この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『値段がわかれば社会がわかる はじめての経済学』です。
旬のものは安い、生産限定品は高い・・・こんな風にものの値段についてざっくりした印象を持っている方はいるでしょう。
それでは。どうやって値段が決まっているか、なんのために値段が存在するか、と聞かれると自分はウ〜ンと唸ってしまいます。
本書はその原点に立ち返って値段ってどうやって決まっているのかとか、値段のコントロールが社会にどういった影響を与えているかを明瞭に理解することを目的に執筆された本です。
- 買い手にとっての値段の意味
- 値段が需給をコントロールする
- ものを作るのにかかるお金
- 「市場」で値段が決まるまで
- 完売させるための値決め戦略
- 消費者という値段チェッカー
買い手はどうやって値段を判断してる?
買い物をしていると目に入ってきたものと値段に対して「これは高いな」とか「コスパがいいな」といった感想をかなり早い段階でもつかと思います。
このような値段に対する判断には次のような仕組みが働いているそうです。
- “参照価格“の存在:これくらいが妥当だろうという基準の価格の幅
- ちょっとしたものは直感(システム1)、高いものはじっくり考えて(システム2)判断する
- 値段の高い安い以外の心理的メリット(満足感とか高揚感)による判断
- 第一印象を基準にした判断(昨日より安くなってる、高くなってる)
こういうのは無意識のうちに自分の中で形成されていくものでしょうから中々自分で気づかないものでう。
自分はというとお米なら10kg3,000〜4000円、肉なら100g98円くらいが参照価格です。
買う方としては売る側の値段設定が「普段はあえて高く見せておいて特売の時の値段が本当に売りたい価格なのかもしれない」とか「これが過去の傾向からみて最安だ」などと判断できるようになると買い手としては優秀、売り手としては厄介な存在に慣れますね。
裏側を知ると取るべき行動も見えてくる
この本のいいと思ったところ
- 値段のいろはが分かる
- 行動経済学や心理学も交えた説明に納得感がある
数字に関わることは知らないより知ってた方が絶対損にはならないので有益です。
本書はものを作るときにどんなコストが掛かって、生産者、卸売、小売店それぞれがどんな意図で値決めをしているのかが分かるので深く正確な理解ができるようになっています。
本書の内容に関連して思ったこと
買い手としては安く買えるに越したことはありません(もちろん一定の品質が担保されているという条件付きですが)。ただ、本書の内容を理解されたなら一個人として徹底して安さを追求するのが合理的としても経済全体で見たときに誰かの犠牲を強いている、もしくは損失を負わせているーーこのような意識を持つべきと思います。
生産者も卸市場の方もスーパーのような小売店もボランティアでものを売っていません。自分達も収入を得て食べていくために生業としてやってるわけです。
生産してくれる人、運んでくれる人、売ってくれる人、それぞれのおかげで“私たち”は自分達で服を編まなくてもおしゃれな洋服を着られるし、毎日田んぼの様子見などしなくても美味しいご飯を幾許かのお金を出すだけで食べることができます。
これってとても幸せな話ですよね。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 商売の裏側を知りたい
- 普段の買い物の行動は客観的にどうみられているのか興味がある
以上踏まえて、適正な範囲内でものを買うようにしたいものです。そうでないと巡り巡って自分自身が安く買い叩かれる、なんてことにもなりかねません。