この記事のもくじ
今回紹介する本
『風力エネルギーによる発電 第3版』です。※出版元含めて書籍紹介ページがなかったのでリンク先はなしです。ご容赦を。
2022年4月7日の今後の再生可能エネルギー政策について(経済産業省)によると風力発電の割合を全電源構成の中で0.9%から5%にしようと目論んでいます。再生可能エネルギーの中では最もこれから伸び代があるエネルギー源です。最近は東北地方で洋上風力発電の検討もされています。
再生可能エネルギーはとりあえず環境にいいやろってことで推進されているわけですが、その仕組みを知っている方はどの程度でしょうか?なんとかエネルギーを電気エネルギーに変換して・・・てことはぶっちゃけ知らなくても困りませんが、仕組みがわかると、なんでこれくらいの発電効率なのかとか日本でやろうと思うとどんな制約があるのかがわかります。例えば地熱発電の場合、日本はたくさん温泉があるくらいなので地熱なるものはいくらでもあるのですが、そういう場所に限って国立公園みたいな環境保護をちゃんとしないといけないところとバッティングしていて事実上使える場所がないという課題があります。
本書はタイトルの通り風力発電の解説書です。風力発電に興味があれば超々入門書としての活用がおすすめです。
- 風
- 風力
- 風力発電
- 風力発電システム
- 風力発電方式
- 風力発電の特徴
- 風力発電量
- 風力発電費用
- 風力発電量売買
- 風力発電の環境影響
- 洋上風力発電
風力発電のメリットデメリット
本書で述べられているメリットデメリットは以下の通りです。
メリット
- 風の源である太陽光は無限
- 風さえ吹いてれば昼夜を問わずに発電できる
- 小規模電源として活用できる
- 個人的な運用・活用が可能
- 変換効率がいい
- 陸上、洋上どちらでもいける
- 大気汚染物質・水質汚濁物質が発生しない
風が吹くのは場所によって気圧が高いところと低いところがあるから。ものが高いところから低いところへ落ちていくように空気は気圧の高いところから低いところへ流れます。じゃあなんで気圧の変化が起こるのかといえば太陽光で空気があっためられるから。そういう意味では風力発電は広義では太陽光発電と言えるかもしれませんね。
変換効率がいいのはVS太陽光です。再生可能エネルギーの中だと微妙・・・。
デメリット
- 風力により発電量が変動する
- 風の吹き方によって発電量が変動する
- 強風だと破損する
- 風況により発電量が変動する
- 景観の損傷や鳥類の衝突死といった環境影響を及ぼす
- 火災・落下事故を伴う
- 電波放送に障害をきたす
結局、お天気任せなんですよね。おおよそ「川沿いって風吹くよね」とか「この辺って風強くない?」という傾向が土地土地でありますが、安定して絶対いくらの範囲に収まることがないのが風の難しいところ。特に風力発電の場合は
- 風が弱すぎてもだめ(カットイン風速:2〜5m /s)
- 風が強すぎてもだめ(カットアウト風速:25m/s)
太陽光では気温が高すぎると変換効率が落ちるのでよろしくないみたいな制約があるのですが、風力発電もなかなか贅沢な上下限の範囲です。
最近洋上風力発電が注目されているのは洋上なら陸上よりも風を読みやすいからです。その分建設コストはかかるし、景観を損ねるしで、都合のいいものはそうないことに気付かされます。
2022年10月5日に書いたとは思えない超シンプル本
書籍の表紙しかり、文体しかりとても2022年の時代に書いたとは思えません。1960年台くらいのお堅いノリで描いたんかい!てくらいに文章の無駄が感じられません。(図表もあんまりないし・・・)
新書でももう少しやわーく書いてるのに本書は完全に専門書として振り切った選択をしたんだろうなと思います。読んでて非常に無機質な感じがするので、初学書としては読みづらいと思われるかもしれません。