この記事のもくじ
今回紹介する本
『ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界』です。
2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻から随分と時間が経過しました。当初はウクライナの首都のキーウが大丈夫かどうかという話だったのが欧米の支援もあってかかなり善戦しているような印象を受けます。言い方を変えればそれだけ長期になってしまっていて犠牲が増えてることになりますが。
本書では当初「なんだかんだいってロシアは侵攻しないだろう」という中で開戦してしまった現状、そして中国が虎視眈々と狙う台湾統一の問題を重ねてこれからの世界秩序がどうなっていくのかを各方面の識者と著者が議論しているものです。
- プーチンの戦争・習近平の夢
- 武器を使わない戦争
- 苦境に立つアメリカ
- 台湾有事のリスクとシナリオ
- パワーポリティクスに回帰する世界
これからの日本はどう立ち振る舞うべきか?
コロナがきっかけというべきかは断言しかねるところですが、少なくともどの国もグローバルな意識は持ちつつ「まずは自分の国が一番大事」という方針になっています。アメリカであってもそれは例外ではなく、安全保障体制を敷いているからといって冗談抜きで中国が日本に侵攻してきた場合にアメリカが助けてくれるかどうかは別問題です。助けてくれるとしても、それはこれまでの戦略が変わらない前提が必要です。
そんな中でいまだに憲法改正をどうするかの議論が全くもって進んでいない日本。最終章ではこれからの日本の振る舞い方について次のような提案がされています。
- 日本は欧米とは異なる民主主義を尊重する(アジア型の民主主義)
- ウクライナ侵攻で近隣のヨーロッパが支援しているように、日本としては他のアジアやアフリカなどの中間地帯を確保する
- 十分な軍事力を持たない日本だからこそ軍事力任せの大国とは違うアプローチ=国際法に基づく問題解決ができるように取り計らう
アフリカについてはどうでしょうね。中国が金に物を言わせて進出している印象があるので、日本もODAを通じた援助をしているとはいえ弱い感じがします。
ASEANみたいな枠組みの中で「日本についてた方が得だな」と思わせるアクションがいるのでしょうね。アジアで大国と言えば中国くらいなので小さい国同士、という点であれば日本は似た物同士ということで話もしてもらえるでしょうし。
あとがき
本書でちょろっと書いてましたけど、人口ベースでいうと純粋な民主主義の方が少ないというのは興味深い事実です。だからこそ束になって守り合おうということでNATOが作られていると理解できます。
ただNATOは文字どおり「北大西洋条約機構」なので日本は参加できません。自分たちである程度なんとかしないといけません。正直それで徴兵されることになっても嫌っちゃ嫌ですが、それくらいの気概を持っておかないと、よそ様の土地なのを判っといて「第一列島線」とか「第二列島線」なんてことを本気で掲げている中国に攻められたらおしまいです。
少しの覚悟が必要な時代になったのかもしれません、悲しいですが