この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』です。
ついこないだレビューした「日本人の給料は〜〜」と同系統の書籍になります。本書を読むにあたっては
そもそも金持ちって絶対的なもの?相対的なもの?
こんな疑問が湧いて本筋から逸れては本末転倒なので『なぜ、日本人の9割の所得は増えないのか』と読み替えて読み進めるといいです。
著者である藤井聡氏は第二次安倍内閣が発足した2012年から6年間内閣官房参与として比較的政府に近い立場にいた方です。
身近にいた立場としての物いいであることを前提として持っておきましょう。
- 「国の借金で破綻する」はウソ
- 将来へのツケを回さないための増税?
- 緊縮財政では日本は救えない
- 経済を救うのは半グローバル
所得が増えないこんな背景
所得が増えない理由、皆さんはなんだと思いますか?本書では具体的に以下のような要素を挙げています。
- 株主還元の傾向が増加⇨給料の伸びより配当金の伸びが大きい
- 非正規雇用の増加
- 無闇矢鱈な民営化ーサービスの低下やひたすらコスト削減に走るきっかけに
- プライマリーバランスが最優先の財務省の思考回路
1点目はまさにr>gというやつ。本書ではその伸びの違いがわかるグラフが載っています。
2点目、3点目はまぁ予想つくかなぁと思います。4点目が根本的な問題として長年日本が抱えている物です。財務省が考えていることは
- いかに日本経済が発展するか
ではなく
- いかに国債の発行を減らすか(なんなら国債を返済していくか)
です。ですがこれ、本書を読めば理解できますが仮に全ての国債を返済するとなると折角日本銀行が発行した円が“消滅する”ことになって流通する円の総量が減少します。
ということは・・・?そう、デフレまっしぐらです。
そんなことしたら給料は伸びないどころか減少する(当然物諸々減少)ことは自明ですよね。
また、本書では過去10年実経済にお金が流れるようなことはしておらず、なぜかインフレのブレーキをかけるためにあるはずの税金を何故かインフレさせたいときに増税するという事実を指摘していますが、まさにその通りで謎ポイントです。
自分で新しく流した水(お金)を増税して回収するという「それ何の意味もなくね?」な話に思えてきます。
資本家側に回るか自分でなんとかするか
この本のいいと思ったところ
- 国のお金に関する勘違いに気付ける
- 他国と日本のマクロ的な違いがわかる
個人個人で見るとその人の能力とかそもそもどこで働いているかで所得の上がる上がらないが決まってしまいますが、もっと大きな目線でなぜ所得が上がらないような構図になっているのか知っておくことは身の振り方を考える上で有益です。
まぁ、納得したからってひとりでに所得が増える訳ではないのですが。
本書の内容に関連して思ったこと
本書は政府として何をすべきか、という観点で意見主張がなされています。全体としては所得が増えるかもしれませんが、それと個人個人で上がらないは別物です。
安月給が確定しているような業種や職種についている限りは政府が何をしようが目に見えるほどの変化は起こらないでしょう。つまるところ、
自分でできることはちゃんとして天命(政府がきちんと政策を実行してくれること)に期待するしかないってことです。
じゃあその自分でできることはというと
- 給料が高くなるような転職をする
- 副業をして小銭を稼ぐ
- 株に投資して、自分が資本家側、株主側に回って恩恵を享受する
なんでもいいと思いますけどいずれにせよ行動が求められる話です。何もしないのに政府が自分の所得を上げてくれるだろっていううまい話はありません。
過去に所得が上がってこなかった背景を知れば将来的にもあまりアテにしてはダメそうなことぐらい見当がつきますので、だからこそ自分でできることに注力しましょうと言いたいです。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中8点です。
この本は次のような方にお勧めです。言いたいことは上記の通りです。指を咥えて待っていても何も変わりませんので、所得を増やしたいと思っているならとにかく行動です。
- 日本の給料が上がってこなかった社会的背景を知りたい
- どうしたら給料が上がる方向になるのか知りたい