この記事のもくじ
まえがき
GPIF(Government Pension Invest Fund)は日本語で年金積立金管理運用独立行政法人。文字通り日本国民が受け取る年金を運用している組織です。将来世代の人たちがもらえる年金は目減りすることがほぼ確定していますがそんな中でも少しでももらえる金額水準を維持するために年金(保険料)を運用して増やすのがこの組織が目指していることです。今のためというよりは将来のための運用です。
この記事では7月に発表された2021年の運用結果について紹介します。テレビニュースでは損失(といっても含み損なのですが)が出た時だけ大々的に報じられて利益(含み益)が出た時には大して紹介もされないのですが、私たちの年金に関わる大事なニュースですから、テレビニュースに踊らされずに自分の目できちんとみておきたい情報です。
2021年度の運用成績
正確な情報は2021年度業務概況書を参照ください。必要最低限の数字を引っこ抜いて紹介します。
収益率・収益額
収益率は5.42%、金額にして10兆925億円です。
同じ5%でも一般ピーポーレベルの投資元本だと1000万円でも50万円、5000万円でも250万円。資産運用は規模の世界だというのがよくわかる金額です。
なんせ、運用資産額は196兆円。日本の国家予算約2年分です。
各資産への配分・回収額
以前に紹介したことがありますがGPIFは”基本ポートフォリオ”の範囲内で各資産を保有・運用しているので極端に値上がり・値下がりしてポートフォリオの割合から外れるようだとリバランスをします。つまり、割合が大きくなった資産を売って割合が小さい資産を買うということです。
この1年間では
- 国内債券:+43兆円
- 国内株式:+12兆円
- 外国債券:+3兆円
- 外国株式:−54兆円
ということで外国株式を売って他の資産を買ったということになります。
累積の運用利回り
現在GPIFでは給与(≒物価と言ってもいいけど)の伸び率+1.7%の利回りを目標にしています。つまり物価や給料の伸びよりも早いペースで資産を増やして実質でもプラスにするということです。当然ですよね。
これに対して運用開始からのトータルの運用利回りは3.78%です。楽勝で上回っています。
これが累計の収益のグラフですが2021年度でついに100兆円を突破しています。運用資産額は196兆円だと先ほど言いましたが収益で100兆円ということは、元本がすでに倍近くになってるということです。いやぁ、すごい!!
何度でも言います「国内の割合高すぎ」
インデックス投資でこれがいいと言われているのは「時価加重平均型」です。S&P500はまさにこれに当てはまってますし、全世界株式は時価加重というにはグレーですが各国のGDPに応じて按分しているという点では時価加重型の指数です。
投資の世界では自国の企業なら相対的に知ってるから(実際は知った気になってるだけ)割合を多く投資しがちとされます。カントリーバイアスと言います。
もし全世界株式と同じようにするなら日本の割合は大体10%です。つまりGPIFのポートフォリオに当てはめると株式と債券の割合はそのままとしても国内と海外の割合はこうあるべきです。
- 国内債券:5%
- 国内株式:5%
- 外国債券:45%
- 外国株式:45%
百歩譲ってもMAX10%かなと。
GPIFはあくまで必要なリターンを得るためにできるだけ最小のリスクで、という観点でポートフォリオを決めているので感情は入っていないはずですが、日本とそれ以外が1対1っていくらなんでも日本に偏りすぎやろって思います。
これまでに試算した積立期間別とか保有期間別のリターンの検証結果から言えば日本の債券とか株式ってインデックス連動だろうがリスク(値動き)だけ一丁前にあってリターンはない資産クラスなので、そんなもんに投資するならキャッシュとして持っといてくれ!が自分の要望です。
今はリターンが出てるからいいけど、早くポートフォリオ見直さないかな〜。