【2022年読書レビュー】リスクを考える

まえがき

今回紹介する本

『リスクを考える』です。

本書の概要

本書のテーマは「リスク・コミュニケーション」です。聞きなれない言葉ですが著者の造語ではなく世の中に元から存在する概念です。一般社団法人日本リスク・コミュニケーション協会による定義を紹介しておきます(そんなドストライクな団体があるんかい!って感じですが)

「有事の際に、内外のステイクホルダーと適切なコミュニケーションを図ること。これを迅速に進めるため、平時より準備を進めること。」

ステークホルダーとは企業にとってのあらゆる利害関係者で株主や従業員、事業所の周辺住民や自治体を指します。本書は後者の方=平時より準備を進めておくことに重きを置いているように思いました。

昨今多岐にわたる不祥事が表面化しては外部からの総批判を食らっている企業がたくさん出てきています。CSRなんて言葉も出てきちゃってますので企業としては経営活動を継続するためにリスクのことを考えないわけにはいきません。

本書はリスク・コミュニケーションの概念から正しい情報をもって社会全体でリスクを減らすことを目的に下記内容を解説した書籍です。

本書の構成
  • リスクを知る
  • リスク・コミュニケーションの定義
  • リスクを認知する
  • リスクを伝える技術
  • リスクを管理する
  • リスクについて話し合う
  • リスクを共有する

ことが起こった後の正しい対処

本書ではリスク・コミュニケーションと並んで”クライシス・コミュニケーション”についても触れています。リスクが顕在化したものがクライシス、つまり何かリスクとして恐れていた事象が起こっちゃったことです。

こうなるともはや定型化された形で謝罪会見であったりプレスリリースが発表されますがここに一石を投じています。シュレンカーという方のアイデアを引用しているだけなのですが、謝罪するなら次の5つの要素が必要だといいます。

  • 罪悪感、悔恨の気持ち
  • 何が適切であったかの認識
  • 反省点
  • 今後望ましい行動をすることの保証
  • 補償の申し出

なおこの概念については「事件事故対応の事例からクライシス・コミュニケーションの役割を考える」でも学べます。j-stageのオープンアクセス資料なので無料閲覧できます。

お手本的な謝罪文

本書には書いてないので上記のj-stageの文献で紹介されている事例を引用します。

弊社加盟店である高知鴨部店の従業員がアイスクリームケースの中に入るという不適切な行為を行ったことが、Web上への写真掲載により判明いたしました。お客さまには大変不安・不快な思いをさせてしまいましたことを心より深くお詫び申し上げます。食品を取り扱うものとしてあってはならない行為だと反省しております。二度とこのようなことが起きぬよう、全社員・加盟店一丸となって信頼回復に努めてまいります。

2013年にローソンの某店舗で店員がアイスケースに入ったという事象を受けてのものです。この本文部分には「補償の申し出」以外の全てが網羅されており、「補償の申し出」についてもここには載せてませんが「経緯」を説明する中で当該店舗との契約解除+当該店員の解雇したことを謳っています。

読んでても何に対して悪いと思ってたかよくわかります。

反省教師な例

こっちは具体例を探そうと思えばいくらでも出てくるので割愛です。ネット上のコメントで「何に謝っているかわからない」と言われてしまうなんとなくのご迷惑とご心配をおかけしました・・・というお詫び文章や一個人が新型コロナウイルスに感染して「ご迷惑をおかけして・・・」も本質的には一緒です。

とりあえず謝っとく感があります。シビアな人だと「別に心配してないけど!」とか「謝らんでもいいからさっさどうするか説明して」というツッコミをするかたもいるでしょう。どうせ謝るなら印象を悪くしないお詫びをしないといけませんね。毎日の生活でも一緒です。

テキスト

テキスト

あとがき

新型コロナは別かもしれませんが、日々の生活をするだけならリスク・コミュニケーションってそんな使うか??が自分の感想です。どちらかというと組織での活動で生きるのかなと。

本書を読むなら既に仕事をしている人、組織を束ねるような立場にある人が関係者間でいい意味で意思疎通をスムーズにできる方法を知る目的に活用するのがいいんじゃないかと思いました。

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