この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『はじめて学ぶ環境倫理』です。
はじめに「環境倫理」の定義を紹介しときます。
- 世の中にある環境問題に対して模範的な価値判断をする学問
- 環境問題に対応できる社会システムを下支えする存在
環境問題というとざっと地球温暖化、ゴミ、海洋プラスチックetc・・・たくさんあります。
環境倫理が扱うのはこのような非常に身近なトピックですので知っといて損はないです。
著者も『はじめに』で以下のようにおっしゃっていました。
- 環境倫理を身近なもの、自分の話として捉えてもらうのが、この本の目的
- 環境問題に対して自分はどうすればいいのか、ということのヒントが得られる
もし読まれるのであればいったん倫理という言葉は置いといて、とりあえず環境問題に関する本だと思っておくと理解が進んで良きです。
- エコな暮らしと環境問題
- 「将来世代へのツケ」どこまで考える必要がある?
- 地球温暖化と分配の問題:中国やインドなど現在先進国に近しい国々の削減負担が小さかった
- なぜ生物の多様性が尊重されるのか
- 作った「自然」はダメなもの?
- 都市に住む方が実はエコ?
- 日本の家が海外よりも短寿命な理由
- 環境を守るためにできること
固定観念持ちがちな自然・環境に関すること
いきなりですが!都会と田舎、どちらが環境に優しそうでしょうか?都会はビルやらコンクリートやらでゴミゴミしてて田舎は緑に囲まれて自給自足で・・・。そんなイメージから何となく田舎の方が環境に優しそうな印象を持ちます。
これを読む前に一度聞いたことがあったのを潜在的に覚えていたのですが、実は都市に住むことは環境にやさしく、田舎に住むことはその逆になりえるのです。そう言える次のような側面があること、気づいていましたか?
- 移動
- 都市:公共交通機関で大人数がまとめて移動
- 田舎:一人一台のノリで自動車を運転
- 住居
- 都市:集合住宅で空調の効率が◎
- 田舎:基本は戸建て。効率×
あともう一つ、これは自分の意見ですが別の意味でもエネルギー効率が都市と田舎では差があると思います。
- 都市:狭い範囲に住宅が集まっているので送配電のロスを減らせる
- 田舎:離散した住宅1軒1軒のために電柱を走らせたり水道管を走らせたり・・・
もちろんこれは全体観の話であって個人で見た時でそうでない人がいることぐらいは本書も重々承知です。むしろ本書で主張していることは環境問題に対して個々人としてどうするかではなく社会全体としてどうあるべきかという前提に立っているので、個人でどうこうという指摘は的外れです。
こういう普段は思わない実情にもスポットライトを当てているのが環境倫理学です。
全体を考えると自分の行動も自ずと決まる
この本のいいと思ったところ
- 自然・環境に関する思い込みを払拭できる
- 俯瞰する視野が養われる
全体をきちんと理解しないと枝葉末節だけ注目しても道からそれがちです。環境問題は世界全体に影響するという点で全体の究極形です。
このトピックスに目を通すことで環境問題じゃなくても身の回りのことで「細かいことばかり気にして大事な要素が抜けていたかも」ということに気づけます。
本書の内容に関連して思ったこと
ついついこういう問題を目にすると「自分はどうしたらいいか」が先に来て行動が形成されて行きがちです。地球温暖化の例でいえば
- 電気を節約する
- 電気も食料も全て自給自足の生活に移行する
こういったところです。これをまずは全体から捉えればできるだけ密集して住んだほうがいい、車を使わなくて住むようにしたほうがいいということが前提として確立されるので
- 地方で住む場合にも人が多く住んでいる地域を選ぶ
- 駅近に住む
- 自動車はもはや持たない
といった選択につながります。日本の産業考えたら・・・ですが、個人的には電気自動車云々いう前に自動車をそもそも利用しなくて住む方向に街づくりをシフトしてほしいとさえかねがね思ってます。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方におすすめです。自分は元々自動車乗らないし、いわゆるエコな生活をしている自負があるのでこれを読んだからといってやることは変えませんが、何となく環境にいいんじゃね?ってノリでやってたことがある方はそれらを顧みる意味でも読む価値ありです。
- 広い視野で一つ一つの話題を読み解けるようになりたい
- 環境問題をきちんと理解しておきたい