2023年度の税制改正要望【国土交通省】

まえがき

この時期の恒例情報といえば税制改正「要望」です(大事なので強調しました)。すでに金融庁からの要望の一つであるNISAの拡充のニュースだけはアホほど出回っていますが、果たしてそれ以外の要望をちゃんと知っている人はいかほど・・・。

ということでしばらくの間各省庁が出した要望の一覧とその中で自分が気になったものを紹介します。今回は国土交通省の要望をチェックします。

注意点
あくまで要望なので実現するとは一言も言ってません。特に上述のNISAの例なんかがわかりやすいですが、実現するなんて言ってもないのに巷では実現することが確定事項かのように「年間投資枠は60万円か?はたまた300万円か?」なんて記事やら動画やらが続出します(個人的には辟易)。「実現するかもしれない」「実現したらラッキー」くらいにして、あまり期待はしないでおきましょう。

各省庁の税制改正要望はこちらから確認できます。

国土交通省が提出した要望一覧

概略

  • 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設
  • 一般乗合旅客自動車運送事業における地域公共交通再構築のための所要の措置
  • IR税制の具体化に係る所要の措置
  • ローカル鉄道の再構築を実現するための所要の措置
  • 鉄道事業者等の市街地トンネルに係る非課税措置の拡充
  • 低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置の拡充及び延長
  • 都市再生緊急整備地域に係る課税の特例措置の拡充及び延長
  • 空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充及び延長
  • 先進安全技術を搭載したトラック・バス車両に係る特例措置の拡充及び延長
  • 土地等の譲渡益に対する追加課税制度(重課)の課税停止措置の延長
  • 地域福利増進事業に係る課税標準の特例措置の延長
  • 特定都市再生緊急整備地域に係る課税の特例措置の延長
  • 災害ハザードエリアからの移転促進のための課税標準に係る特例措置の延長
  • 市民緑地認定制度における課税標準の特例措置の延長
  • 市街地再開発事業の施行に伴う新築の施設建築物に係る税額の減額措置の延長
  • 浸水被害軽減地区の指定に係る課税標準の特例措置の延長
  • シェアサイクルポートの設置に係る課税標準の特例措置の延長
  • 防災街区整備事業の施行に伴う新築の施設建築物に係る税額の減額措置の延長
  • 買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の延長
  • 鉄道事業者等が取得等した新規製造車両等に係る課税標準の特例措置の延長
  • 鉄道事業者等が取得した車両の運行の安全性の向上に資する償却資産に係る課税標準の特例措置の延長
  • 鉄道事業者等が取得した低床型の新造車両に係る課税標準の特例措置の延長
  • 鉄道事業者等が都市鉄道利便増進事業により取得した施設等に係る課税標準の特例措置の延長
  • 鉄道事業者等が駅のバリアフリー化により取得した償却資産等に係る課税標準の特例措置の延長
  • 整備新幹線の開業に伴いJRから経営分離される並行在来線の譲受固定資産に係る非課税措置及び課税標準の特例措置の延長
  • 都道府県の条例で定める路線を運行する乗合バス車両の取得に係る非課税措置の延長
  • バリアフリー性能の優れた自動車の取得に係る課税標準の特例措置の延長
  • 対外船舶運航事業を営む法人の日本船舶による収入金額の課税の特例措置(トン数標準税制)の延長
  • 国際戦略港湾及び国際拠点港湾の港湾運営会社が取得した荷さばき施設等に係る課税標準の特例措置の延長
  • 資源・エネルギー等の海上輸送ネットワークの拠点となる埠頭において整備される荷さばき施設等に係る課税標準の特例措置の延長
  • 自動車関係諸税の課税のあり方の検討
  • 自動車税・軽自動車税に係る環境性能割及びグリーン化特例の延長・見直し
  • 航空機燃料税の譲与割合に係る所要の措置
  • 熊本地震、平成30年7月豪雨及び令和2年7月豪雨に係る被災住宅用地等に係る課税標準の特例措置及び被災代替家屋に係る税額の特例措置の拡充
  • 特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき不動産を取得した場合に係る課税標準の特例措置の拡充及び延長
  • 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の軽減措置の延長
  • Jリート・特定目的会社に係る課税標準の特例措置の延長
  • 浸水防止用設備に係る課税標準の特例措置の延長
  • サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長
  • 耐震改修が行われた要安全確認計画記載建築物等に係る税額の減額措置の延長
  • 緊急物資等の輸送確保に向けた港湾における民有護岸等の耐震改修促進のための特例措置の延長
  • 空き家の適切な活用等を促進するための住宅用地に係る所要の措置
  • 鉄道の耐震対策に係る特例措置の見直し
  • 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の選定事業者が整備した公共施設等に係る課税標準の特例措置の拡充
  • 試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除の拡充及び延長
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制の拡充及び延長
  • 低公害自動車に燃料を充てんするための設備に係る課税標準の特例措置の拡充及び延長
  • 駐留軍関係離職者、国際協定の締結等に伴う漁業離職者等に対して支給される職業転換給付金に係る非課税措置等の延長等
  • 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(中小企業投資促進税制)の延長
  • 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額等の特別控除(中小企業経営強化税制)の見直し及び延長
  • 地震防災対策用資産に係る課税標準の特例措置の延長
  • 特定小型原動機付自転車に係る所要の措置

