この記事のもくじ
- 勤め先の持株会に入ろうかどうか迷っている方
- 持株会の制度自体を知らない方
会社に入ると勧められる「持株会制度」
日本人は投資が嫌いで貯金が大好きな人種ですが、ついつい投資を思わずに利用しているサービスはないでしょうか?
- お金が戻ってくる生命保険
- 個人年金保険
- 定期預金
どれも直接的には値動きのするものにお金を投じていませんが、裏では各企業がそのお金を使って資産運用して生まれた利益を自分のものにしている(全部ではないですよ)のが実態です。
同じようなノリで「これくらいいっか」と思って使っていないでしょうか?そう、
従業員持株会制度
です。
上場、非上場に関係なく導入している企業は数多あるので自分の勤務先にもそんな制度あるなという認識だけしてらっしゃる方もいることでしょう。
今回は細々ながら勤め先の持株会制度を利用している一人として、会社から持株会がおすすめされる理由と制度が資産形成の手段としてありかなしかの私見を紹介します。
持株会の加入をお勧めされる理由(建前)
持株会がある会社であれば入社時点で資産形成の一手段として、場合によっては福利厚生の1つだとして紹介されるでしょう。自分の勤め先の場合はそうでした。
「建前」と書いてしまってていいものか悩ましいですが、一般的には次のような理由で加入を勧められると思います。
- 拠出金額の上乗せ特典がある
- 毎月強制的にドルコスト平均法で積み立てられる
- インサイダー取引の心配をすることなく自社株を買える
- 会社に愛着が湧く
拠出金額の上乗せ特典がある
大きなメリットの1つとして謳われるのはこれですね。例えば毎月1000円払うことにしたら会社から支援金として100円とか150円とか買い付け費用として支給されるケースがあります(出典:ダイヤモンドオンライン)。
株を購入する側からすると自分が負担した分より少し多めに買えますし、仮に全く株価が変わらないとすると会社からもらった支援金の分がそのままプラスになります。還元率10%と考えると超お得ですよね。
毎月強制的にドルコスト平均法で積み立てられる
資産運用の基本は
- 長期
- 積み立て
- 分散
ですがこのうちの長期と積み立ては満たしています(分散については後述)。なので投資方法としてダメかといったらそんなことはないと思います。
インサイダー取引の心配をすることなく自社株を買える
インサイダー取引の定義を日本取引所グループより抜粋します。
自社の情報は働いてたらわかりますよね。その情報をもとに株価が上がりそう、下がりそうというのを判断して株の売り買いをしていたらそこで働いていない人からしたら「ずるい!」と言うわけです。
普通の証券口座で自分の会社の株を買えないわけではないですが、あらぬ疑いをかけられてしまうリスクがあるなら持株会にお任せして買って貰えば自分が直接購入したわけじゃないのでOKという算段です。
会社に愛着が湧く
これは人によるでしょうが、株を買うと言うことはその会社の持ち主になることです。株式会社という仕組み上、誰が一番偉いかといえばその会社に資金を投じてくれている株主であることを忘れがちです。
持ち主になれば「この会社がもっとよくなるにはどうしたらいいか」を本腰入れて考える(かもしれない)し、会社の規模によっては発言権を増せるチャンスもあります。
会社の規模が大きくなると大手銀行や日銀のような組織からのまとめ買いが生じるので持株会に入ったところで劇的に何かが変わると期待しない方がよきです。
持株会の加入をお勧めされる理由(本音)
ここまでは建前的な理由を紹介してきましたが、会社の立場からみた時に持株会制度はどんな旨みがあるのか考えてみましょう。旨みがなかったら拠出金の上乗せなんてしないですよね。
- 会社外部の影響を抑える
- 少ない出費で大きなリターン
- 会社への依存度を高めて退職しづらくする
会社外部の影響を抑える
たくさんの従業員が自社株を買ってくれれば社外の人や組織に一定の株式を取得されてその影響力がます、なんていう事態を回避できます。
みんなで自分たちの会社を守ろう!というところでしょうか。
少ない出費で大きなリターン
従業員から見たら1000円出したら100円や150円(一例ですよ!)をもらえるのでお得に聞こえますが、会社から見ると100円とか150円出すだけで1000円をゲットできる良い商売です。
何が良いかと言えば
- 債券と違って返済しないといけないお金ではない
- 会社としての資金確保につながる
- 投資という体で従業員に支払ったお金の一部を取り戻せる
などです。win-winになればもちろんいいですが、従業員というよりは会社に有利な制度に思えてきます。
会社への依存度を高めて退職しづらくする
ただでさえ従業員は定期的な給料をその会社に依存していますが、その給料の一部も会社に託すと言うことになれば安易と会社から離れることはできません。
何とかその会社が生き残るように(その人自身も含めて)頑張らないといけなくなるので、会社に囲い込む策として機能しているのではないかと思います。
結局持株会制度ってどうなのか?
ひっくるめると個人的におすすめはしない・・・
結論はこの通りで自分は入らなければよかったと思います。理由は以下です。
- 給料も自分の資産も「同じカゴ」
- 個別株投資の1つ
- 簡単に引き出せない
日本の場合は100口分でないと本来は取引ができません(アメリカは1口から可能)。持株会はそのような縛りがない代わりに途中で売却したいときでも原則として100口貯まっていないとできません。
さらに仮に会社が倒産した場合
- 自分の給料が0円
- 投資していた株式が紙切れに⇨投資した金額分が0円に
というので調子がよければいいですが、調子が悪いとこうなりかねません。「卵は1つのカゴに盛るな」の反面教師そのものになってしまいます。
でも感情論でいえば・・・
ただしこのように考えることもできます。
- その会社に入ったのは自分の成長orその会社が長期的に伸びて定年まで存在すること、給料が増えることを期待しているはず
- その会社に投資しないと言うことは長期的には”ナシ”な会社と思っていることになる
- 長期的に”ナシ”な会社で働くのは矛盾している
ですから本当なら自信を持って自社株は買いですと言えるよう。な会社で働けないとおかしな話なんですよね。そう簡単にいかないから困るんだけど。
やりたければやる、やりたくなければやらないでOK!
いかんせん自分は始めてしまっているのでどうしようもないのですが、まだ入会していないならそのまま入らないでおくことをお勧めします。そのお金で低コストの投資信託を買った方がよっぽどマシですしリターンも期待できます。
とはいえ自分が働く会社によっては株式が欲しい!愛着が湧くように損得抜きにして株を持って置きたいというような思いもあろうかと思いますので、あとは個々人で判断して決めるようにしましょう。