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まえがき
2022年12月16日に取りまとめられた税制改正大綱。
投資家にとって嬉しいのはNISAの年間上限額が上がることと非課税期間が無期限になることです。これでFIはもちろんREをしたい人にとってもかなりの追い風になります。
さて、今回の改正を受けて「新たな入金で上限枠を埋め切れないなら(ここ大事ですよ!)特定口座にある分は売却してでもNISAに移し変えた方がいい」という声が聞こえてきますよね。
定性的ないしは一例を以てNISAに移し替えた方がいいことを説明している記事なり動画は山ほどあるので、ここでは一般的な数式でもって説明します。といってもそれすら、Twitter見るとやってる人いたんですけどね。だからタイトルに【新規性、独自性ないけど】としました。
特定口座で持ちっぱなしにしている場合とNISAに移し替えた場合の資産額の違い
はじめに必要な情報を記載しておきます。
- A:元本の金額(円でも万円でもなんでも)
- X:特定口座で購入してから現在までの累積リターン(例えば購入して5年で2倍になってたならXには1が、1.5倍なら0.5が入ります。ここでは何年経ってのリターンかは問題ではありません)
- Y:現在から売却時点までの累積リターン(例えば購入して5年で2倍になってたならXには1が、1.5倍なら0.5が入ります。ここでは何年経ってのリターンかは問題ではありません)
- 1-n:源泉徴収後の手残り率。現在はおおよそ20%なのでnには0.2が入って1ーnは0.8になります
特定口座で持ちっぱなしの場合
- 購入時点:A
- 現時点での評価額:A(1+X)
ここで売ることをしないのでこのまま保有 - 売却時点での評価額:A(1+X)(1+Y)=A(1+X+Y+XY)
X+Y+XYの部分が課税対象 - 手残り金額:A(1+0.8X+0.8Y+0.8XY)
NISAに移し替える場合
- 購入時点:A
- 現時点での評価額:A(1+X)
ここで売ってしまうのでA(1+0.8X)に変化してNISAの元本に - 売却時点での評価額:A(1+0.8X)(1+Y)=A(1+0.8X+Y+0.8XY)
0.8X+Y+0.8XYの部分が課税対象 だけど非課税なので税金は取られない - 手残り金額:A(1+0.8X+Y+0.8XY)
両者を比較すると
ということで両者の最終的な手残り金額の差分は
A×0.2Y
になります。ここで最後大事なのはAは絶対プラスの数字なのでYがプラス=現在と将来を比べた時に将来の方が値段が上がっていればNISAに移す方がお得ということです。逆にいうと現在よりも将来の方が値下がりしている場合はNISAに移さないほうがいいことになります。
投資している人は長期的に資産の値上がりに期待しているはずなので当然NISAに移し替えた方がいいということになります。もし「将来の方が値下がりすると思ってるんだよな」と思ってるならNISAどころかそもそも投資すんなよ!って話になります。
ちなみに税率の影響については、例えば20%源泉徴収が30%に変われば赤文字の係数が0.2から0.3に変わるという具合なだけなのでここは気にしなくてOKです。
自分も移しかえはしようと思ってるけど・・・
ということで自分は移しかえを一応考えています。ただ、今後の給料次第で特定口座の分を売却しなくても360万円×5年分埋め切れるならわざわざ売ってしまう必要はないので、確定事項ではありません。
あと、これはモラルというか信念というかな話に過ぎないのですが、過去にこのブログでは「だいたい15年くらいもっておけばばらつきを加味しても絶対プラスになるよ!」という記事を出しておきながら、また、現在のNISA制度を前提にしたFIREシミュレーションでもおおよそ20年は持ちっぱなしにしてから売却するような計画を立てていた立場としては
「定量的に証明されちゃってるんだけど、たかだか数年で売るのって方針ブレてる感じもするよなぁ」と思ってます。まぁ、制度が変わる以上は仕方ないんですけど。