実に52項目も上がっています(うち6項目は昨年からの継続要望)。国土交通省は社会インフラに関わるのであれやこれやとやりたいことは出てくるんでしょうけど、それにしてもすごい数です。昨年も41項目提出してますし。

旅行で電車や飛行機などの交通機関を使う頻度がここ1〜2年で増えたり、カーボンニュートラルが気になったり・・・という自分にとっては興味のある要望がいくつもありました。

自分が気になった要望

ローカル鉄道の再構築を実現するための所要の措置

JR東海を除いたJR各社はいわゆる赤字路線を公表して各地方自治体と地域交通のあり方について協議したい旨を表明しています・・・といいつつ実際はバス転換か廃線にさせてくれっていう提案でしょう。

「ないよりあった方がいい」なのは当然なので市町村がおいそれとOKするわけもなく、最近になって国から輸送密度1000未満が基準として示されたのは記憶に新しいです。

本来の存廃協議の基準
今回国からは1000という数字が出ましたが、国鉄時代は4000が基準でした。にもかかわらずJR各社の企業努力によって4000もないところを一生懸命に維持し続けてきたのがこれまでの歴史です。赤字路線の公表の際にも目安にしていた輸送密度は2000。JRはよく頑張ったと言えるでしょう。

この要望では「鉄道事業再構築事業」に係る固定資産税等への措置を講ずるとしています。おそらく減免するということでしょう。

一番気になったのが政策目的です。

「鉄道を運行する公共政策的意義が認められた路線について、鉄道の競争力回復に向けた取り組みを支援 することで、人口減少時代に合った地域モビリティの再構築に寄与」


いや、だから高速道路を無料で開放したり自動車を持つことのハードルを下げるようなことを今までしてこなきゃよかったんでしょ、今更何言ってんの??

と思わずにはいられません。自動車ユーザーからしたら「高い税金をガソリンなり自動車税なりで払ってるんだから、その税金は自動車ユーザーが便利になるように使え」って思うかもしれませんが、自分は「あらゆる交通手段の中で環境に悪い自動車を使っていることの罰金として徴収するべき、間違ってもその税金で高速道路作るなんて論外」って思ってます。

都道府県の条例で定める路線を運行する乗合バス車両の取得に係る非課税措置の延長

自分は移動手段として鉄道が一番好きですが、とはいえどう頑張っても鉄道での維持が合理的ではない路線が存在します。そういうところの次なる選択肢はバスです。この要望では新たにバスを取得した際の自動車税を非課税にすることで取得にかかる費用の軽減に寄与しようというものです。

最近はフルサイズのバスというよりはマイクロサイズなバスがコミュニティバスとして走っている地域をよく見かけますが、ああいった車両は少なくとも昔にはなかったわけでして利用人数が少なくてあれくらいのサイズがぴったり、でも新規購入するのはちょっと・・・な地域にとってはありがたい内容です。

ちなみに条例を制定している都道府県は40もあります(国土交通省より2020年8月時点)。意外ですね。

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