この記事のもくじ
- 投資信託とETF、どちらを買おうか踏ん切りがついていない方
- 「いまの投資信託は十分手数料が安いから」とETFの購入を検討したことすらないかた
はじめに
投資界隈でよく聞く論争がETFか投資信託かですがどうでしょうか?個人的には「全世界か米国か」「一般NISAかつみたてNISAか」「インデックス投資か高配当ETFか」なみによぉ〜く目にするA orBなお話です。
ETFおすすめ派の意見としてよくあるのが
- 信託報酬が投資信託よりも安い
- 投資信託よりも豊富な選択肢がある
- リアルタイムの売買ができる
で、反対に投資信託派は
- 最近の信託報酬はETFと遜色ない(これは本当)
- 金額指定で購入できる(ドルコスト平均法を実践できる)
- ドル円の交換などの手間がかからない
でいつまでたっても結論は出ず「好きな方買いましょう」で話が終わってしまいます。そこで今回は手数料の観点からETFは投資信託と本当に遜色なくなってしまったのかを確認してみることとしました。
得な方を買おうと思っているかた、ぜひ最後までチェックしてみてください。
なお、今回の検証にあたっては楽天証券やSBI証券で購入できる銘柄で絞っています。
評価をする前に整理
投資信託にかかる手数料のおさらい
改めてですが、おさらいしておきましょう。投資信託とETFはどちらも「投資信託」なので基本的にかかるお金は同じです。まとめると次の通りです。
投資信託 | ETF | |
購入手数料 | 必要 | 必要 |
信託報酬(保有コスト) | 必要 | 必要 |
売却手数料、信託財産留保額 | 必要 | 必要 |
その他 | 隠れコスト | 為替手数料(海外) |
ということですが、投資信託の場合は購入と売却で手数料がかからないいわゆるノーロードという商品がメインになっている(というか人気なものは全部そう)ので、不要と考えて差し支えありません。
ETFの場合は購入、保有、売却のほかに米国高配当ETFのような海外のETFを買うときにはドルで買わないといけないので為替手数料が別にかかります。ただこれについては投資信託でも見えていないだけで裏では円からドル、もしくはドルから円に換えてくれていると理解しておくのが○です。その分手数料をETFより多めに払っているといったところでしょうか。
前提条件
必ずしも、投資信託で販売されているものと値動きは全く同じETFがあるとは限りません。なので今回は投資信託とETF、比較できるものに対して次の条件で評価してみます。
- 購入方法:一括
- 対象のインデックス:S&P500、TOPIX、FTSEグローバル・オールキャップ(全世界)
- 為替:1ドル100円(海外ETFの場合のみ)
- 隠れコストは無視
例えば投資信託が信託報酬0.10%、それ以外の手数料なしならずっと年あたりのコストは0.10%と評価します。対してETFの場合、信託報酬が0.05%で最初の購入手数料が0.5%だとすると1年目の時点では0.55%、2年目の時点では(0.05+0.55)/2=0.30%が保有コストとなります。購入手数料が長期保有によって薄まっていくイメージです。
確認の結果は・・・?
TOPIX
投資信託は下記以外にもifree next シリーズやニッセイのインデックスファンドも同率最安です。ETFは高いレベルで手数料の安いたいしてETFでいうといくつかあるのですが、一番安いであろうものをピックアップしました。
投資信託 | ETF | |
商品名 | emaxis slim 国内株式 | NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 |
購入手数料 | 0% | 0円 |
信託報酬 | 0.154% | 0.0968% |
売却手数料 | 0% | 0% |
みてもらったら一瞬ですが、ETFのほうが1年単位でも安いので手数料のことだけ考えたらETF一択ですね。国内株式ということで為替手数料がかからないことや、購入だけでなく売却手数料も0円になっていることがポイントです。
S&P500
投資信託 | ETF | |
商品名 | emaxis slim 米国株式 | VOO |
購入手数料 | 0円 | 0円 |
信託報酬 | 0.0968% | 0.03% |
売却手数料 | 0円 | 0.495% |
楽天証券やSBI証券であれば購入手数料は0円ですが、ほかの大概のETFは売却時と同様に0.495%かかります。は為替手数料が1ドル25銭です。100万円分=1万ドル分買うなら25銭(0.25円)*10000=0.025%分となります。これが初期費用的にかかります。
これらを年あたりにするとこうなります。
9年以上持ち続けるというなら、ETFのほうが手数料としては安く上がることになります。インデックス投資をしている人は少なくとも10年は持ちっぱなしだと思うので、十分が取れる分岐点と思います。
FTSEグローバル・オールキャップ(全世界)
最後に究極の分散投資、全世界株式いってみましょー。
投資信託 | ETF | |
商品名 | SBI・全世界株式インデックス | VT |
購入手数料 | 0円 | 0円 |
信託報酬 | 0.1102% | 0.09% |
売却手数料 | 0円 | 0.495% |
こちらはSBIが優秀という他ないのですが、信託報酬の差が0.02%しかないので全然差が詰まりません。30年保有してようやく保有時のコストが逆転できるということです。
でも、隠れコストは忘れないで!
前提条件でもちゃんと書いていますが投資信託には隠れコストと呼ばれる費用(監査費用やら文書管理費用などなど)がありますが、これは運用報告書が出ないとわかりません。後付けの数字です。
信託報酬のように明記されていない数字なので今回は算出から除いた、つまり投資信託が有利になる条件だったことを忘れないでください。
emaxis slim米国株式の場合、信託報酬は0.0968%ですが隠れコストも足すと0.16%になるので実際はETFのほうが年あたりの手数料で勝るタイミングは早く来ます。
また、投資信託とETFを比較するにあたっては分配金のありなしも重要なファクターです。分配金をもらえることを重視するか、分配金をもらわない代わりに税金の繰延をするのかは個々人の好みで決まります。
投資信託が優秀になってきたとはいえ手数料の面でETFが有利なのは仕組み上変わらないので自分の重視することと照らして投資信託を買うかETFを買うか決めてもらえたらと思います。