この記事のもくじ
まえがき
今回紹介する本
『ジョブ型雇用社会とは何か』です。
もう定期的に読むことはしていませんが、2020年に週刊東洋経済やエコノミストでしばらくトレンドワードみたいに出ていたのがジョブ型雇用、メンバーシップ型雇用という言葉です。
あまり馴染みのない方に対してなされる説明の仕方としては
- メンバーシップ雇用⇨日本式の雇い方。人が先にあって、そこに対して仕事をあてがう
- ジョブ型⇨欧米式。必要な仕事の存在が先にあってそこに人を雇ってあてがう
このようにされます。当時記事を読んでいた自分はなんとなく欧米みたいな流動的な雇用になるのかなぁという理解をしていました。
本書のまえおき
この本の著者はなんとジョブ型雇用という言葉の生みの親らしいです。
ググってみても確かにその通りでした(野村総研 ジョブ型雇用)。
ジョブ型雇用という言葉を産んだ方が書いた「ジョブ型雇用とは何か」です。なぜ今さら自分が産んだ言葉の解説を本にしたためるのかというと
『ジョブ型とメンバーシップ型とは何であり、何でないのかを、分かりやすく示』すためです。著者からすると直近メディアが使っているジョブ型とメンバーシップ型という言葉の使い方が正しくないようです。経済雑誌くらいしか読まないとそれが正解としか思えませんが、生みの親が違うとおっしゃってるんですから違うんでしょう。
本書の構成
本書のタイトルに該当するのは序章〜2章まで。3章以降も全く関係ないわけではないですが、若干本題から逸れているため自分は流し読みしました。
- 世の中にはびこる間違ったジョブ型雇用への理解
- ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の大きな違い
- 賃金制度の変遷ーヒトへのお金、仕事へのお金
- ジョブ型とメンバーシップ型の労働時間管理
- ジョブ型雇用と抱き合わせで議論されることー女性、障害者、外国人
- 労働組合の歴史
結局は日本とそれ以外?ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い
本書でいうと序章〜1章に相当します。
ここでは要素別にジョブ型とメンバーシップ型でどう違うかを紹介していきます。
雇用のあり方
- ジョブ型:雇用契約の時点で職務(何をしてもらうか)が明確になっている
- メンバーシップ型:雇用契約では職務が規定されない
これは自分もそうでしたし大概の方がそうだと思います。広い意味で何をするか雇用してもらう時点で決めていることはあるかもしれませんが、例えばデータ整理しかしませんとか製造ラインでの品質検査しかしませんとか営業しかしませんという風にはなっていないでしょう。
賃金のあり方
- ジョブ型:職務(仕事)に対して定めている=誰がしようがその給料
- メンバーシップ型:職務では決まらない
ジョブ型はいわゆる同一労働同一賃金です。
対してメンバーシップ型。何で給料が決まるかというと・・・?そう、
- 勤続年数
- 年齢
です。the日本風な仕組みです。
労働者と雇用主の関係性
- ジョブ型:職種ごとで賃金を交渉
- メンバーシップ型:全員分、一斉に”ベア”で交渉する
ここはそんなに意識されないところですね。
知ってたところで自分の給料に直結するわけじゃないし。でも言葉の理解としてはちゃんと知っておいた方が著者は喜んでくれそうなのできちんと覚えておきましょう。
あとがき
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用、あなたはどっちがいい?
今のままがいいという方はメンバーシップ型、仕事に応じてお金が決まって欲しいと思う方はジョブ型ですね。
自分はどちらかといえばジョブ型派です。この理由は
- ジョブ型=解雇されやすい、ではない
- 仕事内容と自分の希望の間でギャップが生じることがない
この2つです。本書でも解説されていましたがジョブ型雇用=欧米型=すぐに解雇される、ではありません。それが仕組み上起こっているのはアメリカだけでそれ以外の海外諸国はジョブ型だけど適当に解雇はできないことになっています。
それなら自分がやりたいことありきで仕事を選べる、もしくはその通りに働けるジョブ型雇用の方が働く側の幸福感が増すんじゃないかなぁと思います。
より考える雇われの身の自分、これからの生き方
メディアの言葉の使い方があっていたかどうかはさておき、将来的にジョブ型に移行する、というのはそうなんだろうなと思います。
本書ではジョブ型=解雇しやすいではない(アメリカを除く)と解説してくださっていましたが、著者が雇い方を決められるわけではありません。日本企業が都合よくジョブ型を捉えたら解雇はされやすい状況になりかねないと思います。そうすると色々考えます。
- その会社でなんとしても働きたい?
- もしお金に困らない状態だとして自分がしたいことは何?
こういうことを考えていくとそもそも会社がメンバーシップ型にしようがジョブ型にしようが、それってそんなに問題ではなくて、これを機に自分でどう主体的に働いていくかを決めておいた方がいいのではないかとすら思えてきます。
この本を読むのがおすすめな人
ジョブ型という言葉は知ってる人は知っているくらいの認知度です。これからの働き方にも関わってくる概念ですので仕事、働くことに関心のある方は一読の価値があると思います。
仮にジョブ型になっても職をゲットできるようなスキルの獲得、目を向けてみようかな。