この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『中国vs.世界 呑まれる国、抗う国』です。
近年、世界における中国の勢いは増すばかりです。ひと昔前だとアメリカと張り合う国といえばロシアだったのがここ数年はアメリカvs中国(ロシアは中国のバック)という構図に変わりました。
元々日本といえば中国とあまり仲がよろしくない(というか韓国といいご近所さんと仲が悪い)国の一つでその傾向は変わっていませんが、他国はというと中国との関係がいい方向にも悪い方向にも変わっています。
本書は中国との関係性が変わった10の国についてその背景、具体的な関係性の事例を紹介しています。
- イスラエル
- ナイジェリア
- カザフスタン
- エチオピア
- オーストラリア
- セントビンセント
- セルビア
- カナダ
- パキスタン
- スリナム
一帯一路構想と他国のつながり
中国が世界での立ち位置を大きくしようというわかりやすい事例が「一帯一路構想」です。
- 中国と欧州を結ぶ巨大な広域経済圏構想
- 鉄道や港などのインフラ整備を中心とした事業で中国の存在感を増す狙い
この一帯一路構想のスタート地点に当たるのが「カザフスタン」です。カザフスタンと中国は次のような関係を持っています。
- 中国語の教育機関「孔子学院」を展開
- 元々中国との結びつきが強かった「ドゥンガン人」がその恩恵を享受
- カザフスタンにとって第二位の輸出入国
こういうと無条件で仲が良さそうな気がするしますが、どうやらそうでもない。
というのもカザフスタンの国境には新疆ウイグル自治区があり、そこにはカザフ族の人が住んでいたり、逆にウイグル人が自国内にいる事情から中国で弾圧されている現状を快く思っていないようです。
民族が絡むと国一丸として態度が統一されないのはどこでもある話です。
一個人として中国とどう関わるか?
この本のいいと思ったところ
- 他国の事情が詳細にわかる
- 世界で中国がどのくらい存在感を伸ばしているかわかる
他国で竹島問題や尖閣諸島の領土問題が報じられないように、日本にいたら他国と中国の関係がわざわざ報じられることはありません。ただ、これだけグローバル化した世界においては直接関係ないからいいやではなくて、隣国である中国が日本以外とどうつるんでいるか知ることは重要です。
本書の内容に関連して思ったこと
ひと昔前ならわざわざ選ばないとなかった中国製、中国産の〇〇。しかし今はスマホの主力メーカーとしてApple以外といえばファーウェイやオッポ、シャオミなど選択肢から除外するのが困難なほどになりました。
国家としてどう関わるかはマクロ的な話ですが、一個人として中国に絡むあらゆることとどう付き合うか、具体的には
- 中国製品を買うか買わないか
- 事業を経営する立場なら中国をビジネスの対象として捉えるかどうか
は自分で正解を定義しておく必要があると思います。
一般的な国民感情なら「中国のものは買うな!」となるのでしょうが現実問題、そう簡単にいかないのが現状です。個人としてはコスパのいいスマホを使いたいでしょうし、パイの大きな土壌で一儲けしたいというのも自然ですから。
中国は伸びる伸びると言われてきましたが、いよいよここまで来ると時の流れを感じずにはいられません
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中8点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- 広いアンテナを立てて情報収集中
- 中国に興味がある
10代の頃は「将来は蜀の国があった成都に住むのも面白そうだな」とか思ってましたが、むしろ現代となっては他国に住む方がお金がかかりそう。伸びるとはいうても世界における立ち位置含めこんなに発展するとは思ってもいませんでした。
領土、貿易など難しい局面に入ったなと感じました。これからは英語ではなくて中国語なんて時代が来るかもしれませんね。