この記事のもくじ
はじめに
プライマリーバランスって聞いたことありませんか?日本の特に財務省が早く黒字化したいと言っているやつです。これを理由になんとか増税をしようとか各省庁の予算を削ろうという方向に走っているとされています。
ところでプライマリーバランスって言葉の意味ご存知でしょうか?自分はなんとなく国の家計簿が黒字ぐらいの理解だったのですが、ちゃんと調べたことがない方もいると思い、今回はプライマリーバランスがなんぞやで日本の現状はどんなもんなのか紹介します。
プライマリーバランスとは
国が社会保障とか地方交付税など必要な出費をどの程度税収で賄えているかを示すものです。これは財務省のHPから引っ張ってきたものですが、プライマリーバランスがプラマイトントンもしくはプラスなら借金(厳密には国債ですが)を返すための新規国債の発行額を減らせるというわけです。
家計で考えると必要生活費を払うのに借金に頼っていなければOKといったところでしょうか?
国家予算の資料を見ても歳出総額ー国債費の一部の「国債費の一部」が分からないのでなんともいえませんが、それを無視しても15億ぐらい不足していたので確かにあっていました。
他国はどうなの?
グローバルノートというサイトに厳密には上記と異なりますがGDP(国内総生産、国内でのお金の動きの量)に対してのプライマリーバランスが国別に紹介されています。
185紹介されている国家のうち黒字なのはたったの17です。それ以外はマイナスです。主要国で見ていくと
- スイス:39位(ー2.43%)
- 韓国:56位(ー3.39%)
- ドイツ:74位(ー3.34%)
- イタリア:121位(ー6.17%)
- フランス:157位(ー8.69%)
- 中国:167位(ー10.42%)
- 日本:171位(ー11.88%)
- 米国:177位(ー13.61%)
程度の差はあれ、どこも似たり寄ったりやんと自分は思いました。
プライマリーバランス黒字化に意味はある?
国(財務省)の言い分は?
国としては2018年時点で2025年度でのプライマリーバランス黒字化を目標としています。またまた財務省のHPを見るとプライマリーバランス黒字化をする意味を次のように説明しています。
- 家計に例えるなら生活費の一部を借金で賄っている。借金を返すための借金をしている。
- 得をするのは国債を持っている人だけでそれ以外の人は増税などの影響を受ける
- 日本円の価値が落ちる
- 海外投資家で国債を保有している割合が増えている
言われるともっともらしい理由が並んでいます。
自分の意見
結論から言うと自分は黒字化しなくてもいいと思っています。理由は次の通りです。
- 日本の国債は基本円建て
- 国の歳出には必要分とそうでない分が混じっている
- 個人間や家庭間で借金するのと違って貸し手(日本銀行)が通貨発行権を持っている
日本の国債は基本円建て
もし外貨建てだったら問題になります。
- 1ドル100円のときに100円分の国債を買ってもらう(返すのは1ドル)
- もし返すときに1ドルが120円になったら120円返さないといけなくなる(利子は別)
- 1と2をループして日本円が刷られまくってハイパーインフレ→日本円が紙くずに
ですが、日本の場合は円で買ってもらうので海外の人は買いたくても自分でドルとかユーロから円に換金したうえで購入しないといけません。つまり為替変動のリスクは購入した側が負担していることになります。
だいたい、日本の国債を持っている人は次のとおりで半分が日本銀行、ついで銀行や生命保険会社です。半分買わされているという情報もありますが、海外投資家が入る余地が全然ないです。
国の歳出には必要分とそうでない分が混じっている
家庭の年間支出にしても家賃や水道光熱みたいに絶対いるお金と旅行代や飲み会代みたいにそうではないお金があります。国家予算だって絶対ださないといけない社会保障や交付金(内容の精査しろはあるとして)、科学技術の研究開発費や教育の充実など国の発展のために敢えて出しているお金があるわけです。
100歩ゆずって絶対いる分は税収で賄っている方がいいと思いますが、投資的な出費は国債発行で賄ってもいいでしょう。個人でだって借金して不動産投資やビジネスをすることがあるわけですから。
個人間や家庭間で借金するのと違って貸し手(日本銀行)が通貨発行権を持っている
たとえば子供が親からお金を借りて、その翌月にその借りた分を返すためにまた親から借金して・・・というのは親も無限にお金を持っているわけではないので成立しませんが日本の場合は日本銀行に通貨発行権があるので「国債発行したいからお金刷ってよー!」と言われればそうするまでです。
債務残高を借金ではなく日本銀行による日本銀行券(いわゆる円)の累計発行額と表現するのが正確だと主張する人がいるのはこれが理由です。極論言うと貸し手がお金を作る能力があるので返せなくなるとか返せなくなって貸し手が貸し倒れになることはないということです。
インフレ率のコントロールは大事ですが今の日本の場合はその心配をするまでもなくデフレ状態なのでお金擦りすぎる懸念もありません。
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ということでアホみたいにノーコンでお金するのはどうかと思いますが、今の日本で自然に経済発展してインフレが期待できない以上はインフレを誘導する意味とか継続的な研究開発へのお金のために国債を発行することはやって欲しいと思います。