この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『ブラックボランティア』です。
早速ですがみなさん!ボランティアといったらどんなイメージが湧きますか?
自分で進んですること。お金をもらわずに被災地に行ったり、子供のお世話をしたり。はたまたちょっとしたいいこと、例えばまちのゴミ拾いや清掃活動・・・。
辞書的にいうと以下の通りです。
- 志願兵
- 自ら進んで参加する活動
これと並列して有償無償に関わらずという意味合いもボランティアには含まれていますが、これをサビ残大好き日本社会は「有償無償に関わらず=無償で決まり!!」と都合よく解釈しているようです。
この超絶勘違いの最たる例である東京オリンピックを引き合いに出してボランティアに対する問題点をズバズバ切っているのが本書です。
- 10万人のタダ働きを強要する東京オリンピック
- オリンピックは平和の祭典、ではなく巨大な商業イベント
- ボランティア=タダ働きではない
- 東京五輪は搾取のオンパレード
- スポンサーと五輪のズブズブ関係
- 著者の発信し続ける姿勢
「無償でいい」というのはやる側のセリフ
ボランティアについては自分も似たようなことを常々思っていましたが著者がグサッといってくれて気分爽快です。
東京五輪に関する著者の批判的意見を抜粋します。
- ボランティア=無償というのは使う側がそう思いたいから
- 無償のくせにあれこれ条件つけすぎ(研修参加とか語学力)、それはもはや仕事
- 東京五輪は利益追求しているので百歩譲って無償ボランティアを許容するとしても矛盾
こういってくれる人がいるのは本当に嬉しい。しかも元々猛暑というコンディションが問題視されていたのにコロナ対策までくっついて、これでお金出さないのはクズの極みです。
もちろん無償でもいいボランティアはある
この本のいいと思ったところ
- バカの一つ覚えで無償ボランティアを批判しているわけではない
- 他のボランティアの事例を持ち出して東京五輪のやりがい搾取を批判していること
自分の考えもそうですが、別にオリンピックするなとはいってません。協力してくれる人には然るべき報酬を出せ!シンプルにこれだけです。
大体台湾がCHINESE TAIPEIとして入場している時点で平和の祭典の要素は微塵もなかったと思いますが。
本書の内容に関連して思ったこと
筆者は何でもかんでも無償ボランティアがだめといってるわけではありません。
- 活動の目的が非営利(震災復興、ゴミ拾い見たいな公共の利益は含む)・・・無償でもOK
- 活動の目的が営利(オリンピックやワールドカップのような商業イベント)・・・有償であるべき
シンプルかつ納得のいく論理です。当たり前です。「ボランティア」のおかげで金稼ぎできたなら、それはバイトを雇ってるのと変わらないし、逆に利益を産まないもののために活動してくれた人にお金を渡してたら破綻して活動そのものができなくなります。
まぁ、日本はそれ以前に仕事すら「サービス残業」と称してやらせるような国なので都合のいい解釈で無償でやらされているボランティアが有償になる日が来るとは思えませんが・・・。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- ボランティア=無償に違和感を持っている
- 棘のある意見を聞きたい
自分も著者と同じく震災ボランティアや公共の利益に資するものなら無償でいいと思っています。ですがオリンピックのように「競技に詳しくなってね!」「英語喋るよね!」「でもお金は出さないよ!」は論外です。
一旦極端に参加者が何と言おうが出すぐらいのことをしてみてもいいと思っています。本当に無償で働きたいと思っていた人なら寄付するでしょうからね。