【2022年読書レビュー】土地は誰のものか 人口減少時代の所有と利用

まえがき

今回紹介する本

『土地は誰のものか 人口減少時代の所有と利用』です。

本書の概要

人口減少に伴って空き家問題は全国のあちこちで聞かれるようになりました。個人的には空き家問題が叫ばれている中でバカの一つ覚えみたいにマンションやら分譲住宅地を建てているのを見ると「アスファルト増やすわ需要がないのに供給だけ増やすやらでわけわからん」と日頃から思っていますが、他方で

  • そもそも土地っていつから個人個人で持てるようになったんだっけ?
  • これからの時代の土地の管理やら活用方法って国としてどうなる(どうしていく)のか?

とふと思ったので、ひと目見てマッチしてそうな本書を読んでみることにしました。

所々に司馬遼太郎の言葉を引用しているのが特徴的です。

本書の構成
  • 土地基本法と土地政策
  • 土地所有権の日本史
  • 外国における土地所有権
  • 田園都市論
  • 土地所有と利用の新しい形

日本と海外の違い

少子高齢化による人口減少は先進国であれば程度の差こそあれ、いつかは直面する問題なので日本だからという固有の問題ではありません。しかし日本が海外よりも空き地・空き家問題が深刻になっている理由は別にあると本書では述べられています。

少子高齢化が急すぎること

確かに!って思うスピードです。こちら、内閣府から持ってきたグラフです。約20年ほど前、小学生だか中学生の時には高齢化率25%を超えるのは2025年ぐらいと言う文献を見たことがあったのですが、なんてことはない、あっという間に突破しちゃいました。

こんなに急に進んでは対策を考えておいてもミスマッチになりそうなもんです。

場所による違い

全体としては人口減少していますが、東京や大阪などの大都市部だと人口そのものは増加か減少していても幅が小さいのに対して地方だと減少幅が大きいというギャップがあります。

地方移住とか分権ちょか叫ばれているのにいまだに東京とか大阪に憧れて(るかはともかく)移住する人がいるのかぁと思います。と言うのも自分は都会に一切興味がないので。


このうえで本書では日本の土地利用における問題点をいくつか挙げていってます。例えば

  • 土地の所有、利用についての規制が海外よりも緩い⇨かえって放置される土地を生む
  • 欧米は都市計画の主語が住民なのに対して日本はそうではない⇨個人でバラバラな建築物なりを作ってしまう

この辺は正直政府というよりは住民一人一人の問題かなと思います。建てるだけ建ててあとは放置とか空きテナントのまんま長期間居残っているのもそう。土地を持っている人・組織側でもっと責任を持たせるべきなんだろうなと思います。

しょうもない開発をするなら公園でも芝生でも

というのは自分の単なる意見です。冒頭でも書いたように適当に作ってあとは使われてるんだかどうなんだかもわからないアパートやらマンションやらで土地を食い潰すんなら何にもしないでほしいです。

都市部ではヒートアイランド現象と言ってアスファルトに覆われた地面しかない結果、熱帯夜みたいなことになってしまってるわけですから、何か作りたいならその分必ず別の土地を更にさせるとか緑地を整備する費用を拠出させるとか、もっというと建物の将来的な放置を防ぐために解体費用の預け金みたいなものを各市町村に収めさせる的なことを是非やってほしい。

土地の利用だって経済活動の枠内です。その場の目先の利益ではなくて国・地域全体としての持続可能性=SDGsの考えベースで利用方法は考えてもらいたいものです。

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