この記事のもくじ
- TOPIX連動のインデックス投資を検討している
- 1年、5年、10年などの期間だけでなくもっと細かい期間でのリターンも知りたい
はじめに
資産運用の3つの基本
資金力のない民衆が資産運用をするときの鉄則は以下3項目です。
- 長期➡︎一度買ったら長期間寝かせる。ドルコスト平均法を効かせる意味合いも
- 積立➡︎毎月コツコツ定額で(ドルコスト平均法)
- 分散➡︎時間の分散(これもドルコスト平均法の意味合い)&資産の分散(地域・資産クラス)
要は
・ドルコスト平均法でコツコツ
・インデックス連動の
・低コスト商品を買っとけ!
ってことですね。
インデックス連動の目安の保有期間
巷で言われる期間は20年です。
20年ドルコスト平均法で積立を続けていれば大小はあれど、リターンはプラスであるということです。20年というとキリもいいし、一つの保有期間の目標として悪くはないと思います。
一例としてYahoo!ニュースに掲載されていた幻冬舎GOLD ONLINEの記事「「インデックスファンドへの長期投資」が鉄板と言われる理由」から年別のリターンを引用させてもらいます。
確かに20年の投資であればばらつきはあれプラス側にしかデータがないことがわかります。
しかし、「じゃあ19年だとどう?」とか「13年でも大丈夫なんじゃ?」といったニッチな疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これはこの記事を書くため、というよりは投資を始めた年齢が中途半端(例えば43歳とか37歳)だけど取り崩しを始めたい年齢はキリがいい(60歳とか65歳とか)場合には20年も待ってられんからです。
実際、自分も投資を始めた年齢は5の倍数的なキリのいい年齢ではなかったので「20年て言われても、それまでい経済的自由達成して取り崩し始めたいんだけど」と思ってる一人なんです。
ということでこの記事はキリのいい年数以外についても年率リターンを計算することで『何年以上ならプラスになると期待できるか』という問いに答えることを目的として進めていきます。
算定のための前提条件
条件概要
条件は以下の通りです。
- 対象の指数➡︎TOPIX
- 算定期間➡︎1年〜20年まで1年刻み
- データ期間➡︎1991年1月〜2021年12月
(Yahoo!ファイナンスより引用) - 購入価格➡︎各月の始値
- 購入方法➡︎毎月定額
- 最終評価額の参照元➡︎最終購入月の終値
- リターンの種類➡︎年率換算で計算
補足事項:算定期間について
例えば2年リターンを出すときは
1990年1月〜1991年12月購入➡︎1991年12月終値と比較
という方法を取ります。加えて、データの個数をできるだけ増やすために
- 1990年2月〜1992年1月購入➡︎1992年1月終値
- 1995年10月〜1997年9月購入➡︎1997年9月終値
のようなケースに対しても算出することにします。よって算出されるデータ個数は一部示すと
- 2年リターン
1990年1月〜2020年1月スタート分の372個分 - 15年リターン
1990年1月〜2007年1月スタート分の216個分
このようになります。
補足事項:評価方法について
一般的に言われるリターンというと「1990年1月と1992年1月の始値を比較して2年リターンは年率換算・・・」で算出されます。つみたてNISAのように
例)2020年に買った分が20年後にプラスになっているかどうか
これを推し量るときは上記方法による見立てが適当です。
今回の算出方法は積立続けてどうか、例えば
例)2020〜2030年までeMAXIS Slim米国株式を10年買い続けたら10年後は全体でプラスになっているかどうか
という見方なので通常とは異なることになります。どっちかというと楽天証券であるようなつみたてシミュレーションと似てます。
あらかじめご認識ください。
算定結果
算定結果の見方
ここで以降に示す数字の定義を明確にしておきます。
言葉 | 意味 |
最大 | 検証期間での最大リターン(年率換算)の実績 |
最小 | 検証期間での最小リターン(年率換算)の実績 |
プラス確率 | 算定結果がプラスに終わったデータの比率 |
1〜10年
積立 年数 | 平均 | 標準 偏差 | 最大 | 最小 | プラス 確率 |
