【2022年読書レビュー】新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか

今回紹介する本

『新しいアートのかたち NFTアートは何を変えるか』です。


1年前と今で比べるとDefi(分散型金融)とか仮想通貨の界隈の話題は減ってきたなぁと思います。例えばビットコインの話でいうとS2Fモデルが有名なのですが、Googleトレンドでもこの調子です。 右肩上がりの頃が、人気の頂点で足元は落ち込んでいるのが分かります。

そんな感じで本書のタイトルであるNFTアートも少し下火なのかもしれませんが、将来のトレンドにはおそらくなるのだろうと思います。しかし、いまだに「NFTアートってなに?」「今までのアートと何が違うの?」こんな疑問を持つ方も多いことでしょう。本書ではこれら一連の疑問に解説しながらNFTアートの現状、将来を考察していきます。

本書の目次
  • NFTは情報革命の「ラストパンチ」?
  • そもそもアートとは何か
  • NFTアートの「現在地」
  • 未来をつくるインフラとしてのNFT
  • 特別対談

実物がないアートに何故価値がある?

そもそもなのですが、NFT=アートではありません。念のため書いておきますが、NFTと

  • Non:非
  • Fungible:代替制
  • Token:トークン

のことで唯一無二の情報というニュアンスです。なのでNFTアートとはそれ自身が唯一無二のものであると言う証明書が情報で付与された作品を指していると考えておくと理解しやすいでしょう。

で、なぜNFTアートが広まろうとしているのかですが、それはインターネットが永久に続く限りと言う条件ではありますが、作品が本物であることを未来に渡って証明し続けられるからです。

美術作品の価値を決める上で問題になるのはそれが本物であるかどうかですよね。ゴッホの「ひまわり」にしてもムンクの「叫び」にしても本物には価値がありますが、それをコピーしたものとか印刷したものには何の価値もないですよね。本物だから価値があるんです。

従来の実物がある美術作品の場合は、画家本人のサインがあるとか、加えてその筆跡などを持って本物かどうかの証明がされることになります。なんでも鑑定団の鑑定もそんなノリでやってますよね。

それに対してNFTアートはどうかと言うと、情報が残り続ける限りは証明書がくっついた状態なので、それでもって本物であることの証明ができます。本人がサインしたのかどうかとか、本物に寄せて作ったんじゃないのかみたいな論争にならないのがNFTアートのメリットですね。

実物がないものは価値がないと思いがちですが、そもそもアートって所有による自己満足感がメインであって、直接的に健康になれるとかお金を生み出してくれるわけではありません(結果的にその作品を持ってるからというアウトプットはあるかもしれませんけど)。それは実物だろうがデジタルだろうが一緒です。

だとすると、従来のアートよりも価値証明の点で優れているNFTアートってたかが情報かもしれませんけど、従来のアートと同等以上に評価される時が来るのかもしれません。というか従来のアートだって言って仕舞えば何かの情報を実物に表現しているだけって気がしますけど!

あとがき

著者自身は現在のNFTアート市場はアーティストの価値が高まるような形ではなくてお金儲けの手段になってしまっていることに言及していて、この点は同意です。本来は美術作品の価値をより良くするためのものとして使われるはずですし、アーテイストのことを考えればそうあるべきです。

お金儲けの手段になってるというのは明らかに本質から外れてしまっているので今後の市場成熟に従って改善されていくことが期待されますね。

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