きを置かざるを得ません。

自分が経済的自由を達成して仮に東北に移住して何かをしようと思ってもあと10年はかかる計算です。今から10年前の人がコロナやロシア・ウクライナの戦争を想像していないようにあと10年後というのはかなり不確実性が高い時間軸です。

そうなると10年後に向けて何をしようというよりは今の状態で何をすればいいか考え直さないといけないかもしれません。引き続きふるさと納税をするとか特産品を買うくらいのことはしますが。

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