【2021年読書レビュー】リスク心理学 危機対応から心の本質を理解する

ブックレビュー

今までは毎月読んだ本をまとめて紹介していましたが今月からは1冊ずつ紹介します。直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。

今回紹介する本

『リスク心理学 危機対応から心の本質を理解する』です。

日々生活する上で無意識のうちにリスクを考慮して行動を決めている(はず)。心理学って人間の思考回路の本質に迫っているようなおもしろいものだという印象があるので自分が好きなジャンルの一つです。

書籍の構成

「はじめに」で筆者は『リスクへの対応を理解することは人間の核心を理解することにつながります。(中略)リスク対応の心理を理解することは面白いと思っていただければ望外の喜び』と仰られていますが、その期待に沿う内容になっています。

  1. リスクと心理学の関係
  2. リスクを評価する2つの方法
  3. リスクと恐ろしさ、未知の関係
  4. ヒューリスティックとは
  5. 人々がリスクを認知する度合い
  6. リスクにどう向き合うか

普通に生きているだけでもケガをするとか金銭的に損をするといったリスクのことを考えますが、このご時世はCOVID19というリスクの塊みたいな存在がいるので生活で意識せずにはいられません。

この本を読んで合理的に判断できるか、といったらそんなことはないでしょうが考えている過程で「これはこの本が言っていたことなんだ」と紐付けできるところに価値があると思います。

書籍の気になった内容を一部紹介

本書の中で最も印象に残ったヒューリスティックについて紹介します。そもそもヒューリスティックという言葉をこの本読むまで知りませんでした。

国語辞書的には『試行錯誤しながら経験と発明を積み重ねることによって問題を解いてゆく方法』だそうですが、そんなこと言われてもわからんです。本書の中で言うとリスクを評価する手法です。

  • 利用可能性ヒューリスティックス
  • アンカリング効果
  • 天然のほうがいいヒューリスティックス
  • 感情ヒューリスティックス

この中で聴き馴染みがあるのはアンカリング効果だけでした。自分は利用可能性ヒューリスティックスが一番面白いと思いまして、これは「自分がイメージできるは高い確率で起こると判断する」というものです。

旅行の移動手段を考えるときやどの道を通っていくかを考えるときには「この道はよく混むよな〜」とか「飛行機って遅延しやすいイメージがあるな」と思った人は自然と混雑しない道を選ぶとか新幹線で旅行しようと直感的に決めると思います。

そう言われたら自分もよくこういうこと考えてたと実感しました。投資のポートフォリオを決める時は「なんか新興国ってリスク高そうだから米国多めにしよう」とか旅行の手段でいうと「飛行機は早く予約しないといけないし、欠航するかもしれない」と新幹線をチョイスするみたいな。

感想などなど

この本のいいと思ったところ

  • 誰でも実感できる話
  • 専門用語は少なめ、本書の趣旨通り面白さがわかる
  • 自分のリスクの考え方のクセがわかる

こう考えるが正解と伝えているわけではないのですが、いつも直感で決めていたなとか理詰めで考えすぎてたとかが本書を読んでいくうちに自分自身の中で咀嚼できるのが本書の価値だと思います(最初と言ってること一緒だけど大事なので2回言いました)l

本書の内容に関連して思ったこと

この中で紹介されているアンカリング効果がそうですが、自分でよく考えたつもりでも前提として設定された数字や情報によって考えが偏ってしまうことってあると思います。

自分以外のものに操作されて決めさせられているなとか行動を判断させられていると思ったらゼロベースで考えるというのがいいんだろうなと思いました。フラットに情報を見れたらベストですが、どうしても好き嫌いとかこうあって欲しいという気持ちがあるとバイアスがかかるので。

この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人

おすすめ度は10点満点中9点です。

この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。

読むのがおすすめな方
  • 心理学が好きな方
  • 一般的に人はどんなことを無意識に考えているか知りたい方

ゴリゴリ学問になってしまうと単に読むのが辛くなるだけですが、本書はそんなことありませんでした。読んでタメになるし、しかも面白いって最高ですよね。

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以上でおわりです。最後までお読みくださりありがとうございました。

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