高額療養費制度≠高額医療費負担

まえがき

こないだこんなニュースが流れてましたね。

これ、Yahoo!のリアルタイム検索で少し話題になっていました。なんでだと思いますか?


それは

「高額療養費制度を廃止するなんて財務省はふざけんな!」「財務省は国民のための出費を減らすことばっかりすぐにやりやがって!」みたいな印象を与えたからです。同じような感想を持ったかた、いませんでしたか?

わざわざ印象を与えたというくらいですから事実は少々異なります。それが今回のタイトルでもあるんです。以降で1つ1つ整理していきましょう。

高額療養費制度のおさらい

結論としては「療養費制度」じゃなくて「医療費負担」なのに、それを読み違えているだけなんですけど、療養費だとかなり多くの人が絡むこともあってなかなかの反響となりました。ここで高額療養費制度についておさらいしましょう。

知らない人のために申し上げておくと、病院や歯医者さんに行った時に自分達が払っているお金というのは実際にかかっている費用の一部に過ぎません。じゃあそれは誰が払っているかというと

  • 普段払っている健康保険の保険料
  • 税金

です。具体的な負担割合はいかにまとめましたが、もともと自分達が払っているお金は実際にかかっているお金よりも安く済んでいることをここで認識しましょう。

病院や歯医者などでかかる費用の負担割合
  • 70歳未満・・・3割
  • 70歳以上・・・1〜3割(収入と年齢による)
ただし、差額ベッド代や食事代は含まれない

これが月せいぜい数万円なら自己負担は高くても1万円とか2万円で済ませられますが、もしも急病などで手術をしないといけなくなったり、投薬治療を受けないといけなくなったりしたら・・・。

と考えると懐が寒くなりそうですし、実際寒くなってしまいます。大元が100万円だったら自己負担3割でも30万円かかっちゃいますからね、そんなことになったら病院行かない人も出てきそうです。

そうならないようにしているのが高額療養費制度です。1ヶ月ごとの治療費が高額になったときに自己負担が3割よりも軽減される仕組みでして、年齢と年収に応じて決まります。ここでは70歳未満の場合だけ示しますが、詳細は厚労省の資料を確認ください。

口酸っぱく言います、これは高額療養費制度です。タイトルだけ見て騒いでいた方はこの制度を財務省が無くそうとしていると勘違いしたようですね。

財務省が口を出したのは「療養費」ではなくて「医療費」

財務省が口出ししたのは高額医療費負担です。ネットで単語入れて調べても高額療養費制度の結果ばかり出てくるのでそこで調べるのをやめた方もいるかもしれません。

財務省がどこで口出ししたかというと「令和4年度 予算執行調査」においてです。財務省のHPでは予算執行調査の位置付けをこのように説明しています。

予算執行調査とは、財務省主計局の予算担当職員や日常的に予算執行の現場に接する機会の多い財務局職員が、予算執行の実態を調査して改善すべき点を指摘し、予算の見直しにつなげていく取組みです。

これが削減ありきでないことを祈るばかりですね。


さて、高額医療費負担に関する説明もこの調査内でなされているので見ていきます。資料はこちらから。

医療費が発生したときのお金のでどころ

ここでは被保険者(=一般ピーポー)以外、つまり公が負担する部分のお金の出どころについて明示されています。

例えば10万円という治療費が発生した場合に69歳以下の方ならそのうち3割の3万円を負担して残りの7万円が公負担となるわけですが、この場合は7万円の50%が被保険者や雇用主が払っている保険料、残りの50%が純粋な公費負担となっています。

この図から、特に高額な治療費が発生した場合(1件80万円という単位の定義が気になりますが・・・)は保険料の枠ではなくて国や都道府県が負担する仕組みになっていることがわかります。

財務省はどうしたい?

このグラフの通り、平成18年にはこの制度の対象になる医療費を引き上げた=ハードルを厳しくしたのに対象となる医療費は増加の一途です。国費負担としては900億円規模といったところでしょうか。

と言うことで、「国保運営の予見可能性を高めるためにも、廃止 に向けた道筋を工程化すべきである」が財務省の見解です。まぁわからんでもないですね。

何度も言うけど受益者負担ベースでいいのでは?

このブログでは何回か医療費やら健康保険に関する記事を出してきて、毎回言ってるような気がしますがここでも申し上げておきます。

この件は財務省起案なので国民からの受けが悪そうですが自分は賛成です。そして、以下もセットでやっちゃえばいいと思います。

  • 高齢者世代こそ3割負担or保険料負担額を上げておく
  • 高額療養費制度を見直す(例えば「1%」を「2%」にするなど)
  • 上記が嫌なら働かせて税金を納めさせる(なんで今の現役世代は生涯現役とか聞かされてんのに今の高齢者は働かなくていいような風潮なのか??)

年金はそもそも現役世代が高齢者を支える構図というか仕組みなどでまぁいいとして、健康保険も実態は同じです。

たっかい健康保険を払っている現役世代が病院にかかることはあんまりなくて大して健康保険料を払わなくていい&主として働いて税金を納めてくれるわけでもない高齢者がアホほど医療費を発生させといて1〜3割負担で済んでいるのは事実です。厚労省に世代別の医療費(自己負担じゃなくて大元の金額がです)見てもらったら一目瞭然です。


別にそれが実現したとして税金を下げてほしいとは思いません。将来のある子供&子供を育てている世帯にお金を回してくれというそれだけですね。

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