この記事のもくじ
まえがき
この時期の恒例情報といえば税制改正「要望」です(大事なので強調しました)。すでに金融庁からの要望の一つであるNISAの拡充のニュースだけはアホほど出回っていますが、果たしてそれ以外の要望をちゃんと知っている人はいかほど・・・。
ということでしばらくの間各省庁が出した要望の一覧とその中で自分が気になったものを紹介します。今回は法務省の要望をチェックします。
注意点
あくまで要望なので実現するとは一言も言ってません。特に上述のNISAの例なんかがわかりやすいですが、実現するなんて言ってもないのに巷では実現することが確定事項かのように「年間投資枠は60万円か?はたまた300万円か?」なんて記事やら動画やらが続出します(個人的には辟易)。「実現するかもしれない」「実現したらラッキー」くらいにして、あまり期待はしないでおきましょう。
各省庁の税制改正要望はこちらから確認できます。
法務省が提出した要望一覧
- 更生緊急保護に係る医療に対する非課税措置の拡充
昨年は1件も要望を出していませんでした。
この要望に関連する法律は「更正保護法」です。そもそも更正保護とは何かというと以下を指しています(法務省 「更正保護とは」)。
- 保護観察:犯罪・非行者の行動をフォローしたり生活指導をしたりすること
- 応急の救護等及び更正緊急保護:宿泊施設や飲食物の提供
- 仮釈放・少年院からの仮退院等:円滑に社会復帰できるように矯正施設の出所前に仮釈放すること
- 生活環境の調整:釈放後の生活状況を調査して社会復帰に相応しい環境を整えること
- 恩赦:裁判の内容を変更させたり、消滅させたりすること
- 犯罪予防活動:国民の理解促進、犯罪の原因となっている社会環境改善に資する活動のこと
今回の要望はこのうちの2つ目ですね。
現在、この対象になり得る人は以下の全てのパターンに当てはまる人。
更正緊急保護の条件
- 刑事上の手続き又は保護処分による身体の拘束を解かれた人
- 親族からの援助や、公共の衛生福祉に関する機関等の保護を受けられない、又は、それらのみでは改善更正できないと認められた人
- 更正緊急保護を受けたい旨を申し出た人
更正緊急保護の制度下で受けた医療については消費税非課税となっているのですが、この要望では「検察官が直ちに訴追を必要としないと認め、処分保留で釈放された者」も追加されると言うことで同様に消費税非課税としてほしい、と言う内容です。
犯罪・非行を犯した人に財政的な優遇をするのか!?と言う批判的な意見もあるかもしれませんが、実際問題としてお金は持ってないでしょうから、そのせいで再犯されるくらいなら社会復帰をちゃんとしてくれる前提でその移行期間の援助をするのは悪くないんじゃないかと思います。