この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『「エビデンス」の落とし穴 「健康にいい」情報にはランクがあった!』です。
エビデンスとは「科学的根拠」のことです。なんらか情報を発信するときにこのエビデンスがあるかないかがまずチェックされますが、エビデンスがあればなんでもいいかというとそうではありません。
COVID19が流行り始めたときも
- マスクをする必要はないと言っていたのに結局したほうがよかった
- オゾンを使ったらウイルスが死滅する?
- イソジンを使うのがいい!
などエビデンスがはっきりしてるかしていないかもわからない状態の情報がたくさん流れたのは記憶に新しいです。
本書はエビデンスとは何か、エビデンスの信頼性の違いを通じて情報を正しく取捨選択できるようになることを目指して執筆されています。
構成は以下の通りです。
- エビデンスとは?ーエビデンスのレベル
- エビデンスの歴史ーエビデンス重視の医療(EBM)はつい最近の話
- エビデンスが異なる健康情報のウソホント
- 怪しい情報が生まれ、広まってしまう理由
- 本物の情報の見つけ方
エビデンスのレベルはこれだけある
「この情報にはエビデンスがあります、〇〇の研究によると〜〜」と言われたら一般ピーポーは「じゃあ信用してもいいんだ!」と思ってしまいます。
ところがどっこい、そうでもないから厄介なわけです。本書ではエビデンスレベルを高い順に以下分類で紹介しています。
- システマティックレビュー、メタアナリシス:複数研究の信頼性高い情報だけ抜粋。レビュー論文的立ち位置
- ランダム化比較試験:誰をどのグループにするか従事者がわからない状態で比較試験
- 非ランダム化比較試験:誰をどのグループ(薬を投与する人とプラセボを投与する人)にするかあらかじめ決めて比較試験
- 症例対照研究・コホート研究:過去実績もしくは現時点から追跡していく研究。例)肺がんになった人を調べたらそうでない人より喫煙率が高かった
- 症例報告:単なる結果報告。例)アビガンを投与したらよくなった(アビガンを投与してなくてもよくなった人がいるので因果関係不明)
- 専門家の意見:データに基づかない。例)アビガンはCOVID19に有効
一個人の意見は一番レベルが低いので、こういうブログもその基準に当てはめればエビデンスレベルは最悪という非常に厳しい結果です。
情報を得る立場としてはできるだけエビデンスレベルが高いもの、そもそも言うとエビデンスレベルがわかる情報を入手することが大事になります。
できるだけ投稿するものの情報、特に数字を伴うものは出典元をつけて、出まかせの意見だと思われないようにはしてますけどね・・・。
情報収集はエビデンス収集もセットで
この本のいいと思ったところ
- 健康情報にかかわらず正しい情報の集め方がわかる
- COVID19という身近な話を例に使うことでわかりやすくなっている
普段意識しているようで意識しきれていないところだからこそ知っておきたい情報です。
本書の内容に関連して思ったこと
自分が「エビデンス」を気にするようになったのはこのブログを始めてからです。どこから持ってきたとて発信者がただの一般人な時点でエビデンスレベルは最下位になってしまいますが、それでも誰かが読むことを考えるとできるだけ信頼性が高いところから情報を探さねばと言う意識になりました。
その結果よく使っているのは以下の媒体です。
- 政府などの公的機関のHP(go.jpで検索をかけると高い確度でヒットします)
- メーカー、医療機関のHP(これは自分で探す)
- 書籍、論文(j-stage、Googlescholarで検索します)
インプットするだけ、自己完結だとあまり気にならないのですが発信するありきだと迂闊なことはできないのでもし情報収集を慎重にできるようになりたいというなら、その情報を発信する前提で動いてみるといいと思います。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中10点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 正しい情報を得られるようになりたい
- 健康に関して正しい知識を知りたい
エビデンスを意識してなくても「雑誌の〇〇はいっつも嘘っぱちだから信用ならんな」とか「〇〇新聞は野球チームの〜〜と関係が近いからここから情報が出たってことは正しいに違いない」このような考え方をしている方もいるでしょう。
が、もう一歩踏み込んで誰が言ってるのか、証拠と言える情報はあるのかまでチェックするようにするとエビデンスの落とし穴にはまらずに済みます。