【2021年読書レビュー】がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方

この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。

お断り(2021年11月)
この記事はもともと毎月読んだ10冊をまとめて紹介する形で掲載していましたが大変読みづらいことに気づいたので、1冊ずつのレビュー形式で再掲していますm(_ _)m

今回紹介する本

『がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方』です。

人はいつか死にます。でもそれは70歳、80歳であろうという前提についつい立って将来の見通しを立てがちです(自分は)。

ですが筆者である関本剛さんは44歳(2021年時点)という若さで肺がんで余命宣告を受けました。しかも職業は緩和ケア医でご自身が診てこられた方の状況に自分がなってしまったという大変な経緯をお持ちです。

本書は肺がんが発覚するまでの話や死ぬこと、生きることについて現時点で考えられていることがまとまっております。

本書の構成は以下の通りです。

本書の構成
  • 余命宣告を受けたときの話
  • 医者になるまでの話
  • 死ぬことについて思うこと
  • 生き方
  • これからの人生、どう生きるか

人は生きてきたように死んでいく、だからよく生きないといけない

筆者は緩和ケア医として働いているため、自身と同じように余命宣告を受けた患者さんに向き合ってこられ、そして看取ってこられました。

そんな中で行き着いた以下の言葉が重く感じられます。

  • 「よく」死ぬためにはよく生きなければならない
  • 人は死ぬ前に真の姿を見せる
  • 時々最悪に備えつつ、普段は最善に期待する

最悪を想定しておくという考え方は自分自身好きな考え方ですが、最善は原則期待しないほうです。ただ、筆者の場合はもちろん治ってくれるなら治って欲しいというのが偽らざる心情と思います。自分でもそうです。

生きるのを諦めた瞬間、死んだも同然ですから死が間近に迫っているときにはこのバランスが大事なのかもしれません。

明日があると思って生きない

この本のいいと思ったところ

  1. 患者さんとのエピソードがあること
  2. 余命宣告された当事者が書かれていること

筆者は自分自身が仕事で相手にする方の立場に期せずしてなったことで仕事に生かされるという純粋には喜べない状況です。

ただ後ろ向きな言葉は見当たりません。余命宣告された以上、死を意識しつつも目の前の仕事なり講演なりを大事にされている印象を受けました。

いま病気で苦しんでいる方、そうでない方の両方に響く言葉が詰まっています。

その日その日を生きる、の心がけ

コロナ禍になったからかもしれませんが、四六時中ではないにしろ死を意識する機会が増えました。

「このまま死んだらどうなるだろうか」

「これが最後の帰省になるかもしれない」

「これが最後の出勤になるかもしれない」

まだアラサーなので平均寿命までは半世紀近くあります。でもその日その日をきちんと生きる、仮に今日が今生で最後の1日で死後に振り替えられるとしたときに一切後悔がないようにするにはどうしたらいいか。

そのために上記を意識しておくことはむしろ有益だと考えます。これを0の状態から意識するのは至難ですので、そのきっかけとして本書のような先人の死生観を知れる情報媒体は適していると言えます。

この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人

おすすめ度は10点満点中10点です。

この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。

  • ついつい怠惰な毎日を送っている方
  • 後悔のない人生を送れるようになりたい

いま病気とは無縁だという方にこそ響く内容であり、一読の価値がある本と感じました。

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