【2022年読書レビュー】「みんな違ってみんないい」のか 相対主義と普遍主義の問題

まえがき

今回紹介する本

『「みんな違ってみんないい」のか? 相対主義と普遍主義の問題』です。

本書の概要

「みんな違ってみんないい」って金子みすゞさんとか相田みつをさんが言ってたじゃないですか!!でも著者は疑問に思っているようです。

まず、「みんな違ってみんないい」的な考え方を相対主義と呼ぶそうです。これが良くない理由を「はじめに」でこのように言っています。

様々な意見の正しさに差がないとするなら、選択は力任せに行うしかない

確かに、どの意見も同じなら、何を正しいとするかって文字通り力を持っている人とかお金を持っている人のそれになってしまいそうです。かといって「科学的に判断する」というのも結局は個々の中に事実はこうあってほしいみたいな意図が入る以上絶対解みたいなものが出来上がるまでには時間がかかってしまいます。

本書ではそうした背景を踏まえて「正しい」って何?、どうやって正しいが形作られる?ある正しいが存在する中で他者理解はどうすればよいか?この3点を考えていきます。

本書の構成
  • 「人それぞれ」論の由来
  • 言うほど人による違いはない
  • 道徳的な正しさの定義
  • 「正しい事実」は人それぞれではない

「正しい事実」の注意点とポイント

冒頭にも書いた通り、「みんな違ってみんないい」は正解や正しい情報が人によって違う印象を与えるものであり、本書の背景は、そもそもそれは違うよね?ってところからスタートしています。

4章でも改めて「正しい事実を人それぞれで勝手に決めてはいけない」ことについて論じています。じゃあどうするかというと正しい事実はそれに関わっている人の中で形成していくと言います。

例えば地球が太陽を回っているのか、太陽が地球を回っているのかを決めるならそれは天文学に関わっている人の間で議論されますし、新型コロナは危ないのか危なくないのかは医学に関わる人の間で論じられることです。

と言うと容易に想像がつきますが、一般市民は事実を作る側ではなくて、すでに作られた「事実」に触れるだけの側になります。この章では実態そうだという前提で正しい事実を知るための方法を2つ紹介しています。

正しい事実を知るすべ1:誰が言っている情報か確認する

0か100かではないですが、一般市民が発信している情報よりもその道の専門家とされている人の意見の方が正しい確率が高いことは自明ではないでしょうか?だって一般市民よりも当該分野の勉強をしているわけですし、情報にも触れているので。

何かの検索をしたとき、とりわけお金や医療の分野になったときに個人ブログではなくて企業や公的な機関のHPがトップヒットするのは確かYahooかGoogleのどちらかが持っているアルゴリズムでこの点が考慮されているからです。

Your Money、Your Lifeをブログで扱ってはならないとされるのもこれが関連しています。個人が発信していることよりも企業や研究機関が発信している情報の方が信憑性があると判断されちゃってるわけです。まぁそりゃそうかって感じです。

正しい事実を知るすべ2:複数の情報を確認する

前項でおおよそフィルターがかかりますが、一人だけの意見だと本来の正しい事実と反対側の意見の人だった、と言う可能性が出てきます。ワクチンなんか、まさにそうですね。

だから推奨されるのが複数人の意見を確認すること。自分の意見を加えるなら、ただ複数人の意見を見るんじゃなくて異なる意見ごとで複数人の意見を見る方がいいと思います。

実際には専門家が9:1でワクチン賛成していたとしてもたまたまチェックした情報が全て反対派だとしたら「じゃあワクチンは危ない方向で結論づいているんだな」となってしまいますよね。

※実際に新型コロナワクチンが「危険」か否かの話はしていません。例としてワクチンを持ち出しただけで比率のところとかは完全なる仮定のお話です。

情報の入手はよくよく注意したいところです。

あとがき

読む前は個々人の個性を否定するような内容なのかと思ってたのですが、実際はそんなテイストじゃなくて少し安心しました。「みんな違ってみんないい」だけだと

  • みんなの何が違っててもいいのか?
    • 収入?
    • 性格?
    • 判断する根拠?
    • ルール?

ここがはっきりしていないから著者が懸念しているような「みんな違っていい」ことを拡大解釈されるんじゃないかなと思いました。言葉って如何様にでも抜粋したりフワッと表現したりできるので意味を解釈する際には十分気をつけないといけませんね。

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