【2021年読書レビュー】大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる

この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。

お断り
この記事はもともと毎月読んだ10冊をまとめて紹介する形で掲載していましたが大変読みづらいことに気づいたので、1冊ずつのレビュー形式で再掲していますm(_ _)m

今回紹介する本

『大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる』です。

経済学部を出た以外の人(自分もその一人)からすると「経済学部ってどれくらい金融学を勉強するの?」「10時間って短いの?短くないの?」こんな感想を抱きますが、それは置いときましょう。

仮に1回分の講義でしかないとしても1コマ90分で少なくとも10回は講義あるでしょうから90*10=900分=15時間の内容を10時間でざっと学べるならお得かな?これくらいのイメージで。

著者曰く本書の目的は学問状の金融学と実務上の金融学の橋渡しとして、何らかお金に関する問題に直面したときに考える足がかりとなることです。

日本の学校はお金の勉強を全くといっていいほどしてこなかったのでもう大人になってしまった人は何らか勉強をしたほうがいいでしょうね。

家庭科での金融教育
ようやく22年度から家庭科の授業で資産運用にかかわる話はするそうです。するなら政経の科目ですりゃいいのに、って思いますがやってくれるだけマシですかね?(出典:日本経済新聞「高校家庭科で「投資信託」 22年4月から授業」

本書の構成は以下の通りです。

本書の構成
  • 金融入門
    • インフレ
    • 銀行の役割
    • 基軸通貨 など基礎中の基礎
  • ファイナンス入門
    • リスクとリターン
    • 資産の種類
    • 金融市場のインフラ
  • 金融論の応用
    • 中央銀行が目指していること
    • 為替の仕組み
    • 過去の金融危機
    • 電子マネーや仮想通貨のこと

お金に関する誤解あるある

金融の入門書ということでこれでもか!というほど基礎的な説明に終始していますが、基本的に馴染みがないものばかりなので「そういえばそうだった!」と思い返せる内容です。

以下、独断と偏見で広く認知されていないであろう事柄を示します。

  • 貨幣はインフレによって価値が落ちる。中央銀行の役割はインフレのコントロール
  • 経済を回すという点ではお金を借りることも一方法
  • 定期預金や国債も中途解約時の利率が保証されていない点ではリスク資産
  • 市場が効率的(現在の株価業績が種々分かっている情報を織り込んでいること)なのはアクティブ運用家のおかげ
  • インフレしないと借りた側、インフレしすぎると貸した側にとって悪都合
  • リスクは悪いことが起きる確率ではなく、値動きのばらつき程度

特に3点目と4点目は言われてみたら確かに!な話です。

定期預金や債券には現状投資していないので無縁ですが、現金債券は安全資産だと良く言われる中でこの指摘は大変貴重です。


一般ピーポーは大概ドルコスト平均法なる方法で持って投資をしているかと思います。前提条件は

  • 毎月定額であること
  • 買ったら長期間にわたって放置すること

の2点です。もし全員がドルコスト平均法をしてしまうとずっと株価は右肩上がりです。一見よさそうですがドルコスト平均法の旨みは値段が下がったときにたくさん買えることであり、もし値下がりしないなら一括購入した方がいいことになります。

上がったり下がったりするのは短期的に個別株も含めて売買してくれる人のおかげであることを今一度知っておかないといけませんね。

しかも、そういったトレーディングは度々投機と言われるように数少ない勝者の中にたくさんの屍が眠っているわけですので・・・。

知ってるだけでは得はしないけど損は回避できる

この本のいいと思ったところ

  1. ひとつひとつの用語説明が丁寧
  2. 会社勤め、自営業など立場に関係なく応用できる

リベ大の「お金の大学」も教科書的な本ですが、そこに出てくる単語すらわからないとかユーチューブの投資系動画をみていてもいまいち理解できないという方はむしろこの本から入って言葉の意味を理解するステップを挟むと良いと思います。

ここに書いていない話はもはや専門的すぎて一般ピーポーが知ってたところで株式のリターンが上がるとかFXで大儲けできるようなものではないので知ってる必要がないと思います。

といえるだけ本書はお金に関わる基礎知識が網羅されています。

本書の内容に関連して思ったこと

これに限らずですが、知ってたらそれだけでOKなんてものはありません。行動に生かしてなんぼです。

本書の内容が毎日のお買い物や貯金に直接貢献するかというとそういうことはありませんし再現性もありませんが、損するような行動を取らないことは知識を生かして行動しないという選択を取るだけでできますので再現性があります

投資信託の話で言うとどれが最もリターンが高くなるかは神のみぞ知るですが、ぼったくり商品を買わないことはできますよね?

といった具合で本書は得するためというよりも知らないことで損をしないために読んでおくべき本と思いました。

この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人

おすすめ度は10点満点中9点です。

この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。

  • お金の勉強をしたことがない
  • お金の勉強をしようとしても、まず出てくる単語がわからない

少々ボリューミーですが、ウォール街のランダムウォーカーとか読むよりは全然読みやすいので最初期に買うお金のj本としておすすめです。

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