この記事のもくじ
はじめに
NISAって何の略か知っていますか?
N(日本版)I(Individual)S(Saving)A(Account)
と偉そうに書きつつ覚えているのはNが日本版ということだけでいっつもISAなんだっけになっております。
ということで今回はNISA制度に関する小話です。NISA制度が日本版ということは別のバージョンがあるの?と思った方は非常に鋭いです!
NISAはイギリスのISAを参考にした?制度ですが参考にしたという割には内容を見てみるとただの劣化版ISAじゃんと思ったので今回紹介させてもらいます。
本家ISAとNISAを比較!
本家ISA
まずは比較元である本家ISAの内容を紹介します。詳しくはMUFJにまとめられているのでこちらを参照ください。
- 対象年齢:18歳以上
- 非課税枠の上限:2万ポンド≒現在のレートで300万円
- 非課税の期間:無限
- 投資できる商品:預金、投資信託など
- 口座の種類:預金型、株式型、ジュニア型
自分がこれをパッとみた時の感想は「シンプルでわかりやすい!」。
NISA
さぁ、我らが日本のNISA制度の登場です。こちらも同様に金融庁のHPを載せておきますので参照ください。
- 対象者:18歳
- 非課税枠の上限:一般型は120万円、つみたて型は40万円
- 非課税の期間:一般型は5年、つみたて型は20年
- 投資できる商品:投資信託、ETFなど
- 口座の種類:一般、つみたて、ジュニア
一般NISAは非課税枠と投資できる商品が変わるので現時点では、とお断りしておきます。また、ジュニアNISAは廃止となる予定です。
比較してみると・・・
これらを比較するとこうなります。
- 対象者:引き分け!
- 非課税枠の上限:イギリスの圧勝!
- 非課税の期間:イギリスの圧勝!
- 投資できる商品:引き分け!
- 口座の種類:まぁ・・・引き分けで!
ということで、肝心の投資金額や期間についてはイギリスの圧勝です。日本のほうがいいよ!という点はひとつもありません。
NISAが劣化版ISAになっている想定要因
これは推定であって裏どりはないので注意願います。
- 富裕層優遇の批判を恐れた
- 株の売却益から徴収できる税金が減るのを嫌がった
富裕層優遇の批判を恐れた
どういうことかというともし年間の非課税枠が100万円の場合と1000万円の場合を考えます。それぞれに対して年間に投資できるお金を1000万円持っている人と100万円しか持っていない人がいるとします。すると
- 年間の非課税枠が100万円の場合
- 年間に1000万円を投資できる人→100万円分は非課税枠で、残りは課税枠で
(この900万円分から出た利益には税金がかかる) - 年間に100万円を投資できる人→100万円分すべて非課税枠で
- 年間に1000万円を投資できる人→100万円分は非課税枠で、残りは課税枠で
- 年間の非課税枠が1000万円の場合
- 年間に1000万円を投資できる人→1000万円分すべて非課税枠
- 年間に100万円を投資できる人→100万円分すべて非課税枠で
庶民からしたら富裕層にたくさん税金を納めてもらって自分たちに還元してほしいと思っているわけですから非課税枠が大きすぎて富裕層が税金を払わなくてもよくなるのはムカつきますよね?
ただ自分は「富裕層がたくさん税金を収めてくれることにまずは感謝しろよ」て思ってますが。自分もそうですが、年収400万円とか500万円ぐらいでは
自分が払っている税金、社会保険の金額<自分たちが受けているサービスの質
なのですから。
株の売却益から徴収できる税金が減るのを嫌がった
一つ目と話は同じですが、富裕層にしろそうでないにしろ非課税枠でばっかり投資されちゃうと国としては国民が投資をするようになっても税金をたくさんとれません。
特にこの制度をつくったと思われる財務省はプライマリーバランスといって税収だけで必要な出費をすべて賄える状態を目指している省庁です。つまり
取れるところからは税金はたくさん取りたい!でも各省庁の予算はできるだけ削りたい!
なので、非課税枠や投資期間を無期限にしなかったと考えられます。自分はこっちが有力だと思っています。
想定要因に対する個人的意見
最後に上記2つの想定要員に対する個人的意見を書いて終わりとします。
富裕層優遇の批判を恐れた
別に無視すればいいのではないでしょうか?上記の通り、庶民が負担以上のサービスを受けられているのは富裕層がたくさん所得税やら住民税やらを多く払ってくれているわけですし、そういう方も大概は然るべきことをして財産を築いてきたわけですからとやかく言われる筋合いもないわけです。
株の売却益から徴収できる税金が減るのを嫌がった
もしこれだとしたら見当違いだと思います。日本の金融資産における問題は
そもそも投資に回されているお金が海外と比較して極端に少ないこと
です。もともと投資する土壌がそこそこあって、あと少しだけ活性化させたいというなら今のような制限にしておくのはありと思いますが、まずは投資に目を向けさせないといけないのにメリットが中途半端で魅力が減じてしまっています。
もし税収が減ると本当に懸念しているならその分法人税を取ればいいと思います。どういうことかというと
- 今までよりも国民が投資にお金を使うようになる
- 会社に今までよりもお金が入ってくるようになる
- たくさん企業も工場設置や新規事業に投資できるようになる
- 利益が上がる(かもしれない、普通は上がらないとおかしい)
わけです。この利益部分に対してかかる法人税の税率を上げれば十分回収できるでしょう。本来国として発展させたいならこっちの筋のほうが王道であるべきで、別に法人税を上げなくても給料が増えた分消費が増えれば勝手に消費税からの税収も増やせるし、所得税住民税もたくさん取れます。
別にイギリスを全部パクれとは思いませんが、
- 非課税枠の投資上限:年間120万円
- 非課税枠の期間:40年間
20歳から始めて60歳まで枠をつかって投資し続ければ人生100年まで対応可能
これくらいにしてくれてもいいのに・・・。
NISA制度は近い将来もそうですが、改正の可能性が0ではないので今後の改善に期待したいところです。