この記事のもくじ
この記事では直接的に書籍の内容に触れることはできるだけ避けたうえで、読んでその内容について思ったことなどなど紹介します。
今回紹介する本
『グリーン・ジャイアント 脱炭素ビジネスが世界経済を動かす』です。
日本では欧米諸国に(仕方なく?)合わせる形で将来的なカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいくことを宣言していますが、トヨタ自動車の社長が「今の状況でガソリン車なくすなんて無理」と主張しているように一般ピーポーの中でも「なんだかんだガソリン車使えるでしょ」と楽観的な方、いらっしゃるのではないでしょうか?
自分はこういうのを聞くと「これだから日本は時代遅れになるんだろうなぁ」と思ってしまいます。日本では売れても欧米では受け入れてもらえないとなったら輸出できてたものもできなくなるかもしれないわけで、そうなったら脱炭素ありきで動くべきと思わずにはいられません。
書籍の構成
- カーボンニュートラル
- グリーンジャイアントの存在
- 気候変動とお金の動き
- テスラとトヨタの関係
- 気候変動に乗っかったイノベーション
- Z世代とネクスト資本主義
- 日本が生き残る道
本書のタイトルである「グリーン・ジャイアント」とはエネルギーに関する新時代にあって再生エネルギーで世界を席巻している企業を指していると考えてもらったらOKです。
書籍の気になった内容を一部紹介
本書でためになったと思ったのは5章です。ここでは脱炭素というトレンドに乗っかったいわば新規ビジネスの事例が紹介されています。読んでくうちに「こんなの日本じゃ絶対出て来んわ」と思いながら読んでおりました。
- 植物肉:牛のゲップはメタンガスでCO2よりも温室効果が高いことを受けて肉の置き換えが必要
- 水素製鉄:鉄鋼業は産業の中でも二酸化炭素を大量に排出している業種
- 空気から二酸化炭素を取り出す技術:イーロンマスクやアマゾンが投資
- 小型原子炉(SMR):従来の原発よりもシンプルで安全性○と言われている。
どれも昔の感覚では採算が取れないといってろくに研究してこなかったものですが、現代はこれをものにしたらお金になる時代であるということです。
「EVにしただけじゃ根本的には〜」とか「ヨーロッパが勝手に有利なルールを作って〜」とか言いますが、それが正しいかどうかはおいといて、それが現代のビジネスのスタンダードってわけですね。
感想などなど
この本のいいと思ったところ
- 解説が深い(結構初見な情報があった)
- カーボンニュートラルに関して世界からみた日本の状況を客観的に評価している
「はじめに」で、本書の目的は脱炭素の最前線を丁寧に解説することとしていますが、その目的にそった内容であると思います。体的にスッと入ってくる書きっぷりです。アマゾンでベストセラーなのもうなずけます。
本書の内容に関連して思ったこと
最初にも書きましたが、この分野の話ではとにかく変化を嫌っている、ああいえばこういうなのが日本だなと思います。
- ガソリン車撤廃⇨EVは現実的じゃない(ガソリン車売れなくなるのが嫌なだけでは?)
- 原子力は危ない⇨じゃあ再生エネは?⇨効率が悪いし、安定していない⇨じゃあエネルギー使わない生活すれば?⇨イヤイヤ
かなり皮肉っぽくというかわる〜く書いてますが、自分から見た日本の印象はこうです。島国だからこうなるのかもしれませんが、この調子だとガソリン車という箱物もガラパゴスになるんじゃないかな〜と危惧しています。
逆にいうと本腰入れて脱炭素に取り組んでいる会社はそう多くない(表向きはカーボンニュートラルがと言ってても)はずなので、ビジネスチャンスであることも確かに思えます。
この本のおすすめ度と読むのがおすすめな人
おすすめ度は10点満点中8点です。
この本は次のような方が読むのにぴったりと思います。
- カーボンニュートラル、脱炭素に詳しくなりたい方
- 最新のビジネス事例を知りたい方
他人が知らないことを知っていることこそ情報には価値が増します。この分野、ちゃんと知っている人どころか興味がある個人はそうそういないので、知っておくだけで一歩抜きん出るチャンスになります。
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以上でおわりです。最後までお読みくださりありがとうございました。