この記事のもくじ
まえがき
今回紹介する本
『人生を豊かにしたい人のための世界遺産』です。
本書の概要
世界遺産、訪れたことはあるでしょうか?現在日本には25ヶ所の文化遺産もしくは自然遺産があります(引用:外務省 我が国の世界遺産一覧表記載物件)。富士山や原爆ドームなどの有名どころもあれば最近登録された百舌鳥・古市古墳群とか北海道・北東北の縄文遺跡群など広く地名的とは言えない場所も含まれています。
ここで少し興味関心のある方はこんな疑問を持たれたことがあることと思います。
「なんで世界遺産に登録されるといいの?」「最近世界遺産増えすぎ。特別感がないから昔ほど有難いと思わない」。
本書ではこのような疑問へのアンサーだけでなくニッチな世界遺産の知識が得られるようになっています。知っていることが増えるという点で人生が豊かになるのは確かそうです。
- 世界遺産が必要な理由
- 世界遺産の定義
- 注目すべき世界遺産
- ここも?な意外な世界遺産
- 世界遺産の物語
世界遺産に選ばれる意義とは?
経済効果、ではない
先ほど一例として書いた「世界遺産が増えすぎたらありがたみがない」というのは自分も感じていることでした。あれも世界遺産、これも世界遺産・・・。そんなこと言ってたら究極的には「地球にあるものはすべて大事だからすべてが世界遺産だ!」ということになってしまいますからね。
それでも世界遺産がどんどん登録されていく意義はなんなのか。パッと思いつくのは観光客が増えてその市町村なり国にお金が入ることですが、本書曰くその効果は一時的だといいます。最初は「世界遺産だから」という理由でその場所が目的地になることはあるでしょうけど、年数がたてば他の観光スポットと同列に過ぎなくなるように思います。
少なくとも自分はそう思います。
じゃあ世界遺産に選ばれることはどんな意味をもつか?
世界遺産に登録されようと思ったら手間もお金もかかるのに経済効果はない、なんて言われたらなぜそこまでして世界遺産は価値があるのか。それは
世界における多様性の保護
だといいます。地球の中で守っていくべきものに偏りが出ないようにしようと思ったら有名かどうかはさておいて唯一無二な存在のものが守られるようにしようというのも至極当然。
例えば富士山も世界遺産の一つですが自然遺産ではなくて文化遺産として登録されているのですが、これも自然遺産として見た時にはすでに富士山と似たような山が登録されているから。
そう言われると多様性を構成している1要素が消えてしまう前に世界遺産としてしまうのはある種理にかなっているのかなとも言えます。
あとがき
本書は明らかに世界遺産という制度があることをよしとする前提で書き進められているので一旦「わかりました」という他ないですが、やっぱり違和感は感じます。
結局世界遺産に登録されるものって比較的昔のものですが、じゃあ最近できたものに世界遺産に選ばれるような価値がないかと言ったらそんなことはないと思います。
世界遺産は大事にする、がひっくり返って世界遺産じゃないものは大切にしなくてもいいなんて風潮になろうもんなら本末転倒。
世界遺産は世界の代表的な感じでリストアップされているだけで身の回りの風景や地元のお祭りなどが相対的に大事にされないことにはなってほしくないなぁと思いました。