2023年度の税制改正要望【金融庁】

まえがき

この時期の恒例情報といえば税制改正「要望」です(大事なので強調しました)。すでに金融庁からの要望の一つであるNISAの拡充のニュースだけはアホほど出回っていますが、果たしてそれ以外の要望をちゃんと知っている人はいかほど・・・。

ということでしばらくの間各省庁が出した要望の一覧とその中で自分が気になったものを紹介します。今回は金融庁の要望をチェックします。

注意点
あくまで要望なので実現するとは一言も言ってません。特に上述のNISAの例なんかがわかりやすいですが、実現するなんて言ってもないのに巷では実現することが確定事項かのように「年間投資枠は60万円か?はたまた300万円か?」なんて記事やら動画やらが続出します(個人的には辟易)。「実現するかもしれない」「実現したらラッキー」くらいにして、あまり期待はしないでおきましょう。

各省庁の税制改正要望はこちらから確認できます。

金融庁が提出した要望一覧

  • NISAの抜本的拡充等
  • 海外進出における支店/子会社形態の税制上のイコールフッティング
  • 改正資金決済法施行に伴う電子決済手段に係る所要の措置
  • スタートアップ等が事業全体を担保に金融機関から成長資金を調達できる制度の創設に伴う所要の措置
  • サステナブルファイナンス分野における所要の措置
  • 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた所要の措置
  • 市場・開示制度等の見直しに伴う所要の措置
  • 生命保険料控除制度の拡充
  • 投資法人に係る税制優遇措置の延長
  • 保険会社に係る収入金額による外形標準課税方式の維持
  • 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)
  • 暗号資産の期末時価評価課税に係る見直し
  • 破綻金融機関等から協定銀行が不動産を取得した場合の非課税措置の延長
  • 破綻保険会社等から協定銀行が不動産を取得した場合の非課税措置の延長
  • 銀行等保有株式取得機構に係る資本割の特例措置の延長
  • 企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長
  • 特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき不動産を取得した場合に係る課税標準の特例措置の拡充及び延長
  • Jリート・特定目的会社に係る課税標準の特例措置の延長

項目にして実に18もあります。このうち4項目は昨年からの継続での要望事項になっています。

まぁ、大多数の人が興味あるのは1つだけですよね。

自分が気になった要望

NISAの抜本的拡充等

これ、要望事項のA4フォーマット書式ではニュースで報道されていたような情報のうち「恒久措置とする」以外のことは何にも書いてありません。ちゃんと知りたい場合は金融庁が別に発行している資料が参考になります。

当該部分はこんな感じ。

この資料から引用するとNISA制度に関する要望ポイントは下記の通りです。

ついつい期待したくなりますが、話半分でも過剰かもしれません。というのもNISAに関する要望はこれまでも何回もされています。具体的にあげると以下の通りです。

  • 2017年度要望:つみたてNISAの導入。条件は年間投資枠60万円+20年非課税
    →2018年から導入されたが年間投資枠は40万円(キリわるっ!!)
  • 2019年度、2020年度要望:NISAの恒久化(例.つみたてNISAの新規購入期限は2037年まで)
    →つみたてNISAは2042年まで延長。ジュニアNISAは廃止。一般NISAは形を変えて2028年まで延長

今回やろうとしていること自体、初っ端で依頼してて実現していない現実があります。当時OK出なかったのに今回OK出るのかというとハードルあるんじゃない?と思わざるを得ません。

どうやら巷には今投資に使えるお金を将来のNISA用資金として持っておこうという動きも見かけますが、それは決まってからでいいんじゃないでしょうか・・・。勝手に期待して勝手にガッカリして投資にネガティブイメージ持とうもんならそれこそ損失ですし、「ふーん」と思って待っておきましょう。

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