この記事のもくじ
まえがき
今回紹介する本
『医療費の仕組みと基本がよ~くわかる本』の第4版です。
本書の概要
日本は国民皆保険制度です。どの枠組みに入るかは自分の属するところによって国民健康保険、協会けんぽ、企業の健康保険組合などと変わるものの必ずどれかに属し、保険料を納める必要があります。
そうして毎月保険料を払っているにもかかわらずそれによって受けられる恩恵にどんなものがあるのか理解していない人が多いのもまた事実。そうじゃなければアホみたいに生命保険やら医療保険に入る人が続出するはずがないでしょう。
大概の保険は無駄、それは国民皆保険制度である程度のセーフティネットは保たれているからだと言われていますが、その内容を知らずして保険は不要だというのもおかしな話です。
本書に書いてあるのは実際に病院にかかる時に知っておくと役立つ知識ばかり。なんなら基本と言ってますが範囲が広すぎて難しく感じてしまうかも、それくらいのボリュームです。下の目次を見れば明らかです。
- 2022年度の診療報酬改定のポイント
- 地域包括ケアシステム
- 医療費の基本
- 外来受診時の診療報酬
- 入院時の診療報酬
- DPC/PDPD制度
- 診療報酬の出し方例
- 在宅医療での診療報酬
- 施設に応じた診療報酬
- 患者負担の軽減制度
- 調剤報酬の仕組み
- 保険非対応の診療
- 今後の医療制度
案外かかる?入院時の医療費
患者の自己負担は3割ーーー。
保険に入っていることでのメリットと言われたら誰もが思い浮かべるのがこれではないでしょうか?が、何でもかんでも3割負担で済むわけではないことを本書で知ることになります。
具体的には入院した時の話です。
食費
本書ではさも10割あるうちの1割2割だけが自己負担かのようなニュアンスで「一部」と言ってますが、実際は大半が自己負担です。
ベースの金額が1食640円、これは全国一律です。まずこれが高いと思いました。だって3食食べたら約2000円。1ヶ月で6万円です。エンゲル係数上がります。
このうち自己負担は460円となっています。どっちかというと控除される金額の方が「一部」というにはふさわしい気がしています。そしてこんな計算をしている時点でお気づきかもしれませんが、食費は医療費と別立てでこのように計算されるので3割自己負担にはなりません。
居住費
差額ベッド代なる項目があるのは知っていたのですが入院に際してベースでかかるお金も3割自己負担とは別精算です。基準額は398円、自己負担額は370円です。
こちらも本書ではさもマイノリティ部分だけ負担すればいいかのようなニュアンスで「一部」と言ってますが、絶対この表現違う気がします(日本語的にはいいのでしょうけど)。
よって治療を受けるのとは全く別に1日あたり460×3+370=1750円がかかります。1ヶ月で5万円越えです。高い・・・。
しかもこのお金は高額療養費制度の計算にも含まれないのでいくら治療費が発生しようがこの分はきっちり払わないといけません。
健康でいることが一番の節約っぽいですね!
それでも保険は不要派です。
先ほどの食費と居住費に加えて治療にかかったお金が3割負担とはいえ乗っかってくるわけですから「何かあったらお金は案外かかる」というのは本当だと思います。
それでも自分は保険不要派です。民間保険に加入しちゃったら怪我とか病気にならないとお金がもらえないand税金を計算するときの「控除」の対象になるのは一部でぶっちゃけ旨味がない。
それに対して公的保険も怪我とか病気にならない限りお金がもらえない(というか3割負担という恩恵が受けられない)のは一緒ですが、民間保険と違うのは
- 治療を受けたその場で3割負担で済むというメリットが発動する
- 納めた保険料は全額社会保険料控除にカウントされる
ことです。民間保険だといちいち手続きもいるし、申請素忘れちゃったら給付金などをもらうこともできません。手間と利益を考えた時にあまりにも民間保険は割に合わないと感じるのでこれからも公的保険だけにお世話になろうと思いました。
なんとなく保険に入ってないと不安に感じている人、日本の保険制度はオワコンだと思っている人は本書を読んでから判断していただきたいです。よっぽど民間保険の方が加入した時点でほとんどがオワコン確定なのに気づくと思います。