この記事のもくじ
今回紹介する本
『三千円の使いかた』です。
自分にしては珍しく新書ではない本でございます。
最近本を探すときは「使い方」「増やし方」「方法」などのキーワード検索で持って人生に有意義な情報が書かれたものが出てくるようにしているのですが、そんな中で見つけたのがこちらでした。
お金は増やすかゲットしないと使えませんが(ここで借りる場合の話は置いときます)、せっかく増やしたゲットしたりしたお金を全く使わずに終わるのも勿体無い話です。
そういうわけかお金については使い方に着目した本が巷では流行っているような印象があります。たぶん専門書とか自己啓発っぽい本だと
- お金は経験に使いましょう
- 寄付をすると幸福感が高くなりますよ
- 地位財(ブランドものなど)に使っても幸福は継続しません
こういった情報が出てくることはおおよそ自明なので、奇を衒ったというか少し普段読んでいるのとは違うテイストの本を読んでみたかったわけです。
本書の概要
概要というか本書で出てくる人の相関図です。
これを踏まえていないと冗長な話の展開になっているせいでさっぱり関係性が掴めなかったためです。
もしこれを読んでみようと思われた場合はこの相関図を頭に入れておくとスムーズに読み進められます。
本書の構成
本書は以上紹介した登場人物の誰かスポットライトを当てた物語集のような構成になっています。が、話自体はつながってます。
出オチ的に言ってしまうと本書は
3,000円の使い方については冒頭でしか触れていません。よって自分にとっては完全に期待はずれに終わったことをここで申し上げておきますm(_ _)m
- 御厨美帆ー同僚の会社都合解雇と節約への第一歩
- 御厨琴子ー老後のお金と仕事探し
- 御厨真帆ー専業主婦が目指す資産1000万円
- 小森安生ー結婚とコスパ
- 千さとー熟年離婚とお金
- 御厨美帆ー“借金”持ちの彼氏との結婚
本書からの学ぶお金と人間の切っても切れない関係
上記の通りで現実世界の話ではないものの、本書に絡んでくるお金の話を通じて改めてお金と人の切っても切れない関係や抱く感情を感じ取ることができました。
各エピソードで気づけることを以下のようにまとめてみました。
- 自分の居場所は永久に安定ではない
- 仕事の目的はお金稼ぎかやりがいか
- 結婚はコスパで考えるものではないけれど、お金なしでは考えられない
自分の居場所は永久に安定ではない
一章の話に関連します。美帆は同僚である小田街絵が病気をきっかけに会社から解雇を言い渡されて、このような考えに至っています。
現実世界でも実家や勤務先、普段属している、仲良くしている友達・・・。どれもずっと自分の拠り所になってくれると思いがちですが、残念ながらNOですよね。勤務先にずっと雇ってもらえる保証はないし、友達も結婚や引っ越しで関係性がガラッと変わるのはよくあることです。
世の中に安定なる状態は存在しないと思っておかないといけない、そう思わせるエピソードです。
仕事の目的はお金稼ぎかやりがいか
これは2章の話、琴子が73歳にして働き直すに際して問われたことでもあります。
大多数の方にとってはお金を得ることではないでしょうか。自分はそうです。琴子さんもそうでした。なのにその一方では「たくさん稼ぐ奴はよくない」「低収入の人に分配すべきだ」という意見が出てくるために公には言いづらい側面があります。
ここで自分が感じたのは、それが明確ならどんな目的でも尊重されるべきということ。
お金をたくさん稼ぎたい人の中には、その先に寄付だったり支援を念頭に置いている人もいるかもしれません。上辺だけでやりがいをアピールするより全然いいじゃん!と自分は思います。
結婚はコスパで考えるものではないけれど、お金なしでは考えられない
結婚はお金じゃない、と言いつつも結局は何か事があるとお金の話になってしまいます。結婚も離婚も届さえ出せば終わる話なのに、挙式の費用だの養育費だの、お小遣いをどうするだの。
各話を見ているとそれが如実に分かります。生きている以上は何をするにもお金は引っ付いて回るからこそ結婚はお金じゃないと思ってても最低限のリテラシーを持ってパートナーと会話をするのごいいのでしょう。
「3,000円の使い方」に関する愚見
本書における言及
冒頭で書いた通り、タイトルである3,000円の使い方については一番最初にちょろっと書いているだけでした。
- 人は三千円の使い方で人生が決まる
- 三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく
以上です。あまりにも味気ないなぁと思ってしまいます。
もし自分が問われたら
そこで!
もはや書籍紹介ではなくなりますが、ここからは三千円の使い方について自分の愚見を述べて置きます。
- まず前提として年齢によってその重みが変わっている
- その上でもし自分なら以下の年代ごとに三千円を投じる
- 小学生:ゲームソフト
- 中学生:部活の道具
- 高校生:参考書
- 大学生:鈍行旅行
- 社会人:お世話になっている人へのプレゼント
一般的に言われるようないいお金の使い方を挙げても仕方ないので完全に自分の嗜好で書き出してみました。
社会人の場合を除いて言えることは「当時、なけなしのお小遣いを半年や1年という時間をかけて貯めて実際に購入したもの」であることです。
大学生や社会人になってまとまったお金を手に入れられるようになると、小さい頃は大金に感じていた3000円が端金に見えてきて、軽ーく使ってしまう、そんなことはないでしょうか?
自分は今でも一発で三千円の買い物と言ったら今でも高額に感じます。お金を使うのに躊躇する値段でもあります。適当に払えない金額だからこそ自分の意思、生き方に照らしたもの選びをして購入します。
それが本書でいうところの人生を形作っていくことなのかなと思います。
たかが3000円、されど3000円です。
これを読んでいるあなたなら何に3000円使いますか?
あとがき
お金は切っても切れないからこそ、考える意味あり
フィクションとはいえ、全体を読み通すと他人事には思えなくなります。
お金のことばっかり考えるのも息は詰まりますが資本主義が続く限りは死ぬまでお金とはお付き合いしていかなくてはなりません。
時には自分のライフスタイルの中で大きくお金が関わってくるところについては使い方とか付き合い方を考えたほうがいいよ!という気づきを与えてくれる一冊だなと思いました。
この本がおすすめな人
というわけでこの本は次のような方におすすめです。気軽にお金の話に触れたい人にはちょうどいいでしょう。
- お金の勉強はしたくない
- でも世の中のお金にまつわる情報をフランクに知ひりたい