1 | 1.27 | 13.10 | 44.18 | -35.19 | 52.4 |
2 | 1.14 | 8.69 | 20.47 | -24.01 | 54.4 |
3 | 0.91 | 6.91 | 16.53 | -18.52 | 55.5 |
4 | 0.76 | 5.85 | 14.00 | -13.88 | 55.1 |
5 | 0.78 | 5.1 | 11.70 | -10.53 | 57.2 |
6 | 0.68 | 4.48 | 9.81 | -7.81 | 55.8 |
7 | 0.67 | 3.96 | 8.34 | -6.48 | 57.8 |
8 | 0.74 | 3.50 | 6.71 | -5.84 | 57.8 |
9 | 0.72 | 3.21 | 6.29 | -5.43 | 57.3 |
10 | 0.61 | 2.99 | 5.57 | -5.06 | 55.7 |
この範囲だと投資期間としてはまだまだ短い。例えば一般NISAの非課税期間は最長5年間であることを鑑みるとこのデータではプラスリターンの年とマイナスリターンの年が半々くらいで標準偏差も大きいため、一般NISAの投資対象として考えるにはちと不安な感じがします。
11〜20年
積立 年数 | 平均 | 標準 偏差 | 最大 | 最小 | プラス 確率 |
11 | 0.61 | 2.77 | 4.73 | -4.60 | 58.9 |
12 | 0.67 | 2.51 | 4.38 | -4.41 | 61.1 |
13 | 0.76 | 2.24 | 4.28 | -3.80 | 64.5 |
14 | 0.74 | 2.11 | 3.89 | -3.58 | 67.8 |
15 | 0.69 | 2.02 | 3.49 | -3.44 | 70.0 |
16 | 0.55 | 1.97 | 3.18 | -3.29 | 68.0 |
17 | 0.42 | 1.93 | 3.00 | -3.11 | 63.9 |
18 | 0.43 | 1.88 | 2.87 | -3.03 | 66.2 |
19 | 0.58 | 1.71 | 2.83 | -2.62 | 69.7 |
20 | 0.72 | 1.54 | 2.73 | -2.52 | 75.9 |
10年越えとなるとリターンはともかく標準偏差が落ち着いていることがわかります。また、プラスとマイナスの回数もプラスの比率が約75%ほど。10年以下だと最終リターンがプラスの時とマイナスの時で半々だったのでかなりマシになった印象です。
できるものなら20年も投資したら全てプラスになってて欲しいところですがこれも投資といったところか、それとも日本の株式市場に魅力がないだけか・・・。
総括
プラスリターンを確度良く見通せる積立年数は◯年
以上の結果を一つのグラフにまとめるとこうなります。
綺麗にばらつきがなくなってきてるのがわかります。
そこまではいいんですが、残念なのはほぼ±0を中心にしていることです。それは先の表で出した平均リターンの数字が1%未満というところからお察しですが。
ということで最大最小および3σを考慮した上で確実にプラスリターンを見込めるのは20年よりもっとかかるという結論となります。
25年とか30年とかみても全然いいのですがn数が少なくて参考レベルにしかならないのでやめときます。
長期保有を念頭に置いたTOPIXの投資適格性
ついつい忘れがちですが、インデックス連動ならなんでもいいわけではありません。
上がったり、下がったりするけど長期的には伸びていくものだからこそ意味があるんです。ゴミインデックスは所詮ゴミです。
というのを考えた時にTOPIXを使った長期運用はどうかと言われると
『う〜ん・・・』
と言わざるを得ないですね。長期保有したときに100%プラスになれとは言いませんけど、4回に1回は20年積立を続けても損しますと言われるとモチベーションが湧かない。
TOPIXに投資するなら10年以内の短期にするか、「日本の企業を応援するために寄付しよう!」ぐらいの意気込みじゃないと精神衛生上も良くない気がします。
ということで自分はTOPIXには投資してませんし、予定もしてません。
以上、投資先を決める上での参考になれば幸いです。