この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『専門医が教える新型コロナ・感染症の本当の話』です。
コロナ禍を通じて今まで知らなかった医療界の先生を何人か覚えることになりました。尾身会長もそうだし、お医者さんではないけど通称「8割おじさん」もそうです。
その方々と同じくらい有名になった(はず)のかたが本書の著者、忽那賢志さんです。
読書レビューで何冊か新型コロナ関連の本を読んでいますが、共通しているのが「コロナ禍で体験したのはパンデミックだけでなくインフォデミック」であること。
これまでも不確かな情報に乗せられて行動していたことはあったにせよ、これほど情報が二転三転して吊られうるような状況はなかったと言ってもいいでしょう。
こうなったのはメディアの問題もありますが、受け取り手側のリテラシーが足りてなかったからと言えます。そのため、本書では新型コロナの話だけでなく感染症とは何かとかワクチンってどんな仕組みなのかといった基本的な内容を網羅するように書かれています。
- 感染症とは?
- 日常生活で触れる感染症
- エボラやエイズなど新興感染症
- 新型コロナウイルスのあれこれ
- 感染予防法
- 社会と新型コロナ
- コロナ禍におけるSNSの影響
- 次のパンデミックが来たらどうするか
ただしておきたい知識はこれだ!
本書の中から「これは多数の人が勘違いしてそうだ」と思ったことを紹介します。
- 感染症の恐ろしさは致死率だけでなく感染力も重要
- 免疫力は数値化できない
- 人を一番殺している生き物は人=殺人ではなく「蚊」
- WHOが宣言するパンデミックには6のランクがあり、この宣言と実際にパンデミックかどうかは無関係
確か他の書籍でも言われていましたが「免疫力が上がる!」「免疫をつける」というのは非常にフワッとしているだけでなく良くなっている/悪くなっていることが見えないものです。免疫という言葉が持っている意味はあくまでそういう体の働きの仕組みであるってことだけなのに、ついつい釣られて変な食べ物とか試してませんか??
上記以外でもワクチンは打ちさえすれば大丈夫(100%感染しないわけじゃない)とか、生食用の牡蠣なら大丈夫(というわけではない)といった日常生活に関わるところでも勘違いしてたポイントが祟り、勉強になります。
何にも求められるのは情報リテラシー
この本のいいと思ったところ
- 感染症に関する基礎知識が一通り身につく
- 新型コロナのことももちろん深掘りあり
1冊でここまで学べてしまっていいのかと思うぐらいに項目一つ一つの解説が充実しています。感染症のこと、免疫のことをわざわざ勉強したことがある人はそう多くないでしょうが、そういう方にもとっつきやすいようになっています。
全部知らなくてもいいけど、知る時の姿勢が大事
知っておいた方がいいことと知らなくても困らないけど都度確認くらいはしたほうがいいこと、いろいろあります。
医療のことは医師や看護師が一番詳しいわけですからコロナ禍になったとはいえ、いきなり焦って勉強する必要はないと思います(どうせ知識量勝てないんだし)。ただ、これは医療に関わらずですがどうやって情報を手に入れるか、咀嚼して使うかは身につけていないとかなり困ります。
もしこれまでに情報に騙された経験があるならば、学ぶべきはその情報について知らなかったことではなくて、情報の調べ方、使い方を知らなかったことにあると言えます。今回のコロナ禍もそうでしょう。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中9点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。情報を知るからには正しい情報を知っていることがいかに重要か気づけます。
- コロナのことで失敗経験がある
- この際だからちゃんとした情報を知りたい