この記事のもくじ
まえがき
11月2日にLIFE&MONEYから出ていた「高齢単身者で賃貸住まいは3割超。年金と貯蓄で足りるか」を紹介します。
賃貸or持ち家が永遠の議論になるのは、老後の生活にも影響するから。そして、国民年金を5万円台は維持しようだの厚生年金から財源を横取りしようだの足元の物価高だのとくら〜いニュースが並ぶ中でこの見出しはついつい気になります。
とは言うものの一通り読んでみると「それはちょっと・・・」と思うところがあったので記事ベースに自分の意見を記します。
その前にこの記事で紹介されていることを明記しておきます。
- 高齢単身世帯で持ち家は66.2%、賃貸が33.5%(残りは老人ホームとかかな?)
- 賃貸の家賃は平均して55,675円なので65〜90歳の25年間で1670万円必要
※70歳まで働いて工面したとしても1340万円必要なので賃貸でも「2000万円問題」は伊達じゃない - 年金は個人差があるのでねんきん定期便で確認しよう
- 60代の単身世帯の貯蓄額の平均は1860万円、中央は460万円
- 結論:まずは自分に照らして考えてみよう
突っ込みたくなったポイント
重箱の隅を突くようで恐縮ではありますが、ささーっと文字だけ記憶されてしまうと変な解釈を生みそうな箇所についてコメントさせていただきます。
老後資金は家賃だけでなく、生活費の不足分、旅行やレジャー、病気や介護費用なども必要
このまんまの一文があります。ここに2つ言いたいことがあります。
1つ目は家賃は生活費の一部であり思いっきりダブってること。それとも著者の中では家賃は生活費に入らないと言うルールでもあるんでしょうか(皮肉です)。おそらく老後資金=年金以外に自分で貯金なり仕事なりで確保すべき資金と定義してるはずですが、そうならばせめて
老後資金は家賃をはじめとする生活費の不足分(生活費が不足しない場合は旅行やレジャーなどのゆとり費用として)必要
と記載した方がいいでしょう。
二つ目は、介護費用はまぁいいとして旅行やレジャーも生活する上で必ず要るような書きっぷりになっていること。どう考えても違うでしょう。旅行やレジャーができなくなっても人は死にません。自分は旅行大好きですが、あくまでプラスアルファです。
そんなもんは本当に生きる上で絶対必要なお金の問題がクリアになってから考えるべきことであって、全員がケアしないといけないみたいな書き方しないほうがいいです。こんな書き方するから2000万円でも足りないだの、FIREの世界にしたって1億円必要だと思う人間が大量発生するんです。
収入・支出の「平均」
2000万円問題の時も同じですけど、収入(年金)にせよ支出にせよ「平均」を使って収入ー支出だから老後資金が必要だって言ってます。でも平均通りで生活している人なんてまぁいないですよ。それにもし平均通りになろうとしたって老後資金を用意してなかったら実際に生活するときは支出を落とすか働くかするわけですから
老後資金を用意できないとジエンド
みたいな書きっぷりはしない方がいいと思います。
上述の旅行・レジャーを生活費に含めちゃうあたりもそうだし、年金に至っては国民年金の平均が5万円台だって言ってますけど今の制度なら満額収めておけば月に65000円もらえます(2022年11月時点)。
だから65000円もらえていない人は自らの事情で免除申請をしたとか、年金保険料を払えるのにすっぽかしたかのどちらかであって、ここに関しては精度が悪いわけではなく個人の問題です。
どうせ書くならなるべく煽らないように・・・
自分が望むのはこれだけですね。
歳をとってからでも働けばいいなんてのは今の健康状態が続いて雇用してもらえて(ないしは自分で稼げる手段が見つかっていて)という前提条件のもとでの話です。なのでそうならなかった、したかったけどできなかった場合に備えてできる限りの資産形成は誰しも考えておくべきことです。
かといって1000うんびゃく万円だの2000万円だの大概の人にとっては全てを金融資産で用意しきれないような金額を提示したってなんの意味もありません。
どうせなら
- 収入の分布はこうで・・・
- 支出の分布はこうで・・・
- このへんは削って、なんぼなんでもこれぐらいは累計でお金がかかる
という話の構成の方がまだ親切かなと。以上、一個人の戯言でした。