この記事のもくじ
今回紹介する本
『いつか必ず死ぬのになぜ君は生きるのか』です。
このブログを始める前の話ですが、同じく立花隆さんの「知の旅は終わらない」を読んだことがあります。こちらもなかなかにタメになる1冊です。これを読んだのは確か2020年ですが、その後立花隆さんは2021年でお亡くなりになられていたというのを、本書の前書きで初めて知りました。
本書は立花隆さんが生涯執筆されてきた本の中から「人間とは何か」に迫るフレーズを集めた短編集というかそんな感じです。「知の旅は終わらない」の副題でもある「3万冊を読み100冊書いて」は嘘でもなんでもなくhontoで書籍検索すると215冊も出てきます。その中から厳選されたものをたったこの1冊で知れる、やっぱり本はコスパ最高です。
ちなみに内容とは全く関係ないんですけど、ベストセラー「君たちはどう生きるか」と本の表紙がめっちゃ似てると思いませんでしたか??調べてみるとどちらも芳賀翔一さんという方が担当されていました。納得です。
少し若年のメガネをかけた細身の男の子。いかにもこれからに迷ってそうな雰囲気がビシビシ伝わります。
- 人間とはなんだろう?
- 死とはなんだろう?
- 人はなぜ生きるのか?
- 人はどう生きるのか?
- 考える技術
- いまを生きる人たちへ
自分にとって勉強になったフレーズ
いくつか紹介します。
人はどう生きるのか?
この章からはこのフレーズを選びます。
- いわゆる「勝ち組」「負け組」という分類法は間違い
- 「社会的成功ゲームの勝ち組・負け組」と「人生の勝ち組・負け組」は一致しないどころか、しばしば相反する
その後、勝ち組・負け組の分類をするなら定義づけから、と指摘していますがあえてなのかここではその定義づけはされていません。でもどうでしょう、事実上は偏差値であったり、入社する会社の規模であったり(会社に入る前提すらおかしいかもしれませんが)、わかりやすいのは年収。これらが社会的成功ゲームの勝ち組・負け組を決める因子になっていそうです。
そして社会的成功ゲームを追い続けた人々が亡くなる直前に「仕事なんかに頑張りすぎなきゃよかった」となるまでがセットなのが目に浮かびます。
考える技術(一つ目)
この章からは2つフレーズを選びました。
- 「あれか、これか、どっちか」という考え方をすると、考えがすごく狭くなってしまうんですね。
- 人間のやっていることというのは、すべて「あれも、これも」なんです。
ここではA or Bという二者択一みたいなシチュエーションを想定していると思いますが、自分はさらにそこから「人間はあれも、これもを追い求めているな」と拡大解釈しました。
あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しいもっともっと欲しい
のあれもこれもですね。
考える技術(二つ目)
フレーズじゃなくて読書の14ヶ条です。
もちろん14個は紹介しませんけど
- 類書を読んでみて初めてその本の長所が明らかになる
とか
- 注釈には、しばしば本文以上の情報が含まれている
といったさすがは「3万冊を読み、100冊を書いた」立花隆さんならではの読書に対する観点です。注釈は補足であってメインではないと思って全くといっていいほど読んでませんでしたが、これからは注釈にも注目してみようかぁ。
あとがき
最後の章は変化の激しい時代を生きる現代人へのメッセージです。すでに亡き著者が2022年に起こったことを知ったとしてもおそらく同じことを言うんだろうなと思います。時代を受け入れ、情報に敏感になり、長期目線で。
目の前に起こっていることに右往左往するんじゃなくて1年後、5年後、10年後に思い描く未来に向かってレールを自分でひいて、決して周りにレールを動かされないように俯瞰することが著者のいう時代を受け入れつつも自分の人生を生きるための必要要件だと自分は思いました。