S2Fモデルは間違い?暗号資産の価値を決めるメトカーフの法則とは

まえがき

ビットコインの価格予測といえばS2Fモデル

もう1年経つんかって感じですが、こんな記事を書いています。

ビットコインに投資している人であれば大体知ってると(勝手に)思われる価格予測モデルがS2Fモデルと呼ばれるものです。

S2Fモデルの特徴といえば以下の通りです。

  • 既に存在する量に対する新規の生産量に応じてその資産の時価総額が決まる

ビットコインは金や銀と同じように有限な存在です。そして金や銀の時価総額 はストックフロー比率で説明できています。なので

「ビットコインの価格も金や銀と同じように決まる!」そして「ビットコインの新規の生産量は減るようにできているので長期的に値段が上がっていく!」

このように考えて価格予測がされているわけです。

現在のモデル価格と実際の価格

これを書いているのは2022年3月12日。この時点でのモデル価格と実際の価格の推移がこちらです。写真はBUY BITCOIN WORLDWIDEのBitcoin stock to flow model live chartから切り抜いています。

モデルには遠く及ばず低空飛行といったところでしょうか。過去半減期を迎えたときも下火になる期間はありましたがモデル価格を大きく超えているタイミングがあったのとは異なり、予測価格には到達しないまま下火になりそうな感じ。

YouTubeで「年内には1000万円(グラフで言うとざっくり10万ドルのところ)か!!」と煽っていた動画がたくさんあったのを思い出します。最近はインフルエンサーによる動画投稿はさっぱりなくなって、最初から仮想通貨のことだけ発信していた方が継続して投稿してますね。

S2Fモデルだけじゃない?ビットコインの価格を予測する方法

ビットコインの価格といえばS2Fモデルといえるぐらい有名ですが、言い換えると他に予測する方法はないのか気になりませんか?

今回はそんなかたに向けて”メトカーフの法則”と呼ばれるS2Fモデル以外だと割と情報も出てくる予測方法について紹介します。

メトカーフの法則を元にした価格予測とは

今回紹介する論文

Metcalfe’s Law as a Model for Bitcoin’s value』です。普通論文というとお金を払わないと閲覧できないのですが、こちらはリンク先を見てもらったら分かるとおりオープンアクセスという無料で見れる論文です。

「なんだよ英語かよ」と思われたそこのあなた。

学術分野のことは英語で書かれてるもんです。日本語で書いた論文は日本人しか読んでくれないのだから当然です。大人しく英語を読めるようにしましょう。

この論文が出たのは2018年時点なので足元の半減期を織り込んだ価格にはなっていない点注意です。

メトカーフの法則ってなに?

まずここから必要ですね。自分もビットコインきっかけで知っただけで初耳でした。

昨今はネットありきの生活になってますよね。メトカーフの法則はこのネットワークの価値に着目した考え方です。言葉で書くとこうです。

ネットワークの価値はそのネットワークに接続しているユーザー数に応じて非線形的に増加する

非線形ということはユーザー数に比例、ではないということです。具体的にはユーザー数をnとすると

A × n × (n-1) / 2

Aは定数です。n(n-1)/2というのはユーザー数に応じて生まれるネットワークの線の数です。こんなイメージ。

ここではネットワークの話をしているので理解しにくいかもしれませんが、普通の買い物でも少ない人よりはたくさんの人に買われているもしくは何かと取引されている物の方が価値があるとおもいますよね?

それと同じことをネットワークに当てはめて「たくさんのユーザーによって取引されているものは価値がある」とするのがメトカーフの法則が言わんとしているところです。

価格予測のために準備するもの

この論文ではビットコインの価格予測にメトカーフの法則をあてがうために幾つかの情報を前もって用意しています。それがこちらです。

  1. ビットコインの生成ペース
  2. ウォレットの数

ビットコインの生成ペース

みなさまご存知の通り、半減期を迎えるごとに新しく作られるビットコインのペースは半分になっていきます。最終的には2100万枚のビットコインが生まれることになります。

これをもとにビットコインの生成ペースに関してGompertzモデルというものをアレンジして数式を作っています。

ウォレットの数

銀行にお金を預けるには銀行口座を作らないといけません。株式を買いたいなら証券会社で証券口座を作らないといけません。それと一緒で、仮想通貨(ビットコイン)を買うために必要なのがウォレットです。

下図はウォレット数の増加スピードです。これはメトカーフの法則で言うユーザー数に関連する要素ですが徐々にユーザー数の増加は鈍化していることがわかります。

で、結局価格予測は?

で、いくつか説明の割愛がなされて以下のような数式が出来上がっていました。一部文字式の説明がないのが不親切だなと思いました。

Yはビットコイン価格、Mはさっき説明したメトカーフの法則の式の部分、bはビットコインの生成ペースで残りは定数です。これをもって弾き出されたのがこちら。

ざっくりあってんなぁって感じがしますよね。S2Fモデルとは性質が違いますがなんらかの根拠を持って価格提示している点ではこれも評価していいのではないでしょうか?

将来はどうなるの?

超大手の仮想通貨取引所であるBinanceに各モデルでの価格予測のグラフがあったのでメトカーフの分を拝借しました(2022年の部分に矢印を追加してます)。

これを見ると現在の価格(4万ドル近傍)というのは妥当だと言えそうです。

なおここで注目したいのは2024年に10万ドル、2028年に100万ドルを迎えることはS2Fモデルと共通していることです。S2Fモデルの場合は既に10万ドルに到達しているはずで、加えて100万ドルに到達するのは2026年ごろと少し早めに見積もっていますが、着想が異なる2つのモデルが似たような価格予測をしているのは面白いですね。

あとがき

長期的には多分上がる

実際に実現する価格がどうなるかはさておいて、自分は長期で見た時には上がるだろうということには同意しています(じゃないとなんで投資してんの?って話ですが)。

なのでビットコインを買うかどうか迷っている方がいたら「今すぐ買いましょう!」と断言します。仮にクズと化してもいい勉強代です。今も高い高いと言われていますが4年前も同じようなことが言われていましたし、4年前は現在の価格にすら到達していなかったのです。

仮に決済手段として使えなくても資産の価値保存としては機能すると踏んでいるので自分はこれからも期待しすぎずに余剰資金があればビットコインを買って行きたいなと思います。

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