【2022年読書レビュー】日本人の真価

まえがき

今回紹介する本

『日本人の真価』です。

本書の概要

大層なタイトルですが、私たちが問いただされるような脅迫めいた中身ではありません。一数学者によるエッセイ集です。数学者がエッセイ集かと思いましたが、言葉選びは面白いです。

エッセイ集と言っても月刊誌に定期連載されたものを集めたものであり、そのトピックスは多岐に渡ります。よってどこかには自分が聞きたい分野の一意見が入っているかもです。

本書の目次
  • ニッポン再生
  • 「英語教育」が国を滅ぼす
  • 論理と情緒
  • 隣国とのつきあい方
  • 日韓断絶ー問われるべき「国家の品格」
  • コロナ後の世界
  • 「日本人の品格」だけが日本を守る
  • 家族の肖像
  • 父・新田次郎と母・藤原てい

著者が考えるコロナ後の世界

定期連載の最中に生じた新型コロナウイルスの流行。書かれたのは2020年7月時点というワクチンの接種すら始まってなかったような頃の話ですが、この時点で既にコロナ後の世界の変化として4つの予測を立てておられました。

  1. 中国からの国内回帰や他国分散
  2. 各国で格差是正、福祉政策の強化
  3. 中国への懲罰や制裁の強化
  4. 価値観の変化

中国からの国内回帰や他国分散

グローバリズムから自国回帰はよく言われていることです。日本も多少はそうなるでしょう、っていうか日本が工場の移転先(かつての日本から見た中国とか東南アジア)として見られる時代が来るんじゃないでしょうか。

とはいえ海外との関係なしに経済は成り立ちませんので、あくまで諸々のリスクを考えて最適なバランスを考え直す、というレベル感かなと自分は思っています。

各国で格差是正、福祉政策の強化

これは純粋な著者の予測です。そもそもの生活環境、労働環境の違いで感染するしないが別れたということをもっての意見です。

「ファクトフルネス」に則るなら最低限のラインの底上げはされていくにせよ格差が是正されるかと言ったらそれはないと自分は思います。それが資本主義ですし、最低限のラインの引き上げの手段として上位層を搾り取るようなことがあれば巡り巡って国なり地域全体としての平均レベルが落ちて本末転倒なんてことになりかねないでしょう。

中国への懲罰や制裁の強化

書かれた時期からすると中国がわざと発生させて世界各国を混乱させたんだ!という論調がメインだったのでこう思うのは納得です。実際、賠償請求するみたいなニュースもありましたし。当時中国は春節でしたが、この人流を押さえておけばこんな事にはならなかったという見方もできます。

ただ2022年9月時点で言えることがあるとするなら、それはないでしょうということです。アフターコロナにすすめているのは欧米各国であり、中国はいまだにロックダウンみたいな話が上がります。仮に中国がわざと発生させたにせよ自分の首を締める結果になったわけですから中国に賠償請求しようなんて発想はもうないでしょう。

むしろ現状を踏まえて懲罰や制裁が課せられるとしたら中国ではなくてロシアでしょう。

価値観の変化

利益よりも利益には直接繋がらないことにも価値が見出されるということです。これ、ちょこちょこ言ってる方いますよね。「これからは働かなくても生きていけるようになる」とか「遊べる能力が大事だ」みたいな。

額面通りに受け取ると大変な事になりそうです。ベーシックインカムが実現するなら真に受けてもいいかもです。

あとがき

ずーっとグローバリズムが提唱されてきたわけですが、日本人のアイデンティティを大事にするという考え方をもう一度取り込むのは大事だと思います。

日本とはなんぞやを説明できた方がそれこそ国際社会で生きる上ではプラスでしょうし、外国語学習に関してはGoogle翻訳みたいなのが出てきている以上必要性も薄れています。

これから必要な知識・スキルはコロコロ変わるんでしょうけど、常にアンテナを張って乗り遅れないようにしたいものです。

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